デジタル教科書の併用認める 関連法案を今国会提出へ

梶山文科省初等中等教育局教科書課長に聞く

梶山文科省初等中等教育局教科書課長
梶山文科省初等中等教育局教科書課長

デジタル教科書に関し、視覚障害などのある児童生徒の学習支援や、新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」に対応できる学習環境を整備する目的で、文科省は2月下旬にも、学校教育法などの関連法改正案を国会に提出する。2019年度の1学期に間に合わせるため、同年4月の施行を目指す。同省初等中等教育局教科書課の梶山正司課長に、詳しい改正の方向性と意図を聞いた。


――改正内容は。

現在検討している改正案では、学校教育法で定められている小・中・高校での「紙の教科書の使用義務」に関する規定に、各学校の教育課程の一部で「紙の教科書に代えてデジタル教科書を使える」という内容を加える。これにより、授業では紙の教科書とデジタル教科書を併用できるようにする。デジタル教科書を効果的な場面で使えるということだ。

併用制により、事前に指導計画を立てた場合にはデジタル教科書の使用を考えていた場合でも、児童生徒の状況によってはデジタル教科書を使わないということも可能となる。

現場には「紙の教科書でのノウハウ」が豊かにあり、それを超えるくらいのデジタル教科書の有用性がある場合には、どんどん使ってほしいというものであるが、まずは段階的に併用制で使っていこうということだ。

――障害のある児童生徒への学習支援策も盛り込まれるのか。

視覚障害、発達障害などの理由により、紙の教科書での学習が困難な児童生徒には、「教育課程の全部」において、デジタル教科書を使用できるとする。文字拡大や音声読み上げなどの機能によって、こうした児童生徒の負担軽減につながる場合は使用できる。

また、特別支援学校や、工業高校などの高校の専門教科では、検定済み教科書がない場合がある。その際にも、授業で使用する教材でデジタル化されているものがあれば、教科書の場合と同じようにタブレット端末などで利用できるようにする。

a0208010クローズアップ・図――学校現場への浸透策は。

現状、デジタル教科書の販売状況は、小学校でいえば約2万校のうち200校ほどしかない。研究のための購入も多く、児童生徒が使っている数はその中でも限られる。

だから「こういうことには、気をつけたら?」「こういうことを、やってみるとよいかも」というガイドラインを、教科書課で作成する予定だ。ガイドラインの下地として、現在、いろいろ調査を進めている。法案が通れば、作成を急ピッチで進めていく。年内をめどに完成させたい。

――新学習指導要領への対策は。

新学習指導要領が実施される2020年に間に合うように、新制度をその1年前倒しで開始できるようにしたい。なぜかというと、一つは権利関係。教科書会社が作成するに当たって、著作権者とやりとりする際に、「著作権法はこのようになった」と決まっていた方が円滑に作成できる。そして現場の「指導要領が変わる前でも、使えるものは使っていこう」という思いに対応できるようにしたい。

――現場へのメッセージを。

デジタル教科書の活用で、学び方の広がりを期待したい。各学校において、そのメリット・デメリットを見極めつつ、試していただきたい。また、デジタル教科書活用のよい例があれば、共有していってほしい。

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