教育に携わる皆さんにエール 小池都知事に聞く

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた教育施策などが、全国の教育界から注目されている東京都。教育施策の根本方針となる、東京都教育施策大綱も近く策定される見込みだ。教育への思いや、教育関係者へのメッセージなどを、小池百合子都知事に聞いた。


「先生はずっと生徒の心に残る」
小池百合子――教育への思いを。

教育は国の基(もとい)であるのは論をまたない。予算の額もさることながら、どういう教育を目指すのかという指針が一番大事だ。そして何よりも、教育者が誇りを持って、現場に当たることが大事だ。

実は私の恩師がつい先日亡くなった。大変記憶に残る先生で、お世話になったという思いがある。

先生の思いは、生徒にはちゃんと伝わっている。教科書よりも、授業の内容よりも、先生はずっと生徒の心に残る。それが教育の魂を残すということだと思う。

その先生だけでなく、先生はみんな覚えている。学びの時にいろいろな先生に巡り会えたのは、私の財産だと思っている。今の子供たちも、先生が思いもかけないような、先生の言葉に感動したり、怒ったりしていると思う。

また、子供の時には深くてよく分からなかったが、大人になって、よく分かったという言葉がある。知識ではない。知識の詰め込みは、もはや意味が無い。むしろ知恵をいかにして教えるかが、教育者として大事なことだと思う。

――策定する東京都教育施策大綱について、知事の思いが深いものは。

3つある。1つ目は、全ての子供が学び、成長し続けられる教育を実現させたい。親の経済格差で子供の教育への距離ができるのはよくない。都独自の給付型奨学金制度を創設する。基礎学力は生きる礎だ。その学力を確実に子供に身に付けてもらうため、いわゆる学びのセーフティーネットを作る。

2つ目は、国際人を育てる。日本にとって必須だと思う。ノーベル賞など国際的に活躍するには、語学力が大事だ。外に向かって発信しなければ、誰にも知られない。ピコ太郎でもそうだ。英語だから広がった。だが、自分の国語の語彙以上の英語力はつかない。国語をしっかり学んだ上でこそ、英語をコミュニケーションのツールとして生かせる。言葉を学ぶために必要な国語教育に力を入れたい。さらに自然環境など、地球規模の課題などについても理解を深め、思考力、探究力を生かせる教育を推進する。

3つ目は、社会的な自立ができる子供を育てる。そのためには、学校と地域が連携する。学校の組織的な取り組みや相談体制を充実させたい。

こういったことを盛り込んで、教育施策大綱を1月中に策定し、教育委員会とともに進めていく。

――オリンピック・パラリンピック教育をどう推進するか。

昨年の4月から、約2300校ある、すべての公立学校でオリパラ教育に取り組んでいる。小学校用、中学校用に楽しい教材を作っていて、それによって子供たちのわくわく感と、機運を高めていきたい。

「オリンピック・パラリンピックの精神」「スポーツ」「文化」「環境」を合わせた4つのテーマと、「学ぶ」「観る」「する」「支える」の4つのアクションを組み合わせて、選手やボランティアなど、いろいろな形で子供たちが参加できるように進めていきたい。それぞれの学校で、オリンピック・パラリンピックが身近に感じられるようにする。

またパラリンピックには、例えば「ボッチャ」という、重度障害者のために工夫されたスポーツがあり、都庁ではその競技チームを作った。学校でも、パラリンピック競技をするクラブ活動があっていいと思う。

――読者へメッセージを。

教育に携わる皆さんには、この教育新聞を通じて、心からエールを送りたい。

クラブ活動に熱心な先生も、いじめなどへの対策で苦労されている先生もいると思うが、教育現場におられる教職員の皆さんには、何よりも重要な役目を担っていただいていると、知事として思っている。

次の世代の子供たちをよろしくと伝えたい。そして知識の詰め込みではなく、知恵、知力を教えていただきたい。