移行期間になすべきことー新学習指導要領実施に向け(9)

内容の系統性と算数活動に着目
日本数学教育学会理事埼玉大学教育学部教授
二宮 裕之

文科省は、小学校は平成30、31年度の新学習指導要領への移行期間に、円滑な移行ができるよう、算数科の内容を一部加えるなどの特例を設けた。移行措置の内容として、「メートル法」(4年生)、「小数を用いた倍」「簡単な割合」(4年生)、「速さ」(5年生)、「分数の計算」(6年生)を挙げている。

「メートル法」はこれまで、5年生までに学習した長さ、重さ、面積、体積などをまとめる形で、6年生で包括的に学習されてきた。しかし、多くの教科書では、6年最後の単元として位置づけられ、既習の事柄を忘れている児童には、実感の伴う学習とはならなかった。

そこで、新しい学習指導要領では、4年生で面積の単位を学習したところで、面積の単位とそれまでに学習した単位との関係を考察する形で、メートル法を俯瞰することになった。

同じく4年生では、「ある量の何倍かを表すのに小数を用いること」(小数倍)と「ある2つの数量の関係と別の2つの数量の関係とを比べる場合に割合を用いること」(割合)が、新たな学習内容として加わっている。

これまで6年生で学習していた「速さ」は、5年生で学習する「異種の2つの量の割合として捉えられる数量」の学習に位置づけられる。さらに、これまで5年生で学習した「分数×整数」「分数÷整数」は、分数の乗除法として6年生でまとめて扱われる。

一連の内容が移行の対象になった背景は、従来から捉えられてきた算数内容の系統に加え、児童の活動との関連性が大きく意識されている。

「メートル法」は、面積の単位についての学習が明確なときに、他の既習の単位を振り返りながら、メートル法の仕組みを学習する。

「速さ」は、同じ「異種の2つの量の割合」として、「混み具合」や「人口密度」と同時に学習する。分数の乗除法は、乗数・除数が整数のものと分数のものとを合わせて6年生で学習する。

このように児童の数学的活動(思考・認識)に注目し、同じ思考で扱える内容を同時に学習するようになった点に留意したい。

4年生では「小数倍」「割合」が新たな内容として加わった。「倍の意味の拡張」(「いくつ分」という捉え方から、「基準量を1としたときにいくつに当たるか」と、「倍」の意味を拡張して理解すること)を「数と計算」の領域で学習するとともに、「2つの数量の関係を割合を用いて比べること」(基準量Bに対して比較量Aがどれだけに相当するかを、A÷Bの商で比べること)を「変化と関係」の領域で学習する。

小学校算数の学習内容の中でも、特に理解が難しい「倍の意味の拡張」「割合」を同じ学年で関連付けて学習することで、2年生で学習する「かけ算の意味」を一般化するとともに、5年生以降の「異種の二量の割合」や「比・比例」の学習がスムーズに進むよう意識した指導を意図するものと捉えたい。

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