松野文科相の年頭所感

 松野博一文科相は平成29年の年頭にあたり、所感を明らかにした。

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年頭の所感 国民の期待に応える文部科学行政
文部科学大臣 松野博一

 

松野大臣平成29年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

昨年8月の就任以来、私は教育再生、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興に全力で取り組んでまいりました。

年頭にあたり、国民各位の期待に応える文部科学行政の推進に向けて、決意を新たにしております。

現在、安倍内閣においては、「一億総活躍」の旗をさらに高く掲げ、「未来」を切り開き、内閣一丸となって「未来への責任」を果たしていくことを最大の使命としています。文部科学省が担う教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興は、「未来への先行投資」そのものです。

こうした基本認識の下、わが国の将来を担う子供たちが自他のかけがえのない価値を認識しながら、協働し、さまざまな分野に積極的に挑戦し、自分の可能性を高めることが大事だと考えております。そのために、何よりも重要なことは、学校、研究所等の現場の環境づくり、「現場力」を高めていくことだと考えます。急激な時代の変化に対応できる人材育成が求められている中、学校教育の「現場力」を担う教員の資質向上を図ることが必要であり、先の臨時国会における教育公務員特例法等の改正を受け、教員養成・採用・研修の一体改革を着実に進めます。

教員の資質向上と併せて、学校指導体制の充実が不可欠です。教職員定数については、平成29年度予算編成において、発達障害等のある児童生徒のための通級指導や外国人児童生徒等教育に必要な教員等についての基礎定数化のほか、小学校の専科指導やいじめ・不登校対策、学校事務体制の強化などに必要な加配定数の充実が認められました。これらを実現するため、次期通常国会に義務標準法改正案を提出する予定です。

他方、学校現場の課題が複雑化・困難化する中、教員の授業改善や子供と向き合う時間を確保し、教員一人ひとりが力を発揮できるよう、部活動を含む業務の適正化に取り組みます。

子供たちの現状を見ると、学力については世界でもトップクラスであり、全国学力・学習状況調査においても、学力の底上げが図られています。一方、諸外国に比べると、自己に対する肯定的な評価をする子供の割合が低いことから、要因分析や対応策の検討を進めます。

「一億総活躍社会」をさらに推し進めるため、特に、障害のある子供が、就学前から学齢期、卒業後を通して、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送れるようにすることが重要です。このため、福祉、保健、医療、労働等の関係部局と連携した進学・就職を含む切れ目ない支援体制の整備やインクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育、障害者のための生涯学習、スポーツ、文化の振興など総合的な取り組みを推進します。

さらに、「働き方改革」の実現に向け、高校中退者や女性、非正規で働く方を含め、誰もが柔軟に学び直すことで、転職・再就職をはじめ、雇用環境の変化に対応できるよう必要な取り組みを進めます。また、「地方創生」に向け、地方大学の振興などの取り組みを進めます。

大隅良典東京工業大学栄誉教授が、昨年10月、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。また、森田浩介理化学研究所グループディレクターらの研究グループが発見した113番元素の名称が、昨年11月にニホニウムに決定しました。先生方の業績に心からの敬意を表したいと思います。日本人による3年連続の同賞受賞やアジア初の新元素命名は、わが国の高い科学技術水準を世界に示すとともに、大きな誇りと励みになるものです。今後とも、このような基礎研究を長期的な視点に立って、確実に支援してまいります。

さらに、大学等への民間投資3倍増の実現を目指し、組織対組織の本格的な共同研究やベンチャー創出、起業家育成機能の強化など、オープンイノベーションの加速に向けた改革方策を検討してまいります。より一層、政府を挙げて科学技術イノベーション政策を強力に推進してまいります。

■教育再生

教育再生は、安倍内閣の最重要課題の一つです。現在、教育再生実行会議では、学校・家庭・地域の役割分担と教育力の充実、および子供たちの自己肯定感が低い現状を改善するための環境づくりの二つのテーマについて、議論を行っているところです。教育再生を着実に実現すべく、実行会議のこれまでの提言や議論を踏まえ、必要な施策を推進してまいります。

わが国が成長・発展を持続するためには、一人ひとりの能力や可能性を最大限に引き出し、多様な個性を伸ばす教育が不可欠です。家庭の経済事情にかかわらず、誰もが希望する教育を受けられるよう、昨年末、わが国初となる給付型奨学金について平成29年度政府予算案として取りまとめ、今後、これを着実に実行してまいります。

新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育むため、教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、年度内を目途に幼・小・中の学習指導要領等の改訂を行ってまいります。

地域と学校の連携・協働、チーム学校の推進、質の高い幼児教育の提供、教育の情報化、道徳教育の充実、いじめや不登校への対応、多様な学びの場における子供への学習支援、夜間中学の設置促進などにしっかりと取り組みます。

今後さらに加速していくグローバル社会を見据え、外国語教育や海外子女教育、外国人児童生徒等への教育、高等学校・大学等における留学生交流のさらなる充実、日本型教育の海外展開、持続可能な開発のための教育、国際バカロレアやG7倉敷宣言を踏まえた新時代の教育のための国際協働などを推進します。

学校施設は、子供たちの学習・生活の場であるとともに、災害時には避難所としても重要な役割を果たすことから、その安全性・機能性の確保は不可欠です。耐震化・老朽化対策等、安全・安心な教育環境の整備を推進します。

「学力の三要素」を育成するため、高等学校教育、大学教育および大学入学者選抜を一体的に改革する高大接続改革に取り組みます。

大学は国の知的基盤です。グローバル人材の養成、指定国立大学法人による国際競争力の強化を進めます。地方創生を担う人材育成、イノベーション創出のための教育・研究力強化、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化の検討、高等専門学校や専修学校等における教育の充実に取り組みます。

このためにも、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など基盤的経費を安定的に確保し、改革を進める大学を重点的に支援します。

幼児教育無償化の段階的推進や奨学金事業等の充実をはじめ、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減を図ります。また、指導体制の充実を通じた学力課題解消へ向けた取り組みや地域未来塾による学習支援、地域における読書・体験機会の提供など子供の貧困対策を推進します。

■スポーツ・文化

スポーツには、体を動かして楽しむだけでなく、人を夢中にさせ、感動させる魅力があります。また、文化は、わが国のアイデンティティを形成する源であり、世界に誇る重要な資源です。本年4月からの第2期スポーツ基本計画に基づき、スポーツの価値を生かした取り組みを進めてまいります。

昨年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会では、多くの日本人選手が活躍しました。2020年東京大会や2019年ラグビーワールドカップ等に向け、さらなる国際競技力向上を図るとともに、ドーピング対策を加速させます。さらに、新国立競技場を着実に整備します。

文化プログラムの全国展開に向け、オールジャパンによる国民運動を展開します。さらに、東京大会のレガシーとして共生社会を実現するために、2020年に全国の特別支援学校で、スポーツ・教育・文化の全国的な祭典を開催します。また、スポーツの成長産業化、障害者スポーツの振興、学校体育の充実、スポーツを通じた健康増進、地域活性化、国際貢献等に取り組みます。

幅広い文化芸術の振興により日本経済の活性化や社会の活力向上に寄与し、日本遺産等の取組を通じて文化資源を活用した地域活性化・観光振興を図ります。さらに、デジタル・ネットワーク化の進展に対応した著作権制度の整備等に取り組みます。文化庁の京都移転については、新たな政策ニーズへの対応に必要な機能強化を図りつつ、計画的・段階的に進めます。

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私としては、文部科学行政全般にわたって、「現場第一」の姿勢で、諸課題の解決に全力で取り組む考えです。引き続き関係各位のご指導、ご鞭撻のほどを、よろしくお願い申し上げます。

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