教採受験者に送る言葉 学校は皆さんを待っている(喜名朝博)

国士舘大学体育学部こどもスポーツ教育学科教授/前東京都江東区立明治小学校統括校長 喜名朝博
学校で働いている自分の姿をイメージする

 「面接試験を受けるのは初めて」と言っていたSさん。ほとんどの人が初めてなので安心していただきたい。面接練習を重ねる度に、自信をもって自分のことや教育への考えを伝えられるようになってきた。何より、あなたらしい笑顔が出てきたことがよかった。

 面接官はたくさんの教員を見てきた人たち。その面接官には「この人はいい先生になりそうだ」という直感のようなものがある。それを感じさせるのは、面接でのやりとりから見えてくる人間性、その人らしさだ。子どもたちと共に明るく元気に授業をしている姿、学校のあらゆる人を師としながら組織の一員として働いている姿を想像できるかということが大切になる。

 そのためにも、4月から子どもたちと共に学び、共に生活している自分の姿をイメージしていただきたい。教員の視点で物事を考え、理想とする教員像を明確にし、その姿を思い浮かべながら面接に臨んでほしい。その顔はきっと先生の顔になっているはずだ。

教育用語 自分の言葉で説明できるように

 答えている内容はとてもいいのに、言葉が多過ぎてしまうTさん。面接の練習で「それって『社会に開かれた教育課程』のことだよね」と突っ込まれていた。学習指導要領や中教審答申などに出てくる教育用語をしっかり理解し、自分の言葉として使えるようになっているといい。面接だけでなく論文の中にもそんなキーワードが出てくると、「この人、しっかり勉強しているな」と感じてくれるだろう。

 でも、気を付けてほしいのは十分に理解し、自分の言葉で説明できるようにしておくことだ。中途半端な理解で用いるとマイナス評価になってしまう。面接や論文は教員としての人間性はもちろん、これまでどれだけ勉強してきたかという成果をアピールする場でもある。キーワードを関連付け、構造的に理解しておいてほしい。

今の自分の姿を客観視する

 「過去問、暗記するぐらいやりました」と、実によく勉強しているKさん。それでも、まだ自信がない、と言っていた。今までの努力の原動力になったのは、子どもたちと共に学び続ける教員になりたいという強い思い。すでにそれを体現しているのは、すごいことだと思う。

 これから選考当日までは、自分の弱いところ、理解が浅いところを中心に勉強していってほしい。学び続けるにはメタ認知力が重要になる。自分の今の姿を客観視し、目指す姿とのギャップの解消に取り組むのが課題だ。出題傾向をもう一度確認し、弱点を克服していこう。

 「あと2週間続けたかったです」と、教育実習での様子を楽しそうに語ってくれたMさん。教職への思いが一層高まったようだ。でも、この3週間で学んだこと、気付いたことを言語化しておくことが大切。学校の今を見て、自分にできることは何か、気になった子どもたちのために何ができるのかを整理して面接や論文の中で例示できると、言葉に真実味が出てくる。

 そして、教育実習やボランティアなどの学校現場を経験して、最も大事にしてほしいことは「これから自分は何を学ばなければならないのか」という気付きだ。それこそが学び続ける教員としてのスタートになる。

これからの学校に必要なのは、学び続ける教員

 教育公務員特例法第21条に「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」とあるように、教員には常に学び続けることが求められている。社会の変化に対応するだけではなく、その変化を創り出していく力が「生きる力」。子どもたちにそのような力をつけていくためには、教員こそ学び続けなければならない。

 それは、教員の「学びに向かう力」であり、自己調整学習である。これからの学校に必要な人材は、学び続ける力のある教員だ。伴走者としての教員は、子どもたちと共に走り続ける。それは学び続けることに他ならない。採用選考では、教員としての学び続ける覚悟と、そのための基礎力があることを示してほしい。

 子どもたちの成長を自分事として喜ぶことができるのが、教員という職の尊さだ。それは、一人一人の多様な幸せや社会全体の幸せを目指す、いわゆる「ウェルビーイング」にもつながる。

 教育には大きな可能性があり、教員は夢のある職業だ。学校は子どもたちと共に学び続ける皆さんを待っている。強い志と覚悟を持って採用選考に臨んでいただきたい。

あなたへのお薦め

 
特集