部活動ガイドラインめぐり討論 日本部活動学会がシンポ

eye-catch_1024-768_cl-up_fin部活動を学術的に分析・考察し、実践に資する目的で発足した「日本部活動学会」(会長・長沼豊学習院大学教授)は3月25日、第1回大会を都内で開き、公開シンポジウム「どうなる?どうする?部活動!~理論と実践の往還を目指して~」を行った。宮城教育大学の神谷拓准教授、大阪市立上町中学校の杉本直樹教諭、学校業務改善アドバイザーで中教審委員の妹尾昌俊氏(教育新聞特任解説委員)、弁護士の望月浩一郎氏が登壇し、部活動ガイドラインなどについて意見を述べ合った。また、専門家から音楽家まで、さまざまな参加者からも意見が出された。シンポジウムで出された主な発言をまとめた。


■部活動ガイドラインをどう受け止めているか

神谷氏 学校で何かを始める場合、時間と内容がセットであるべきだ。従来より時間を減らすのであれば、今までの部活動ではどういう内容を扱ってきて、これからはどういう内容を扱うのか、時間を規制して何をしたいのか、そこまで示さないと、ガイドラインにはならないのではないか。

妹尾氏 部活動は教育課程に入っていないが、仮に時数換算すると、どの教科よりも圧倒的に多いのが実情ではないか。それに、子供がいくら部活動に打ち込みたいといっても、ケガやバーンアウトになるリスクがあるのも事実。いくら子供の希望があっても、一定の歯止めが必要だからガイドラインをつくった。無理をせず、制約の中で部活動を行うべきだろう。

杉本氏 自分にとって部活動は、子供に教える仕事の延長線上にある。部活動の時間が制限されても、補習を含め、他のことに時間を充てると思う。

部活動問題について考える会(東北)関係者 岩手県は全員加入だ。全員加入の部活動に、地域が作ったスポーツ少年団などがくっついている。土日も夜も休みなく練習していることがある。やりたくない生徒まで練習しなければならないような現状がある。全員加入の仕組みを残したまま、地域連携を行うのは大変危険だ。

部活問題研究所関係者 自主的、主体的とされている部活動について、教育現場にいる教員たちは基本、全員が加入するものだと考えている。実際には教員にも児童生徒にも選択の自由はない。ガイドラインで問題が解決するとは思えない。

部活動問題を議論する神谷准教授(中央)ら
部活動問題を議論する神谷准教授(中央)ら

■ガイドラインは守られるか

妹尾氏 1997年に部活動に関するガイドラインが出されたが、結局何も変わらなかった。「抜け道を認めるから形骸化する」と中教審で指摘したが、こうした意見は少数派だった。かつてのようにガイドラインが、ただの紙切れになるリスクもある。ガイドラインを作って終わりではなく、これから各地域で具体化する必要がある。

教働コラムズ関係者 私立学校を巻き込んで、部活動の在り方を考えるべきだ。スポーツでいえば、私立校が実績を上げると、公立校は「打倒私立」と部活動に熱心に取り組んでしまう。これでは問題解決にはならない。

■部活動は生徒指導に役立つか

小野田正利大阪大学大学院教授 部活動顧問を担当しているのは、クラスを2つ持っているようなものだ。そもそも、生徒指導に部活動が有効だというエビデンスはどこにもない。児童生徒に部活動させることで、非行に走らないようにするという主張があるが、非行に走る児童生徒は最初から部活に入っていない。これは誤った都市伝説だといえる。

望月氏 部活動では暴力の問題がある。教員から「厳しい指導はどこまで許されるか」という質問を受ける。そもそも、この考えが間違っている。国語を勉強している子供をたたいても学力は上がらないのに、スポーツになると暴力が突然顔を出す。厳しい練習は子供自身が必要だと思わない限り、何の価値もないということに現場の教員は気づいていない。

■指導者の専門性とは

出版関係者 野球の関係者は部活と競技を結びつけたがるが、トップスポーツと学校の部活を結びつけること自体が間違っている。私は水泳で大学まで進学し、フィンスイミングで現役の日本代表を務めている。水泳は部活とは縁のないスポーツ。ほとんどがスイミングスクールで成り立ち、何の問題も起きていない。水泳自体の競技力は高く、オリンピックで金メダルだって取っている。中学校と高校で部活に打ち込んだ程度の教員を専門家扱いすること自体、そもそもどうなのか。中学校と高校で野球をやっていたからと、野球の専門家と名乗るのはおかしい。小・中学校で算数・数学が得意だったからといって、学校で数学を教えることにもならない。大学で数学科を専攻した教員が数学を教える。これが専門性。教員にはそもそも、スポーツに関する専門性がない。専門性の議論がずれているのが現状なのではないか。

女性音楽家 スポーツでも音楽でも、機会保障を前提にすべきだ。そもそも部活動を週に何日もやる必要がない。指導のレベルを問わず、競技・種目・分野で最低限の高等教育を受けた人でないと、安全な練習は担保できない。危険な練習と安全な練習の区別がつかず、旧態依然なものと最新の知見の区別もつかない。

神谷氏 教員が専門にしていない競技・種目は、教えなくていい。

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