グローバル・ティーチャー賞 トップ10の授業実践

eye-catch_1024-768_cl-up_02さる3月17、18日にドバイで開かれた教育の祭典「Global Education & Skills Forum」(GESF)。教育界のノーベル賞といわれる「グローバル・ティーチャー賞」では、トップ10の教員らによる模擬授業が行われた。同賞トップ50に選ばれ、同フォーラムに参加した滋賀県立米原高校の堀尾美央教諭が、授業を参観したレポートを寄せた。


 

滋賀県立米原高校教諭 堀尾美央

GESFでは、世界中から教育関係者が集まって、最先端のEdTechや、様々な取り組みの紹介が行われました。1番広いプレナリーでは、アル・ゴア元米副大統領や、マサチューセッツ工科大学の教授ら著名人が基調講演を行い、また、今年2月に銃乱射事件が起こり、17人が亡くなった米フロリダ州の高校から招かれた高校生3人が、壇上でパネルディスカッションをする場面もありました。

「グローバル・ティーチャー賞」のトップ10人による授業紹介も行われました。

トップ50としてGESFに出席し、大きな拍手を送られた堀尾美央教諭(右)
トップ50としてGESFに出席し、大きな拍手を送られた堀尾美央教諭(右)

今回、私はGESFの前に、ともにトップ50人に選ばれた先生方と、これまでに選ばれた先生方とのワークショップに参加したのですが、そこで仲良くなった、ノルウェーのバルバラ・アンナ・ジェロンカ先生とオーストラリアのエディ・ウー先生の授業紹介(Teacher Master Class)に参加してきました。

特に、私と同じ英語の教員であるバルバラ先生の取り組みは印象的でした。私は生徒が英語を生かせる機会を作り出したくて、Skype(スカイプ)を使って自分の教室と外国の生徒を繋げたり、アプリケーションなどのICTツールを活用して、動画での交流などを行ったりしています。

トップ50に選ばれた直後に、バルバラ先生からSNSを通じてメッセージをいただき、お互いの取り組みが非常に似ていることを知りました。しかし実際に見た彼女の授業紹介では、彼女はアンケートを取るのに便利なウェブサイトを活用したり、QRコードを前のスクリーンに映してスマートフォンで簡単にウェブにアクセスできるようにしたりするなど、はるかに多くの様々なツールを授業に活用していて、非常に勉強になりました。

例えば、Flipgridというアプリケーションです。これは私も活用していて、パソコンからでも、アプリをインストールすれば手元のスマートフォンからでも、設定したページに簡単に動画が投稿できます。コードを入力すれば、誰でもそのページに行って、投稿された動画を見られます。

例を挙げると、スカイプで交流をしようにも、時差の関係上、日本の生徒が学校にいる時間に北米や南米と接続することは不可能です。しかし日本の生徒たちがFlipgridのページに動画を投稿し、そのコードを米国の生徒に伝えれば、米国の生徒たちは自宅のパソコンや、手元のスマートフォンで簡単にその動画を見られますし、保護者も生徒の様子を自宅で見られます。

このようなアプリやウェブは身の回りにあふれていて、手軽に利用できます。他にも、Kahoot!という、教員が作成できるウェブゲームがありますが、Flipgridにしても、Kahoot!にしても、教員用のページと、生徒用のページに分かれていて、生徒の学びを促進することを目的としています。

ノルウェーのバルバラ・アンナ・ジェロンカ教諭
ノルウェーのバルバラ・アンナ・ジェロンカ教諭

バルバラ先生は、このように手軽に活用できるICTツールを活用して、21世紀型スキルと呼ばれる、他者と協働する力や、課題発見・解決能力、創造力などを伸ばすことに焦点を当て、さまざまなプロジェクトを展開しています。彼女の生徒のほとんどは、海外の大学に進学しているそうです。

ですが生徒が能力を伸ばせるのは、教員との信頼関係があってこそです。私もICTを活用していますが、生徒とコミュニケーションをとることを何よりも大切にして、授業を進めています。

ICTツールの活用は、今までの不可能を可能にでき、学びの可能性を増幅できますが、ICTそのものは何も教えてくれません。

バルバラ先生の言葉を借りるなら、「ICTツールは決して教員の人格や、教え方の質に置き換えられることはなく、あくまで大事なのは、それを使う教員」です。生徒との関係を大切にするのは、世界共通で最重要なことなのだと、再認識できた授業でした。