分析 国際学習到達度調査(PISA)2015

OECDが12月6日に公表した、2015年実施の国際学習到達度調査(PISA2015)の結果、日本は、科学的リテラシーと数学的リテラシーは好成績を維持した一方で、読解力は前回調査(PISA2012)よりも低かった。今調査では、科学的リテラシーが重点分野とされた。数学的リテラシーと読解力を合わせて、どのような問題が出されたか、子供たちの関心や前回調査からどのような変化があったかなどをまとめた。PISA2015に参加したのは、OECD加盟35カ国を含む72カ国・地域。参加国の順位は、OECDと全参加国の別に集計されている。またPISA2012では、OECD34カ国、全体では65カ国・地域が参加している。


重点分野【科学的リテラシー】

▽記述式は経年低下傾向 科学への関心依然低い

PISA2015では、科学的リテラシーが重点分野に位置付られている。日本の平均点は全参加国・地域中の2位(PISA2012では4位)となり、OECD中では1位(同1位)となった。科学に対する関心や意欲は諸外国に比べて低い。だが、科学が将来の職業選択に影響があると考える子供たちが増加している傾向も明らかになった。同調査にはデータを解釈したりする能力などを測る問題が出された。

科学的リテラシーの日本の平均点は、前回調査に比べて9点低い538点となった。問題は選択式と記述式。このうち記述式の点数が、12年、09年と比較すると、低下傾向となった。

男女別では、545点の男子に対して女子は532点と下回った。

習熟度別では、レベル6以上からレベル1b未満の8段階となっている。日本は、レベル4の29%が最多となり、次いで28%のレベル3の順となった。最高のレベル6以上は2%となり、全参加国・地域で3位となった。トップのシンガポール(6%)、次いでニュージランド(3%)、台湾(同)が続いた。

重点分野とされた科学的リテラシーの調査では、問題の一部が公開されている。渡り鳥の行動や持続的な養殖漁業など身近にある事柄を題材に出題。これらの問題では、▽現象を科学的に説明する▽科学的探究を評価して計画する▽データと証拠を科学的に解釈する――の3つの能力を測った。

このうち、現象を科学的に説明する能力などをみる「持続的な養殖業」の問題では、養殖業で用いるえさや、水質を維持するためにポンプを活用しているなどの状況を考慮して答えいくのが必要となる。

3つの大型水槽がある養殖試験場の仕組みを知り、栄養物や排泄物を吸収する海藻などそれぞれ特徴がある4生物をどこの水槽に入れるかを問うた。ここでは、回答例が多くあり、日本の正答率は8%に留まった。無解答率は12%となった。

またPISA2006から出されている温室効果に関する「地球の気温」の問題では、グラフを読みながら地球の平均気温と二酸化炭素排出量との関係を考察する。小問3問は全てが論述で、うち2問は正答率が下がった。

科学への意欲や関心を尋ねる質問紙調査も行った。科学についての本を読むかなど「科学の楽しさ」に関する質問項目全てで、肯定的回答の割合がOECD平均を下回った。

だが、「科学の知識を使える自信」「理科学習の有効性」など同様の質問をした06年と比較して改善傾向が見られた。「30歳時に科学関連についていること期待しているか」との質問では、OECD平均24・5%に及ばなかったが、06年と比べると、5ポイント増の18%に増加している。科学が将来の職業選択に影響があると考える子供たちが徐々に広がっている傾向が見られた。

【PDF】データを科学的に説明する能力を測る「持続的な養殖業」の問題

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【読解力】

▽CBTの影響あったか 国研が要因の分析に当たる

読解力は、前回調査の538点から22点減り、今調査では516点となった。順位は、OECD加盟国中の1位から6位に、全体では4位から8位に下がった。

解答方式が今年からコンピュータを使ったCBT(Computer Based Training)に変わったのが要因ではないかと文科省は見ている。

今後、国研が原因を分析する。

読解力はレベル6以上からレベル1bまでの8段階の習熟度別に分けた。日本の場合は前回調査に比べてレベル5以上の生徒が8ポイントも下がった。その一方でレベル1a以下は3ポイント上昇した。男女別では、男子が509点に対して、女子が523点と、女子が男子より13点高かった。

CBTは一部の国・地域を除いて全ての分野で実施された。生徒は画面に写し出された問いを見て、キーボードとマウスで解答する。読解力分野では、これまでは紙一枚で全体が目に入っていた問題が、スクロールして画面を切り替えて読む問題があり、慣れていなければ、解答する過程で難しい部分があった。

さらに同省の担当者は読解力の点数低下の要因について、「情報の読み取りが難しくなっただけでなく、データ化で、漢字などの問題文の文字が小さくなった。これらによっても、順位が押し下げられたのではないか」と語る。

漢字圏である台湾も前回の527点から495点と26点も減っている。

同省は結果分析を担当している国研に、漢字圏の生徒に不利な要因がなかったか、他国との状況も含めて分析するよう求めた。

その結果次第では、OECDに、PISA出題改善の要請も検討するという。

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【数学的リテラシー】

▽OECDでトップ 全体では5位に浮上

数学的リテラシーでは、日本の平均点は532点で、前回調査よりも4点減じていた。全参加国・地域では、7位から5位に浮上した。OECD加盟国の中では、2位から1位となった。科学的リテラシー同様に好成績を維持した。

リテラシーの到達度はレベル6以上から1レベル未満の7段階習で評価された。日本のレベル5以上の割合は、シンガポール35%、香港27%、北京・上海・江蘇・広東26%などに次いで7番目の20%だった。その一方で、レベル1未満は3%だった。

経年変化では、前回調査と今調査との差は4点しかなく、国研は「これには統計的な有意差はない」と分析している。

男女別では、男子539点、女子525点と、読解力とは異なり、男女差は逆転した。

数学では、身近な題材で出題する傾向となっている。前回調査では、点滴の落下速度やマンションの総床面積を求めるなど、基礎知識活用型の問題を出していた。今調査問題は公開されていないが、同様の傾向であったと見られる。