
■吃音を知ってもらう漫画にはしたくない
――この作品には、押見さんの吃音の経験がどのくらい反映されているのでしょうか。
冒頭のクラスでの自己紹介のシーンと、授業で先生に指されて、答えの言葉が出ずにクラス中で笑われてしまうところは実際に私が経験したことです。今でも覚えているのですが、確か数学の時間にどもってしまい、周りから見ると動きもおもしろかったようで、笑われてしまって。
今思えばなんてことはなかったのかもしれないけれど、そのときは、残念というか、悔しいというか、なんとも言えない気持ちになりました。私は独り言や歌であれば、普通に言葉が出てくるんです。その辺は、主人公の志乃ちゃんの設定にも生かされています。
ただ、中学の頃の友達は、私が吃音であることを「そういうものだ」というふうに接していました。……
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