特支新要領のポイント 文科省特別支援教育課・山下課長補佐に聞く

特別支援学校の幼稚部教育要領と、小学部・中学部の学習指導要領が、4月28日に告示された。これらに込めた意図やポイント、学校現場へのメッセージを、文科省初等中等教育局特別支援教育課の山下直也課長補佐に聞いた。


個々のニーズに応じた教育の充実などn20170502クローズアップ・本文
――新たな教育要領と学習指導要領の特徴は?

今回の教育要領と学習指導要領では、社会に開かれた教育課程を見据え、「障害のある子供一人一人のニーズに応じた教育の充実を目指す」との観点を大事にしている。障害の有無を超えて共に学ぶ体制や特別支援学校と小・中学校との転入学を踏まえた学びの連続性などの観点を重視している。

各教科等の目標や内容を、小・中学校に準じ、▽知識及び技能▽思考力、判断力、表現力等▽学びに向かう力、人間性等――という育成を目指す3つの資質・能力の柱に基づき整理したのも特徴。知的障害者である子供のための教科等の目標や内容等についても充実させた。多様な障害への対応を視野に入れながら、各教科等で育てる資質・能力を明確化し、現場の教員の指導を助け支える内容を考慮した。

これらの充実した教育課程の理念を踏まえ、学校現場で組織的な実践化が果たせるよう「カリキュラム・マネジメント」の重視と推進も訴えている。チーム学校体制の下でPDCAサイクルによる教育活動の評価、改善の流れを着実に進めてほしいと思う。

合わせて、これからの学習で重要な「主体的・対話的で深い学び」の実現も強調している。

子供たちが自ら課題を発見し、探究して、さらなる課題意識と学びの深化が生まれる実践の改善を願っている。

各学校現場では、これまでも子供たち一人ひとりの障害の状態などに基づく個に応じた指導の充実と体制づくりを進めていただいており、感謝している。

教育要領と学習指導要領の今回の改訂は、学校現場の教職員の努力をしっかり支えるのを重視し、指導の工夫改善がさらに進むのを願い、策定した。この趣旨を教委や学校にしっかり理解してもらうための周知活動に力を入れたい。教育現場と一致協力して取り組む決意だ。

――学校現場に特に伝えたい点は?

各学校では、個別の指導計画や個別の教育支援計画を活用して、一人ひとりの子供たちへの指導の充実が図られるよう、校内の全教員はもとより、保護者とも学習の成果などを理解し、共有する流れを促進してほしい。

多忙な学校現場の状況を考慮した学校への制度的支援も進める。(独)国立特別支援教育総合研究所では、ポータルサイトを通じて、個別の指導事例を提供したり、教材開発のアドバイスを載せたりしている。

新教育要領と新学習指導要領の全面実施までに、学校で役立つ実践事例紹介を充実するのも目指している。

法律改正で、通級による指導のための教員の定数改善なども推し進めた。学校の指導を充実させ、円滑に進めるための多面的なサポートに力を尽くしたい。

各学校現場のカリキュラム・マネジメントが深まる中で、浮かび上がった現場発の課題を文科省も共有していきたい。

夏に向けて、まず、都道府県教委などを対象にした説明会を実施する予定だ。説明会によって、教委や学校現場に新教育要領と新学習指導要領の適切な理解を深めてもらうのを願っている。

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