
これからの性教育を考える~スウェーデンを手がかりとして~
中澤智惠・東京学芸大学研究員
■スウェーデンでの学び 性教育をモラル・道徳化しない
日本はいつまで、子供たちに性交を教えないままでおくつもりなのでしょう。子供や青少年に、学校や家庭でどういう性教育をしていけばよいのか、どう考えたらよいのか、日本ではいまだに共通認識や指針をもてないでいるようです。国際的水準では、国際セクシュアリティ教育ガイダンスが示されていますが、今回は、具体的に考える一助としてスウェーデンの状況についてご紹介したいと思います。スウェーデンでは、学校での性教育は1955年から必修です。ただ、性教育という教科はなく、全教科にわたって「ジェンダー、セクシュアリティ、関係性」を取り扱うこととされています。スウェーデン学校庁の性教育ガイドを見てみると、学校での性教育には三つの柱があります。一つは、教科統合的・横断的な取り扱いで、各教科の授業において、ジェンダー、セクシュアリティ、平等、関係性にかかわる内容や視点を組み込むことです。もう一つは、性教育として特別授業やテーマ学習の機会を設けることで、最後に、日常の学校生活場面で、生徒の言動や質問などから学びを展開していくことです。
学校での性教育に際して重視されるのは、観点・視点です。…
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