詳報 平成28年度問題行動調査

小学校の暴力が増加傾向に
小学校の暴力が増加傾向に

10月26日に文科省は平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を公表した。28年度の傾向として、▽暴力行為の発生件数の増加▽いじめの認知件数の大幅な増加▽児童生徒の自殺――が挙げられる。

さらに推移や傾向などを分析したところ、暴力行為では小学校低学年から中学年にかけての増加が課題として浮き彫りとなり、いじめでは認知件数の増加がみられるものの、学校の対応も進んでいる様子がうかがえた。また、自殺に関しては増加傾向にあるのと同時に、学校側がその事実や原因を把握できていない可能性が考えられる。

暴力行為、いじめ、自殺の調査内容を詳しく追った。

〈暴力行為の発生件数〉
▼小学校で急増

小・中・高校における暴力行為の発生件数は5万9457件で、前年度の5万6806件と比べ、2651件増加した。児童生徒千人あたりの発生件数は4.4件だった。

校種別にみると、高校は6462件で前年度比193件減、中学校は3万148件で同2925件減、ここ数年減少傾向を示している一方、小学校は2万2847件で同5769件増と、増加傾向にある。今年、初めて2万件を超えたのは注目される。

暴力行為の状況をみると、小学校では▽対教師暴力▽生徒間暴力▽対人暴力▽器物破損――のいずれも増加しており、特に生徒間暴力は1万5811件で前年度比4464件増となり、暴力行為全体のうち約7割を占めている。中学校では、いずれの項目も前年度と比べて減少している点が対照的だ。

中学校、高校の発生件数の総数は減少傾向にあるが、依然として生徒間暴力が6割超となっている。

加害児童生徒を学年別にみると、ピークは中学校1年生から3年生の間であるのは前年度比べて変わらないが、小学校1年生から中学校1年生にかけては、前年度より増加している一方で、中学校2年生から高校3年生は減少している。

〈いじめの状況〉
▼認知件数が10万件増

小・中・高校・特別支援学校におけるいじめの認知件数は32万3808件で、前年度の22万5132件より約10万件増加した。児童生徒千人当たりの認知件数は23.9件だった。

認知件数は全校種で増加している。小学校は23万7921件で、前年度比8万6229件増、中学校は7万1309件で同1万1807件増、高校は1万2874件で同210件増、特別支援学校は1704件で同430件増となった。

この背景には、前年度の同調査結果が出た際に文科省が出した通知で、潜在的ないじめの懸念から、いじめの認知件数が「0」の学校に対し、その旨を児童生徒や保護者に向けて公表し、検証を仰ぐよう求めた影響が大きいと推測される。実際に、いじめを認知した学校は全体の68.3%で、前年度より6.2ポイント上昇し、1校当たりの認知件数も8.6件となり、前年度より2.7件増加した。

学年別のいじめの認知件数をみると、小学校2年生から3年生にかけてと、中学校1年生でピークを迎えている。小学校1年生から高校3年生まで、いずれの学年も、前年度よりいじめの認知件数は増加しているが、特に小学校の低学年から中学年にかけて増加している。

いじめにより、児童生徒の生命や財産などに重大な被害を与えられると疑われたときや、児童生徒が相当期間学校を欠席せざるを得ない状況になっているときなど、いじめの重大事態の発生件数は400件で、前年度の314件より86件増加した。校種別にみると、小学校は119件で前年度比6件増、中学校は186件で同36件増、高校は92件で同47件増、特別支援学校は3件で同3件減となった。

▼学校側の認知進む

いじめの様態別状況では、小・中、特別支援学校では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、続いて「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が多い。高校では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、続いて「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」が多くなっている。同項目は全体で1万783件と増加傾向を示している。

都道府県別の千人当たりの認知件数をみると、最小は香川県の5.0件で、最大は京都府の96.8件と、19.4倍もの開きがある。ただし、この差は25年調査の段階で約83倍だったものが徐々に縮小してきており、いじめを積極的に認知するよう周知した影響がみられる。

いじめの日常的な実態把握の方法についてみると、ほとんどの学校でアンケート調査を実施している。アンケートを実施している学校のうち、約7割の学校でいじめを認知しており、未実施校の認知が約2割であるのを踏まえると、アンケートはいじめの認知に有効な手法であるといえる。

個別面談も約9割の学校で実施されており、個別面談を実施した学校のうち、約7割でいじめの認知に至っていた。

〈児童生徒の自殺件数〉
▼学校側が事実や原因を把握できていない可能性

小・中・高校から報告のあった児童生徒の自殺者数は244人で、前年度215人と比べて29人増、過去10年間で最多となった。小学校で4件、中学校で69件、高校で171件発生し、中学校と高校で増加した。

自殺した児童生徒が置かれていた状況をみると、中学校では「その他」と「不明」を除き、「えん世」と「家庭不和」が最も多く9件、続いて「いじめの問題」が8件、「友人関係(いじめを除く)」が7件だった。同様に高校では「進路問題」が最多の21件、次いで「家庭不和」が18件、「異性問題」が13件だった。

ただし、「不明」の件数は小学校で3件、中学校で35件、高校で94件と、いずれも自殺した児童生徒の半数以上で、その原因を学校側が把握していないともいえる。さらに、警察庁の同様の統計調査では、小学校で10件、中学校で106件、高校で232件の自殺が発生しているとされ、同調査との数値にはかい離がみられる。

自殺が起こった際、学校側がその事実や原因を把握しきれていない可能性もある。