支え・伸ばすで教育実践 中井敬三東京都教育長に聞く

東京都では、平成29年度予算案が全体として減少する中で、教育関連は増加した。これには、給付型奨学金やグローバル人材の育成を掲げ、英語教育に力を入れるなど充実した施策が盛り込まれている。中井敬三教育長に、今後の取り組みなどについて聞いた。「支える」と「伸ばす」で教育実践に取り組んでいくという。


――教育長に就任し、3月末で丸2年となるが。クローズアップ東京都教育長インタビュー

就任してからずっと、学校教育には「伸ばす教育」と「支える教育」の2つがあると思っている。伸ばす教育とは、グローバル人材の育成や、次期学習指導要領でも求められている探究力の育成など、文系・理系の垣根を超えた広い領域で、子供たちの能力や希望などに応じて持てる力を最大限に伸ばすことだ。一方の支える教育は、経済的にも学力的にも苦しい子供たちを支えること。公立学校では、そういう役割が特に重要だ。

経済的な支援では、小池百合子都知事の肝入りの政策として、公立・私立にかかわらず、給付型奨学金を来年度から導入する。学力という面では、通常の授業における基礎基本の習得はもちろん、小・中学生等を対象とした「放課後子供教室」や「地域未来塾」、高校での「校内寺子屋」などにより、子供たちの基礎学力の強化を図っている。来年度は新たに高校生を対象に、目標をもって努力し基礎学力の定着を図るための重点校として都立高校10校を指定して「ゆめナビプロジェクト」を実施する。

――都全体の予算が5年ぶりに減少する中で、教育予算は増加した。それについては。

小池知事は、資源のないわが国おいて、未来への投資は「人」だと言っている。知事の思いが予算に反映したということだと思う。

具体的には、次期学習指導要領に向けて、小学校英語を2年前倒して30年度から教科化する。だが、都教委の調査によると85%の小学校教員が英語の教科化に不安を持っている現状が明らかになっている。大学の教員養成課程でも教科指導としては英語はやっていない。自らの英語力に不安があるのは当然だ。

将来、小学校英語科は専科教員にするべきだと思っている。来年度にはモデル事業を実施する予定だ。「誰が指導するのか」「授業の時数をどのように確保するか」という2つの課題がある。コマ数は確かに厳しいが、各学校の実情に応じて工夫を行うしかない。人材育成は都教委が対応していく。小学校教員に中学校英語の免許を取らせるという方策もある。さらには研修に力を入れる。

高校生の英語力強化にも力を入れる。高校生を対象に「東京イングリッシュ・エンパワーメント・プロジェクト」を来年度実施し、学校生活の中で日常的に生きた英語に触れ体験する機会を拡大させる。現在、全ての都立高校に語学指導を行う外国青年招致事業(JET)の外国語指導助手を1人派遣しているが、同プロジェクトに指定された20校の高校には、さらにもう1人追加派遣する。

また30年9月からは「英語村」を開設する予定だ。施設名は「TOKYO GLOBAL GATEWAY」となる。4月から都内の小・中・高校への周知を開始し、開設に合わせて多くの学校が利用できるように準備する。この施設を利用し、英語を使う体験を通して、さまざまな発見をしてもらいたい。

このほか、オリンピック・パラリンピック教育にも力を入れていく。これまでボランティア活動や障害者との相互交流などを都内の全公立学校で進めてきているが、さらに世界との交流なども活発化させ、子供たちや各学校に確かなレガシーを創ってもらいたいと思っている。

――都内の教員に向けては。

未来志向であるのが教育。未来を担っていく子供たちに日々接し、指導する立場である先生たちには、自身が明るい未来を描き、それを子供たちに投影してもらいたい。そのためには、先生たちが働きやすい環境づくりに、もっと力を入れないといけないと考えている。

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