課題と解決に向けた展望 平成28年度問題行動等調査の結果から(3)

文科省が10月に公表した平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、▽いじめの認知件数の大幅な増加▽暴力行為の発生件数の増加――などが傾向として見られた。いじめ、不登校、自殺、暴力行為の4テーマの、課題と解決に向けた展望を、嶋﨑政男神田外語大学客員教授が論じる。第3回。


問題行動の課題と解決に向けての展望③
神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男

憂慮すべき状況に危機感を

「いじめの認知件数」の陰に隠れてしまったのか、「暴力行為」の増加は大きな話題とならなかったが、憂慮すべき状況に危機感を持たなければならない。

中学生・高校生の暴力行為発生件数が減少傾向にあるのに対して、小学生ではここ数年急増しているのである。しかも、対教師暴力の発生件数は中学校に迫る勢いである(小学校3628件、中学校3891件)。

対教師暴力、生徒間暴力、対人暴力、器物損壊を合わせた暴力行為は、小学校が2千件を超えた平成16年度は、中学校ではその11.4倍発生していたが、19年度は7.4倍、25年度3.7倍、28年度1.3倍と、その差は毎年縮まっている。

昭和40年代の「高校紛争」、50年代の中学校の「校内暴力」に続き、平成に入ると、小学校での「学級崩壊」が話題となり、「小1プロブレム」と共に、低年齢児での暴力行為が大きな問題となった。中学校の校内暴力に通じる高学年児童による教師への反抗・授業妨害への対応と、幼児万能感やしつけ不足が大きな要因を占める低学年児童の「小1プロブレム」対策の違いを明確にした取り組みが提言されたが、その認識は深まらず、多くの小学校でその対策に四苦八苦している。

小学生が本調査の対象となった平成9年の暴力行為は1432件であった。新聞紙上には「キレる小学生」「おびえる先生」「イス蹴って歯向かう6年女子」等、危機を伝える活字があふれ、早期解決を望む世論が形成されたが、現状は悪化の一途である。28年度は当時の16倍に達してしまった。

生徒間暴力を例に取ると、校内暴力全盛期では、一件当たりの加害生徒数は5.2人であったが、今回の調査では、小・中学生共1.1人であった。こうした違いを踏まえた上で校内暴力を乗り越えたノウハウを生かした取り組みを進めなければならない。

生徒間暴力を例にとると、校内暴力全盛期では、一件当たりの加害生徒数は5.2人であったが、今回の調査では、小中学生共1.1人であった。こうした違いを踏まえた上で校内暴力を乗り越えたノウハウを生かした取り組みを進めなければならない。

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