SCとしての配置も検討 公認心理師への期待と課題

平成27年に法が成立して誕生した「公認心理師」だが、一部を除く施行までに、まだ数カ月かかる。難産の末に生まれ、養成カリキュラムや資格試験の内容などは、まだ検討中だ。社会全般、教育界への認知度もいまひとつの感がある。一方で、スクールカウンセラー(SC)として配置するための議論が、厚労省で開かれた「公認心理師カリキュラム等検討会」で行われている。チーム学校の中で重要な役割を果たす一員として期待は高まり、SC不足を解消する策としても望まれる公認心理師だが、課題は多い。この辺の状況を探った――。


厚労省の公認心理師カリキュラム等検討会
厚労省の公認心理師カリキュラム等検討会

公認心理師は、心理職として唯一の国家資格であり、心理的支援を要する人に対して、心理状態の観察や分析、相談および助言を行う。医師や教員、その他の関係者との連携も義務付けられている。文科、厚労の両省が共管し、主務大臣は両省大臣が務める。

だが、その誕生までは、簡単な道のりではなかった。

平成17年に、臨床心理士および医療心理士の国家資格化に向け、「2資格1法案」の骨子案が議員立法で策定された。だが、意見集約ができず、法案の形にはできなかった。その後も心理職の国家資格化を求め、関係団体が要望書を提出。26年に「公認心理師法案」が提出され、一度は継続審議になったものの、結局、第187回国会での衆議院解散に伴い審査未了。翌27年に、与野党間協議で調整がつき、衆議院文部科学委員長提出の議員立法として再提出され、9月9日に「公認心理師法」が、衆・参両院とも全会一致でのようやく可決、成立。衆・参の各委員会で、受験資格の特例なども、全会一致で採択された。公布は9月16日にされた。施行は附則で、公布から2年を超えない範囲内で、政令で定める日から、とされた。つまり、今年の9月15日までに施行というわけだ。

骨子案から成立・公布まで約10年がかかったのは、公認心理師と他の心理士の違いなどが明確でなく、反対意見も多かったためだ。そしてそれは、現状でも課題としていまだに残っている。

厚労省の同検討会でのこれまでの議論では、SCとして配置するために、公認心理師には学校教育に関する一定の知識が必要とされた。SCに関しては、構成員から「将来的には、チーム学校の中で教職員として位置づけられる動きがあるので、『チーム学校の一員』という文言を入れてもらいたい」との要望もあった。

また「発達障害を含む障害のある児童生徒等に係る対応等を行うこと」と例示された。これに対して構成員からは「『対応を行う』という広い意味で捉えられる文言ではなく、『心理検査の実施』など、具体的な内容を盛り込む必要がある」との意見が出た。

1月12日に行われた同検討会のワーキングチームでは、公認心理師を目指すのに必要な科目や国家資格、実務経験などについて検討。「心理に関する支援を要する子供と接するに当たり、心身ともに健康な子供と接する経験も重要では」との声も。子供たちと集団で接する経験ができるような実習や、適応指導教室での実習を求めた。

SC不足は深刻だ。名古屋市は、SCになる資格を満たす臨床心理士の慢性的な不足を受け、同市立大学大学院に今春、定員10人の臨床心理士養成コースを新設する。同市の河村たかし市長は1月10日、市内全校にSCを配置する意欲を示した。31年度までに、市内の110中学校全てにSCを常駐させる予定という。

心理職の需要がますます高まる中で、国家資格の公認心理師や民間資格の臨床心理士など、各資格の線引きをどうするのか、現任者の移行措置はどうなっていくのか、これらも検討が必要だ。

次期の新たな学習指導要領が、この3月に告示される。29年度はその周知期間となる。同法の施行は、そのまっただ中となる。チーム学校の実を挙げるためにも、公認心理師の動向への注視が必要だ。

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