分析 プレテスト 問題の構成とねらい

大学入学共通テストの導入に向けて、11月13日から24日の間に実施された試行調査(プレテスト)は、平成28年8月に文科省が公表した「高大接続改革の進捗状況」で概要が示された後、10カ月程度の比較的短期間で委員の間で集中的に議論し、問題を作成した。

各教科共通して、知識の理解の質を問う問題、思考力・判断力・表現力を発揮して解く問題を重視した。特に国語と数学Ⅰ・Aでは、解答を文章で表現する記述式の問題が含まれている。また、それら以外の教科・科目のマーク式でも、複数の解答を選ぶ問題や該当する答えがなければ「0」にマークするという指示、いわゆる「解答なし」が含まれている問題もあった。

解答は従来より時間がかかったり、最後まで解ききれない生徒がいたりすることが想定された。選抜機能を果たすために一定数の問題の確保や、分野ごとの問題のイメージを網羅する必要性もあり、問いの配列を考慮して作問された。

問題の中には、教科書には出てこない初見の資料を複数扱い、中学校までの学習や授業などで得た既存の知識や思考力を活用し、課題解決するものも多くあった。

各教科・科目の問題のねらいや、新しい問題に対する有識者の評価は――。

【国語】素材と解答方式の重層化
複数の題材を組み合わせ、思考力を問う問題が出題された
複数の題材を組み合わせ、思考力を問う問題が出題された
■問題の構成とねらい

近代以降の論理的な文章、文学的な文章、実用的な文章と、古典の古文、漢文を対象に、言語活動の過程を重視した問題とした。

言語を手がかりとして、与えられた情報を多面的・多角的な視点から解釈したり、目的や場面などに応じて文章を書いたりする力が求められた。

従来のように、大問ごとに1つの題材を用いて問題を作成するのではなく、分野を超えて題材を組み合わせたり、同一分野で複数の題材を組み合わせたりする問題もあった。

大問は全部で5つ。第4問が古文を、第5問が漢文を主な題材として扱っている。正答率(速報値)が20%を下回った問題は、▽第2問、問3=19.4%▽第3問、問4=18.6%▽第5問、問2、解答番号3=12.5%▽同、問5=14.3%――。

なお、記述式の問題の正答率は、速報値の段階では公表されていない。

第1問は全問記述式。現代社会の生活で必要とされる実用的な文章のうち、高校生にとって身近な「生徒会規約(部活動規約)」を題材にし、それらを踏まえて話し合う言語活動の場を設定。複数の資料を用いて、テクストを場面の中で的確に読み取る力や、設問中の条件として示された目的などに応じた思考を表現する力を問うた。
第3問は、文学作品(「幸福な王子」)を踏まえて創作された小説が題材。登場人物の心情や言動の意味など、テクストを的確に読み取る。また、原作のあらすじと創作内容とを比較し、文学的文章における構成や表現の工夫を読み取る力を問うた。

第4問は、表記の異なる複数の古文と、それらに関する注釈書を題材とし、複数のテクストの比較を通して、登場人物の心情や言動の意味、表現の工夫を捉え、古文を的確に理解する力を問うた。

受検者数は6万4617人で、試験時間は100分で実施された。

■有識者による評価
ロバート・キャンベル国文学研究資料館長(中教審教育課程部会委員)

「国語」では、従来のように受検生が教室で学んだ基礎知識の程度を計測するだけではなく、さまざまな題材を与え、整理させ、その過程で深められた思考の形跡を浮き上がらせることによって、受検生が主体的に何を学び、考えたかを試すことができることに最大の特徴がある。

この特徴を、設問に用いられた素材と解答方式の重層化から読み取ることができる。既発表の論説などを一元的に読解させるのではなく、ある素材を俎上にのせ、その素材をめぐる人びとの議論や問いかけを重ね、受検生にその議論などを含み込んだかたちで、素材の意味を考えさせるようになっている。読み解くために深められた思考の過程が見えるようにすることで、受検生一人ひとりが積極的に学ぶことの手ごたえや重要性を実感できる試験にはなっているように感じた。

設問の素材に図表や写真が含まれ、文章とともに、それらが的確に理解されているかどうか、あるいは文語表現が「単語」としてだけではなく、文脈の中で充分に読み取れているかどうかなど、記述式や複数選択の解答が導入され、主体的な学びを測る効果に重点が置かれている。これらの点は、高く評価したい。

多角度的に、自ら考える力を問うという改善点とともに、従来の試験と比べて情報量がかなり増えている。時間も伸びているが、受検生が解答するのに負担が大きすぎないか、が課題として浮上するかもしれない。また素材の重層化にともなって、毎年、安定した高品質の素材と作問をどう担保するか、試験作成の仕組み事態に対し強化や工夫が必要であるように考えている。

参考資料

問題冊子

参考資料

正解表

参考資料

自己採点用紙

【数学】数学的な問題解決を重視
シミュレーションなどをイメージした問題が出題された
シミュレーションなどをイメージした問題が出題された

■問題の構成とねらい

数学的な問題解決の過程を重視した問題を通して、事象の数量などに着目して数学的な問題を見出すことや、目的に応じて数・式、図、表、グラフなどを活用し、一定の手順に従って数学的に処理することなどが求められた。日常の事象や数学の良さを実感できる題材、受検生が既知ではないものも含めた数学の事実、定理等を、既存の知識を活用しながら導けるような題材なども取り扱った。

数学Ⅰ・Aは5つの大問で構成され、第3問~第5問のうち、2問を選択して解答。解答を記述するのは、▽第1問〔1〕、(4)▽同〔2〕、(6)▽第2問〔2〕、(2)――の3問。

正答率が20%を下回った問題は、▽第2問〔1〕、(2)=6.8%▽同、(3)=3.0%▽第2問〔2〕、(4)=10.0%▽同、(5)=12.1%▽第3問、(3)=10.5%▽同、(4)=7.5%▽同、(5)、解答番号タチツテ=17.2%▽同、(5)、解答番号トナニ=15.7%▽同、(6)=12.0%▽第4問、(3)=3.1%▽同、(4)=5.7%▽第5問、(3)、解答番号オカ=7.3%▽同、(4)、解答番号ク=13.0%▽同、(4)、解答番号ケコ=11.3%▽同、(5)=0.9%――。

なお、記述式の問題の正答率は、速報値の段階では公表されていない。

第2問〔1〕では、文化祭で販売するTシャツの価格を一次関数や二次関数を用いて決定する。問題に示されたデータから、関数関係を見出して問題解決する力を問うた。

第4問は、正四面体に成り立つ性質について、コンピュータソフトを用いて探究する場面を取り上げた。空間図形の性質を用いて、論理的・発展的に考察。空間図形に成り立つ性質を論理的に説明したり、得られた結果を批判的に検討し、発展させたりする力を問うた。

数学Ⅱ・Bも大問5つで構成され、第3問~第5問のうち、2問を選択。正答率が20%を下回った問題は、▽第1問、[3](2)=12.6%▽第3問、(3)=10.4%▽同、(4)、解答番号テ=16.8%▽同、(4)、解答番号ト=18.9%▽第5問、(1)、解答番号アイウ=3.6%▽同、(2)、解答番号エオカ=4.9%▽同、(2)、解答番号クケコ=4.6%▽同、(2)、解答番号サ=16.6%▽同、(2)、解答番号セ=16.3%▽同、(2)、解答番号ソタチ=1.2%――。

第2問は、定積分により定義された関数のグラフの増減から、被積分関数のグラフの概形を考察。微分・積分の基本的な性質や数学的な見方・考え方を基に見出した事柄を既習の知識と結び付け、概念を広げたり、深めたりする力を問うた。

第5問は、袋詰めの菓子の内容量についての確率分布を考え、母平均を推定したり、必要な標本の大きさについて考察したりする内容。不確実な事象について、数学的根拠に基づいて批判的に検討したり、得られた結果の意味を考察したりする力を問うた。

受検者数は、数学Ⅰ・Aが5万3788人、数学Ⅱ・Bが1万6015人。試験時間は数学Ⅰ・Aが70分、数学Ⅱ・Bが60分で実施された。

■有識者による評価
小谷元子東北大学教授(中教審教育課程部会算数・数学WG主査)

大変に楽しく解かせていただいた。日常の問題を、自然な試行錯誤の中から、徐々に正解に近づいていく設定は、数学による問題解決の手法を学ぶことにもつながる。これまでの公式を使って正解を求めるという形式に比較し圧倒的に、自立した考えや発想を促す良問だ。中央教育審議会の算数・数学ワーキンググループで議論した方針にも良く沿っている。数学は科学の基礎であるので、できれば自然科学や生命科学などに通じる問題もあると良いと思う。実施に向けて、解答形式について工夫していただけると幸いだ。

参考資料

問題冊子_数学ⅠA.

参考資料

問題冊子_数学ⅡB

参考資料

正解表

参考資料

自己採点用紙

【地理歴史・公民】テーマでの学びを意識
テーマによる歴史の切り口や地域課題の将来像を構想する問題が出た
テーマによる歴史の切り口や地域課題の将来像を構想する問題が出た
■問題の構成とねらい

世界史B・日本史Bでは、歴史に関わる事象を多面的・多角的に考察する過程を重視した問題を通して、用語に関する知識ではなく、事象の意味や意義、特色や相互の関係性などに関する理解が求められた。教科書などで扱われていない初見の資料でも、得られた情報と授業などで学んだ知識を活用し、▽仮説を立てたり、歴史的事象の展開を考察したりできるかどうか▽時代や地域によらず「歴史の見方」のようなテーマを設定▽時間軸を長く取った時代を貫く――などの問題が含まれた。

世界史Bは6つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題は、▽第2問A、問3=19.8%▽第3問B、問6=17.1%――。

第4問Aでは、家系図とそれに関する会話文を基に、君主や最高指導者の地位の継承が、歴史的事象にどのような影響を与えたのかを考察する力を問うた。同問Bでは、19世紀のイギリスの労働者階級の食費の統計資料を基に、食物が世界の歴史に果たした役割について考察。また、ヴィクトリア女王の家族の絵画を基に、当時のイギリスの社会の状況と家族観について考察させた。

第6問では、近代オリンピックに関連した課題研究をテーマに、オリンピックの参加選手数の増減と歴史的事象との関わりや、各年代のオリンピックと歴史的事象との因果関係を問うた。

日本史Bは6つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題はなかったが、第6問Cの高度経済成長期の経済や政治体制を問う問題は、他の問題と比べ正答率がやや低い傾向だった。

第1問では、日本の前近代における会議や意思決定の在り方をテーマとして、学習者の探究活動の場面を設定し、資料に基づき各時代の特徴を捉え、歴史的事象の背景を考察。さらに、各小問の内容に基づき、歴史上の出来事と現在との関係を考察させた。

第5問Aでは、時代の転換をテーマとした学習過程を設定し、歴史事象の評価は必ずしも一義的に定まるのではなく、多様な解釈が存在することを踏まえ、因果関係、事象の意味や意義を考察したり、根拠付ける力を問うた。

地理Bは、地理に関わる事象を多面的・多角的に考察する過程を重視した問題を通して、事象の空間的な規則性を分析して地域性を捉えることや、地域の変容、地域の構造について考え、地域の課題を理解し、将来像について構想していくことが求められた。系統地理と地誌の両分野からのアプローチを意識した問題も含まれた。

地理Bは5つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題は、第5問、問1=17.2%だった。また、同じく第5問の問4で、防災施設の写真と立地から、設置された目的や役割について当てはまる選択肢を全て解答させる問題の正答率が22.1%だった。

第2問では、世界の食料問題をテーマとして、多様な資料から情報を取り出し、1つの地域にのみ見られる特色と、他の地域との共通性とを見出し、指標を基に各国の状況を比較するのを通して、多様性が生まれる要因を考察。授業での探究の場面を設定し、現代世界の諸課題を意識できるようにした。

第5問では、生活圏の地域調査に関し、異なる種類の資料から取り出した情報を統合し、地域の特徴や課題を考察。自然災害への備えや対応に着目し、地域の諸課題について考えさせた。1つの地域が抱える課題を、日本の地理的な諸課題へ一般化する探求過程を示した。

公民は、現代社会の課題や人間としての在り方・生き方などについて、多面的・多角的に考察する過程を重視。文章や資料をしっかりと読み解きながら、重要な概念や理論などを活用して考察する。身近な社会的事象に重要な概念や理論などを適用して考察する問題や、統計などの多様な資料を読み解き、さまざまな立場から考察する問題などが含まれる。

現代社会は5つの大問から構成される。大問ごとに、学習時期や場面が設定されている。正答率が20%を下回った問題は、▽第3問、問3=16.7%▽第4問、問1=4.6%▽第5問、問4=19.8%――。

第2問では、夏休みの課題として複数のテーマについて調べる場面を設定。青年期と自己の形成の課題について、アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論などを活用して、進路決定や日常生活の葛藤について考察。日本や世界の宗教・文化を捉える上で、重要な知識や考え方の理解を問うた。

第5問では、大学の法学基礎ゼミナールの授業場面を設定。学生がまとめた文章に示された日本国憲法や日本の司法制度に関する知識についての理解を問うとともに、裁判員制度に関する学生同士の議論で展開された賛成・反対の主張とそれぞれの根拠を考察させた。

受検者数は、▽世界史B 6374人▽日本史B 8308人▽地理B 4875人▽現代社会 5166人――。試験時間は各60分だった。

■有識者による評価
田中愛治早稲田大学教授(中教審教育課程部会高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム主査)

大学入試センターが作った新しいタイプのサンプル入試問題は、嬉しい驚きであった。学習指導要領の見直しの過程で、地歴・公民の分野での特別チームでの議論は、高校生にいかに考えさせるか、どう考えさせるかということを最優先課題としていたのだが、今回のサンプル問題はその精神を大変良く具体化している。

論述式ではなく、客観形式の問題でありながら、これほどに受検生に考えさせる問題を作ることができるのかという驚きと、作題に携われた先生方のご苦労が想像できた。受検生に思考の大切さを教えることができる良い問題を良く練り上げられたと感服している。

例えば、基礎知識を必要とする問題でも、直接それを問うのではなく、その知識を基に考えて答えるように工夫された問題など、非常に工夫が行き届いて、受検生に考えて解くことの重要性を分からせる良問を作られたことに敬意を表したい。

古城佳子東京大学教授(中教審教育課程部会高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム委員)

高等学校の学習指導要領の改訂が2022年度に行われる予定であるが、科目の改変は別にして、この改訂に向けて現在の高等学校の学習で習得することが期待される能力について、プレテストは問う内容になっていると感じた。特に、資料から読み取った情報を基にして考察する力、情報を基にして比較や関連づけを行なう力、現代社会の課題と結びつけて考える力を問う姿勢は顕著である。問題文の形式も、史料、図表、グラフなどの情報を中心に据えて生徒間での討論であったり、テーマに沿った学習発表であったりと高等学校で今後期待される学習のあり方に沿っている点は、問題文にも工夫がなされている。また、問題文や資料をきちんと読まなければ解答できない工夫もなされている。

用語や年号の記憶に偏る傾向の強かった社会科学習を変えようとする姿勢は評価する。思考する前提として知識の習得が重要であるのは言うまでもないので、知識がなくても解けてしまう問題ではなく、知識の理解力、活用能力を問う問題を今後も工夫してもらいたい。

参考資料
問題冊子・現代社会

参考資料
問題冊子・世界史B-1

参考資料
問題冊子・世界史B-2

参考資料
問題冊子・地理B-1

参考資料
問題冊子・地理B-2

参考資料
問題冊子・地理B-3

参考資料
問題冊子・地理B-4

参考資料
問題冊子・日本史B

参考資料
正解・社会

【理科】科学的な探究を重視
中学校の学習を発展させた問題やデータに基づいた仮説形成などが問われた
中学校の学習を発展させた問題やデータに基づいた仮説形成などが問われた
■問題の構成とねらい

科学的な探究の過程を重視した問題。自然事象の中から本質的な情報を見出し、課題の解決に向けて主体的に考察・推論させた。教科書などでは扱われておらず、受検生にとって既知ではない資料などを分析的・統合的に考察できるかという、深い理解を伴う知識や思考力を問う問題、仮説を検証する過程で数的処理を伴う思考力が求められた問題を含める。

物理は4つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題は、▽第1問、問2=10.1%▽第2問、問3=17.0%▽第3問、問2=10.3%▽同、問4=12.5%▽同、問5=2.5%▽第4問、問1、解答番号1=14.6%▽同、問2=7.3%――。

第2問では、ひもやばねに吊された物体に見られる周期運動についての理解を基に、小学校の振り子の実験を題材に、新たな情報を比較・分析したり統合したりすることで考察・判断するなど、課題解決の力を問うた。

第3問では、平面内を運動する物体の運動についての理解と「物理基礎」で学習した運動・位置エネルギーや熱現象とエネルギーの関係に関する理解を基に、自動車を題材として資料に示された条件を解釈。グラフを活用・分析したり情報を統合したりするなど、課題を解決する力を問うた。

化学は5つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題は、▽第1問、問4、解答番号5・6・7=4.6%▽第2問、問1、解答番号2・3・4・5=7.6%▽第3問、問4=10.0%▽第4問、問3、解答番号6・7=9.4%▽第5問、問4=19.0%――。

第1問では、化学的な事物・現象に関する原理・法則についての理解を基に、物質の状態と変化について、仮説の妥当性を評価し、情報を基にグラフを描いて現象に関する値を求めたり、必要な情報を抽出して現象に関する数的処理を行う。

第5問では、デンプン糊による紙の接着現象を題材として、有機化合物や高分子化合物の性質、反応に関する理解と、分子の間に働く力などについての理解を基に、資料で示された反応から情報を抽出して関係性を見出す。仮説を立てたり、実験結果として妥当性を判断したりする。

生物は6つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題は、▽第2問B、問6=6.1%▽第3問B、問5、解答番号5・6・7=11.5%▽第4問A、問1=15.0%▽同、問2=10.1%▽第5問A、問2=13.1%▽第5問B、問3=9.0%▽同、問5=4.6%▽第6問、問3=11.4%――。

第3問Aでは、中学校で学習する葉のつくり、生物基礎で扱う生態系と物質循環、生物で扱う光合成についての理解を基に、光合成が与える影響を題材として、多様な視点から情報を整理・統合する。さらに、グラフを分析・解釈した結果を組み合わせることにより考察する。

Bでは、植物の窒素同化の過程に関する理解を基に、農薬が働く仕組みを題材として、科学的に理解し、情報を統合しながら課題を解決する力を問うた。

地学は5つの大問で構成。正答率が20%を下回った問題は、▽第1問、問2=15.5%▽第3問、問2=11.1%――。

第2問では、マグマが発生・分化し、その過程でつくられる多様な火成岩と、元の岩石が高温・高圧下でできた変成岩についての理解を基に、生徒が探究活動に取り組む場面を題材として、図表などを活用し、獲得した情報を整理・統合して課題を解決する力を問うた。

第4問では、地球と惑星の運動、太陽系天体の特徴や運動、太陽の活動や恒星の性質と進化に関する理解を基に、皆既日食の観察などを題材として、新たな情報と既存の知識を関連付けながら関係性を見出し、与えられた値を適切に処理する。

受検者数は、▽物理 6139人▽化学 7004人▽生物 5131人▽地学 712人――。試験時間は各60分だった。

■有識者による評価

大島まり東京大学教授(中教審教育課程部会委員)

今回の試行テストは、今までの入試問題の傾向と異なるため、戸惑いを感じる人が多いのではないかと思う。しかし、次期学習指導要領を視野に入れ、「知識の量」から「知識の質・深み」を問う問題への方向性を模索した取組であり、その第一ステップとして評価できるのではないだろうか。各単元で習得した基礎的知識を問うだけでなく、横断的な問題もあり、これらの問題を通して内容を読解し、知識を組み立て考える能力も問われている。

全体として、様々な挑戦的な試みがなされていて、熟考された良い問題と言える。一方、説明文が比較的長く、問題が多いと感じられるなどの、課題も見られる。試行テストの結果を分析、検討することで、具体的な課題を明確にし、思考力や判断力等も評価できる、より良い問題の作成へと改善していただきたい。そして、新しい時代に必要となる資質、能力の育成へとつながる、そのような入試改革となることを期待している。

塩瀬隆之京都大学総合博物館准教授(中教審教育課程部会高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム委員)

試行テスト受検者の多くは、まず設問文の長さに躊躇し、全選択や該当なしの選択問題に戸惑うかもしれない。しかしそれは、深い読解力を必要とし、状況を分析する思考力、そして消去法でない確かな判断力を問うための新たな作問方針によるものだ。

設問文が長い、選択肢が複雑すぎる、といった消極的な声が上がることも予想されるが、まさに「急激な社会変化の中でも、未来の創り手となるために必要な資質・能力」を問うことに挑戦するメッセージがこめられた作問と受け止めたいと思う。「これまでの暗記中心の勉強では通用しない」という声が上がることを歓迎し、試行テストの点数や難易度は一旦わきに置いて、思考力や判断力の習得度を問う内容かどうか精査すべきだ。

全数選択と該当なしを組み合わせると極端に難易度が上がり、長い設問序文も受検生に敬遠されたりする恐れがある。しかし、設問形式ごとの偏りを分散させるなど工夫の余地が充分に残っており、結果の点数だけに着目してせっかくの挑戦に対して否定的な判断が下されることは避けるべきだ。教育関係者の皆様におかれては、本丸の入試改革を後押しするような建設的な議論につながる新テスト試行の分析、検討を期待している。

参考資料
問題冊子・化学

参考資料
問題冊子・生物

参考資料
問題冊子・物理

参考資料
問題冊子・地学

参考資料
正解表・理科