課題と解決に向けた展望 平成28年度問題行動等調査の結果から(2)

文科省が10月に公表した平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、▽いじめの認知件数の大幅な増加▽暴力行為の発生件数の増加――などが傾向として見られた。いじめ、不登校、自殺、暴力行為の4テーマの、課題と解決に向けた展望を、嶋﨑政男神田外語大学客員教授が論じる。第2回。


問題行動の課題と解決に向けての展望②
神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男

「第二急増期」ともいえる状況

不登校史は「平準期」(昭和53年度まで)、「増加期」(62年度まで)、「急増期」(平成11年度まで)、「高原期」(今日まで)の4期に分けて考察できる。

しかし、28年度の統計では、小学生3万1151人(千人比4.8人)、中学生10万3247人(同30.1人)と過去最高となった。しかも、小・中学生ともここ4年間の増加が顕著で、小学生は「増加期」と、中学生は「急増期」同様の上昇率となっている。「第二急増期」ともいえる状況で、深刻かつ憂慮すべき緊急事態を迎えている。

にもかかわらず危機感が感じられない。多くの不登校経験者は社会的自立を果たしているが、長期化・高齢化が問題になっている「ひきこもり」等、次のステップに踏み切れずに悩む者も少なくない。

この原因の根本に、不登校の発現原因をめぐる「学校元凶説」と「個人・家庭要因説」の長い論争史があるように思えてならない。「多くの児童生徒が教員の叱責が原因で不登校に陥っている実態が浮かんだ」として、紙面の大半を「教員原因」の追及に費やした報道もあった。「不登校は学校教育の気の毒な犠牲者」として、学校悪玉論を展開するだけでは問題の解決には至らない。これまでの二の舞、三の舞だ。

不登校をめぐる昨今の動きも気になる。文部科学省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」の発出(平成28年9月)と、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(同年12月)の成立が相まって、「学校元凶説」に大きくかじを切った印象を受ける。

同通知では、「『問題行動』と判断してはならない」「不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味をもつ」「『学校に登校する』という結果のみを目標としない」などの考え方が示された。正論ではあるが、誤解を招くおそれもある。「脱不登校」は学校が真剣に立向かうべき責務があることを忘れてはならない。

「第二急増期など大ウソだったではないか」。そう叱咤される日が来ることを願う。