「きざみのりは盲点だった」 中村明子東京医科大学兼任教授に聞く

平成28年学校関連食中毒発生事例(厚労省データから抜粋)
平成28年学校関連食中毒発生事例(厚労省データから抜粋)

東京都の立川市立小学校で、集団食中毒が起きた。学校給食での食中毒は減少傾向にあるが、学校給食の衛生管理に詳しい中村明子東京医科大学兼任教授は「きざみのりにノロウイルスが付着していたのは、盲点だった」と話す。中村教授に、今後取るべき対策などを聞いた。

――立川市内の小学校で集団食中毒が起きた。

食中毒の原因を特定するのが難しい中で、都はよく調べたと思う。原因は親子丼にトッピングされた「きざみのり」に付着したノロウイルスだと特定した。ノロウイルスは自然界に浮遊しているわけでない。発生原因は、人が嘔吐するか下痢するかしかない。どのようなルートでノロウイルスが付着したのかを特定する必要がある。製造した食品会社を徹底的に調べるべきだ。

また、多くは全国学校給食会連合会(全給連)を通じて食材を納入している。食材の一部を抜き取り、必ず検査している。だが今回は、検査したきざみのりは陰性であったと思う。こうしたことが食中毒を発生させた原因ではないかと推察される。今後は、納入業者を事前に調査しなければならない。

――学校給食での食中毒は減少している。

学校給食の現場では衛生管理が徹底されている。学校給食で自校方式から業者委託にしている自治体が増えている。民間業者は食中毒を起こしたらすぐに入れ替えられる。このような状況で民間業者の意識は高まり、学校給食の食中毒を減らしているようだ。だから、加熱食材の衛生管理は徹底している。非加熱食材でも生野菜についてルールがあり、衛生管理が徹底しているが、きざみのりにノロウイルスが付着していたのは盲点だった。

――食中毒の対策は。

現場のがんばりがあり、細菌の食中毒は減ってきた。菌は食品の栄養部を使って増加していく。その対策として細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3原則があり、現場では徹底されている。ノロなどのウイルスはこの3原則に加えて、ウイルスを「持ち込まない」というのがある。これを実施しないといけない。

食中毒は季節を問わずにやってくる。夏だけでなく、ノロウイルスは10月から3月、秋から冬にかけて猛威を振るう。これらの知識を考慮に入れて、日常的業務の中でやっていけば食中毒は防げる。

子供たちの健康と安全を守るためには、全給連など関連団体と学校給食に携わる人々が一丸となって衛生管理を徹底させるしかない。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

食中毒の原因食材として特定された「きざみのり」については、その後、大阪市都島区のメーカー「東海屋」の下請け業者(同市北区)が、「作業がしにくい」との理由で、手袋を着用せずに加工していたのが分かった。のりを加工した下請け業者の社長は、「ノロウイルスはやっていましたね。一応やっぱり、多少吐き気がした時期がありました」などと語っている。

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