詳報 学校における働き方改革に関する緊急対策

中教審が提出した「学校における働き方改革」中間まとめを受け、文科省が12月26日に発表した「学校における働き方改革に関する緊急対策」。中間まとめで示された具体的方策を踏まえ、文科省が中心となって実施する内容に関する方針を取りまとめた。4つの柱で示された同省の”ミッション”によって、改革に向けた動きは加速するか――。

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1.業務の役割分担・適正化に向けた取り組み

業務の役割分担・適正化を進めるための取り組みとして、中間まとめで示された代表的な業務について、学校や教師・事務職員の業務範囲を明確化し、各教委の学校管理規則に適切に位置付けられるように、モデル案を作成する。

また、▽地域や保護者に向け、学校における働き方改革の趣旨などを分かりやすくまとめた資料の提供▽業務改善の優良事例の収集▽コンクールや体験活動を実施する民間団体などに対して、学校の軽減負担に向けた協力の周知▽コミュニティ・スクールや地域学校協働活動などを通じた学校教育の質の向上――などを通じて、保護者や地域をはじめとした社会全体で学校の働き方改革への理解を求める。

業務改善の実効性を担保するために、学校の業務改善のための取り組み状況を調査し、市町村別の実施状況を公表する。

省内に教職員の正規の勤務時間や人的配置、業務改善の取り組みなどの状況を踏まえて、教職員の業務量を俯瞰し、一元的に管理する組織を整備する。今後、学校に新たな業務を付加するような制度改正などを行う場合には、この組織と事前に調整を行うようにする。

2.各業務を適正化するための取り組み

(1)登下校に関する対応

通学路における安全確保を効果的に行うため、自治体が中心となって、学校、関係機関、地域との連携を一層強化する体制構築に向けた取り組みを進める。

(2)学校徴収金の徴収・管理

学校給食費は原則公会計化する方針。その上で、自治体の先行事例を踏まえ、公会計化導入に向けたガイドラインを作成する。その他の学校徴収金も、公会計化に向けた好事例を提示する。

(3)調査・統計等への回答

政府の統計改革推進会議の方針を踏まえ、教委や学校を対象に実施している調査項目の洗い出しを行い、必要に応じて重複の排除などの整理・統合を行う。文科省と教委が実施する調査の重複排除を図るため、できる限り、事前に教委に、調査実施時期や調査項目を提示する。

教委による学校への調査・照会については、調査の対象、頻度、時期、内容、様式(選択式、ウェブフォームの利用など)の精査を促す。

(4)部活動

運動部活動では、今年度末までに、部活動の適切な運営のための体制整備や、適切な活動時間、休養日などに関する明確な基準を設定し、各種団体主催の大会の在り方の見直しなども含めたガイドラインを作成する。文化部活動でも、同様にその在り方について検討し、ガイドラインの作成などを行う。

部活動の顧問は、教員の勤務負担軽減や生徒への適切な指導の観点から、学校職員として部活動の実技指導などを行う部活動指導員や外部人材を積極的に参画させるよう促す。スポーツ庁が作成予定の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を順守し、部活動指導員の参画が教師の働き方改革につながる取り組みであるなどを条件に、支援を行う。

少子化などで小規模化している学校では、部活動の適正化を図る。生徒がスポーツなどを行う機会が失われないよう、複数の学校による合同部活動や総合型地域スポーツクラブとの連携などを積極的に進めるよう促す。

大会・コンクールの主催者に対しては、部活動指導員による引率、合同チームや地域スポーツクラブの大会参加が可能となるよう、規約改正などを求める。また、大会が相当数存在し、休日開催も多い実情を踏まえ、各種団体に、現状把握と見直しを要請する。

一部の保護者による部活動への過度の期待などを変えるため、入試における部活動に対する評価の在り方の見直し検討も促す。

将来的には、自治体や教委で地域住民と学校の意識共有を図りつつ、地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる体制整備に向けた取り組みを進め、部活動を学校単位から地域単位にし、学校以外が担うことも検討する。

(5)授業準備

教材の印刷や物品の準備のような補助的業務や、理科の実験観察などは,教員と連携した上で、サポートスタッフや理科の観察実験補助員の積極的な参画を促進する。

小学校での外国語の拡充・教科化に向け、デジタル教材や指導書、学習指導案、ワークシートなどの資料を含め、次期学習指導要領に対応した教材を開発し、配布する。

(6)学習評価や成績処理

宿題の提出状況の確認や簡単な漢字ドリル、計算ドリルの丸付けなどの補助的業務は、教員との連携の上で、法令上の守秘義務が課される地方校務員(非常勤職員等)としての任用などで、適切な業務を行えるサポートスタッフの積極的な参画を促す。

次期学習指導要領の学習評価の在り方は、中教審初等中等教育分化会教育課程部会での専門的な検討を踏まえ、指導要録の参考様式の大幅な簡素化も含め、効果的で教師に過度な負担とならないような学習評価の在り方を示す。

(7)学校行事の準備・運営

理科の野外観察や社会科見学など、本来、教科の学習に相当する内容の一部が学校行事として行われている状況を踏まえ、カリキュラム・マネジメントの観点から学校行事と教科の関連性を見直す。これまで学校行事とされてきた活動のうち、教科の指導に位置付けた方が適切なものについては、積極的に教科の授業時数に含めるように促す。

また、学校行事の精選や内容の見直しを推進するため、具体的な取り組み事例を提示する。

(8)支援が必要な児童生徒・家庭への対応

専門的な人材に任せるべき業務を明確にするとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、特別支援教育の支援ができる専門的な人材、日本語指導ができる支援員など、専門的な人材の方が効果的な対応ができる業務については、講師と連携し、これらの人材が中心となって担えるよう、積極的な参画を促す。

保健室登校への対応などが増えている状況を踏まえ、養護教諭の業務の効率化・負担軽減についても検討する。

家庭との対応で、保護者などからの過剰な苦情や不当な要求への対応が求められる場合や、児童生徒を取り巻く問題に対して法的側面からの助言が必要な場合などについて、学校が組織として対応できるよう、教委の支援体制を構築し、スクールロイヤーなどの配置を進める。

3.学校が作成する計画等・組織運営に関する見直し

計画の内容や学校の実情に応じて、カリキュラム・マネジメントの充実を図る観点などから、各種計画の作成に当たっては、統合や複数の教師による協力・共有化、教委が作成したひな形の利用などを推進する。

教委が学校に作成を求めている計画などを把握した上で、スクラップ&ビルドの視点に立ち、計画の必要性を含めて整理・合理化を図る。新たな課題に対応した計画の作成を求める場合には、既存の計画の見直しの範囲内で対応するのを基本とする。

学校に設置されたさまざまな委員会などは、類似の内容を扱うものは合同設置や構成員の統一などを図るよう促す。

4.勤務時間に関する意識改革と時間外勤務抑制のための必要な措置

勤務時間の管理の徹底では、自己申告方式ではなく、ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムを直ちに構築するよう促す。

登下校時刻の設定や部活動、会議などは、教職員の休憩時間の確保も含め、勤務時間を考慮した時間設定を行うよう徹底する。

部活動や夜間の見回りなど、超勤4項目以外の業務については、校長は時間外勤務を命じられないことを踏まえ、早朝や夜間など、通常の勤務時間以外の時間帯にこうした業務を行う場合、正規の勤務時間の割り振りを適正に行うなどの措置を講ずるよう徹底する。

緊急時の連絡に支障がないよう教委事務局などへの連絡方法を確保した上で、留守番電話の設置やメールによる連絡対応などの体制整備に向けた方策を講ずるよう促す。

部活動は、適切な活動時間や休養日の設定を行うためのガイドラインを示し、長期休業期間中に年次有給休暇を取得できるよう、一定期間の学校閉庁日の設定も促進する。

勤務時間の設定に関する取り組みについては、学校運営協議会などを通じて保護者や地域の理解を得られるよう、文科省や教委が必要な要請をPTAなどに対して行う。

教職員全体の働き方に関する意識改革では、組織管理や時間管理、健康安全管理をはじめとしたマネジメント能力を養成するための研修を実施し、管理職登用の際にも、それらの能力を適正に評価するように促す。

校長が学校の重点目標や経営方針に、教職員の働き方に関する視点を盛り込み、その目標・方針に従って学校経営を行う意識を持つとともに、教職員一人一人が業務改善の意識を持って進めるために、人事評価が積極的に活用されるように促す。

学校が保護者や地域住民に説明責任を果たし、理解と協力を得るためにも、学校評価の重点的な評価項目の1つとして、業務改善や教職員の働き方に関する項目を位置付け、自己評価だけでなく、学校関係者評価や第三者評価も積極的に実施・検討していくよう促す。

教委は、学校評価と連動した業務改善の点検・評価の取り組みを推進するとともに、教委が策定する業務改善計画やその取り組みについて、毎年度実施する教委の自己点検・評価の中で取り上げるようにする。

政府の働き方改革実行計画で、時間外労働の限度を原則月45時間、年360時間としているのを参考に、教員が長時間勤務による健康を害さないためにも、勤務時間の上限の目安を数値で示したガイドラインを提示する。

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