解消できるか 教員の長時間勤務

連合総研が1月に発表した「教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査」の結果では、小学校で72.9%、中学校で86.9%の教員が、1週当たりの労働時間が60時間を超えていた(本紙電子版1月19日付、紙版1月23日付1面で既報)。これは、医師など他業種と比べても、際だって長時間労働だという結果だ。有効な解決策はあるのか。有識者の考えや、現場の取り組みを追った。


1月に連合総研が開いたシンポジウム
1月に連合総研が開いたシンポジウム

同総研が1月27日に都内で開いたシンポジウム「とりもどせ!教職員の『生活時間』」では、同調査結果の報告と合わせて、長時間勤務の解消策が話し合われた。

総研の研究委員会から提案されたのは、「調整休暇制度」。一定時間以上の超過勤務をした教員に、特定の期間内に休暇を付与し、全体の勤務時間を調整するものだ。授業や生徒指導、学校行事の準備など日常の校務の中で生じた超過勤務時間分を、夏季などの長期学校休業中に休暇を付与して調整する仕組みである。

調査結果では、この制度を「積極的に導入すべき」10.6%、「導入を検討するべき」26.8%、「休業中の業務見直しができれば望ましい」13.2%。合わせて過半の50.6%が賛意を示していた。

その一方で、「教員数を増やすのが先決」が24.6%、「超過勤務手当を支給させるようにすべき」が15.5%で、制度導入に積極的ではない回答もあった。

研究委員会の主査を務める毛塚勝利法政大学大学院客員教授は、「こうした制度は、これまで、学校現場や教育行政の中で議論されてきたわけではない。それを考えれば、半数が検討の必要性を含めて肯定的に捉えているところを見ると、取り組むべき価値があるといえよう」との見解を示している。

現場に目を向けると、さまざまな施策を実行している各自治体がある。

部活動では、東京都杉並区が今年度から、専門事業者のコーチを区内の中学校に派遣する「部活動活性化事業」を本格始動させている。

「教員の負担が軽減されただけでなく、生徒は部活を楽しんでいる」と同区教委の担当者は語る。

校務に関わる負担については、ネット上で名簿や出席簿の管理、指導要録の作成などができる校務支援システムを導入し、教員の時間確保に成功した自治体が各地にある。

大阪市は平成25年から支援システムを導入し、27年までの3年間で、小学校管理職で285.0時間、中学校管理職で233.6時間を削減できたという。

同市教委は「校務支援システムの活用が浸透している。教材研究などのための時間が確保できている」と評価する。

他の自治体でも、総合教育会議や専門の協議会を設置するなどして、負担軽減策の議論を加速させている。

神戸市では、学校の中で最も多忙な教頭の業務改善などに向けて、舵を切った。市長や教育長らが参加する総合教育会議で、補助スタッフや管理職以外の教員も最終施錠を行うなどの項目を「市教育大綱」に盛り込む方針を固めた。

このほか愛知県や群馬県も、軽減・負担策を議論する協議会などを設置している。愛知県は「教員の多忙化解消プロジェクトチーム」がいろいろな提言を行っている。

文科省は来年度から、各学校の課題を踏まえ、業務改善に向けた重点モデル地域を指定するなど、教員の業務軽減策に力を注ぐ方針だ。国と地方の取り組みが今後どのようにかみ合うのかも、多忙化解消の焦点となる。

まもなく次期学習指導要領が告示され、29年度は周知期間となり、30、31年度は移行・先行実施期間。32年度に小学校から順次、学校種ごとに全面実施となる。新機軸への取り組みなども含めて、教員の多忙化解消は、新たな学習指導要領の実を上げるためにも不可欠だ。

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