課題と解決に向けた展望 平成28年度問題行動等調査の結果から(4)

文科省が10月に公表した平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、▽いじめの認知件数の大幅な増加▽暴力行為の発生件数の増加――などが傾向として見られた。いじめ、不登校、自殺、暴力行為の4テーマの、課題と解決に向けた展望を、嶋﨑政男神田外語大学客員教授が論じる。第4回。


問題行動の課題と解決に向けての展望④
神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男

ナレッジマネジメントの機能生かして

平成28年度の児童生徒の自殺者数は前年比29人増の244人(小学生4人、中学生69人、高校生171人)に上り、ここ数年の増加傾向とも相まって深刻な状況となっている。自殺予防の取り組みは生徒指導上の最重要課題の一つである。

調査結果を報じたマスコミの論調を基に、「脱自殺いじめ」への道を探ると、第一に原因論を巡る正しい理解の必要性を感じる。

「児童生徒の自殺というと、最近ではしばしばいじめの有無ばかりに焦点が当てられますが、実際には自殺は様々な要因が複雑に関連して生じる現象」(文科省「生徒指導提要」)であることへの理解を、まずもって深めたい。

「いじめ認知最多」に続けて「10人の自殺原因に」と大きな見出しをつけた紙面もあったが、そもそも「いじめ自殺」という用語そのものが、「いじめられ=自死」という短絡思考を生む危険性を持つ言葉である。慎重な配慮をしなければならない。

調査では、自殺原因は「家庭不和」と「進路問題」が27人で最多で、「不明」が132人と半数以上を占めた。「直接のきっかけ」と「決行に至るまでの準備状態」の適正な分析が重要であることを改めて肝に銘じる必要がある。

第二に、毎回話題となる警察発表(348人)との違いについてだが、「自死を伏せてほしい」という遺族の強い要望や警察の厳しい個人情報保護の姿勢への理解が深まったのであろう。「学校の隠蔽(いんぺい)体質」批判は影を潜めてきた。

しかし、特定の方向への世論誘導の姿勢は相変わらずである。教員による厳しい叱責・指導を主要因とする中二男子生徒の自死が報じられた影響があったためと思われるが、「教員原因」を前面に出した紙面構成もいくつかみられた。

尊い命が失われたのである。ナレッジマネジメント(他校の事例を参考に自校での再発を防ぐ)の機能を生かし、同様な事案の発生は何としても防がなくてはならない。

関連記事