次期高校学習指導要領 改訂のポイントをどう考えるか(2)

eye-catch_1024-768_cl-up_01東洋大学教授 後藤顕一

理科・理数教育に見る「改訂のポイント」

高校の次期学習指導要領が明らかになった。小・中学校、特別支援学校の新学習指導要領(2017年3月31日告示)に続くものであるが、高校には答申の段階から、強い論調で現状の課題の把握とともに抜本的な改革を求めている。

新学習指導要領に係る文部科学省答申(2016)では「大学入学者選抜や資格の在り方等といった外部要因によりその在り方が規定されてしまい、目指す教育改革が進めにくい」「高等学校における教育が、小・中学校に比べ知識伝達型の授業にとどまりがちであることや、卒業後の学習や社会生活に必要な力の育成につながっていない」などが、高校の課題として指摘された。

高校と大学改革、高大接続改革が一体的に進められている中で、今回の高校の学習指導要領の改訂が行われたことが大きな特徴であろう。

高校に求められているのは、高校の本来持つ意義や価値の再確認に加えて、主体的・対話的で深い学びの視点における授業改善であり、これは教育界だけではなく、社会的な要請だということを受け止める必要があろう。

各教科の「目標」「内容」の示し方にも工夫・反映がなされ、具体的な学習(探究)過程とともに、育成すべき資質・能力の3つの柱を明確かつ構造的に単元ごとで示しているのが特徴である。

理科では、「理科で育成すべき資質・能力を育成する観点から、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察・実験を行うことなどを通して、自然の事物現象について科学的に探究する学習活動を重視」「理科で学ぶことの意義や有用性の実感及び理科への関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視」することが示されている(「理科」の改訂のポイント、文科省、2018)。

後藤教授
後藤教授

ここに至る議論では、SSHなどでの課題研究といった探究に、主体的に取り組む体験がもたらす効果が挙げられていた。このような体験は、生徒、教員の満足度が高く、研究者からも高い評価が得られ、資質・能力の育成や高大接続に寄与するとともに、高校の本来持つ意義や価値を再認識できるなど多くの効果が示された。その理念を反映させた新教科「理数」は、資質・能力の育成を目指した一つのゴールとして捉えることができる。

新教科「理数」の科目の一つ「理数探究基礎」では、目標の中に「(1)探究するために必要な基本的な知識及び技能を身に付けるようにする。(2)多角的、複合的に事象を捉え、問題を解決するための基本的な力を養う。(3)様々な事象や課題に知的好奇心をもって向き合い、粘り強く考え行動し、課題の解決に向けて挑戦しようとする態度を養う」とある。

これは、「理数探究基礎」だけではなく、学校生活全体で育成すべき目標であり、生きていく上でも大切な資質・能力の目標といえる。

新学習指導要領が示されると、詳細な内容ばかりに目が行きがちになるが、趣旨を考えれば本質的ではないことは明らかである。

全体の構造を見据え、生徒に求められる資質・能力を育成するために、内容と学習活動とをつなぐ授業を構想し、生徒が主体的、対話的に取り組むことができる探究的な学習場面を取り入れた授業実践を重ね、検証、改善して次につなげる取り組みが、これから求められるであろう。

 

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