堀江貴文氏主宰の「ゼロ高」 実像を内藤学院長に聞く

主宰を務めるホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が「学校教育を破壊し、再構築する」と発案し、設立が決まったサポート校「ゼロ高等学院」。しかし7月26日の開校記者会見では、そういった強い表現はまったく無く、「教育改革は待ったなしだ。これから必要とされる人材をつくりたい」(堀江氏)など、実学の必要性が熱っぽく語られた。果たして同校では、どのような教育を行っていくのか。学院長の内藤賢司氏に、ゼロ高の実像を聞いた。(聞き手 編集部長・小木曽浩介)


――開校記者会見後の反響は。

内藤 会見から1週間で、初年度入学者目標400人に対し、190件ほどの問い合わせがあった。入学希望者は全国に満遍なくいて、中学3年生や高校1年生が最も多い。次いで高校中退者や、大学に通っていない18、19歳だ。

「親の都合で海外に引っ越したので、日本の高校に通えなかった」というような理由で、米国、スペイン、ニュージーランドなどからも連絡をいただいている。想定外のニーズに驚いている。

緊急性が高い相談が多く、ほとんどの入学希望者が、開校の10月入学を希望している。来年の4月入学者については、これから拡充していきたい。

――教育プログラムは、もう具体的に決まっているか。
「自分らしい進路選択ができる人間を育成したい」と語る内藤学院長

内藤 高校卒業資格を取得するために、まずは提携する広域通信制の鹿島山北高校のプログラムにのっとって、教科書やDVDなどを使い、課題を自分のペースで進めてもらう。

高校の学習指導要領に基づいた枠組みの中で、しっかりと単位を取得することが前提で、それからゼロ高独自のプログラムに参加してもらう。「和牛を育てて単位をもらえる」「すしを握って単位がもらえる」と勘違いされている方もいるようだが、現時点でゼロ高オリジナルの単位取得システムは存在しない。高校卒業資格取得に向かうための取り組みとしては、提携校である鹿島山北高校のプログラムをそのまま使用する。

記者会見で述べた「座学を目指さず行動を目的とする」というのは、座学をやらないということではなく、座学は目標としていないというだけだ。当学院が目指すのは「高校卒業資格を取得しながら、自分らしい進路選択ができる人間」を育成すること。高校卒業資格は既存の枠組みでサポートしながら、自分がやりたいことを見つけられるようになるための、さまざまなワークショップや体験を用意する。

――堀江主宰や、成毛眞元日本マイクロソフト社長、坪田塾の坪田信貴塾長ら顧問による授業は。

内藤 学校運営や教育方針に助言はもらうが、実際の授業は考えていない。協力企業・団体の紹介や、学校の宣伝を主にお願いしている。

――サポート校として、何をサポートしていくか。

内藤 「大学進学のサポートはあるか」という質問も受けるが、予備校のような座学を提供する予定はない。生徒が目指したいものを見つけ、そのために大学を受験したいという場合は、通信教育という手段で効率的に高校卒業資格を取得して、余剰時間を使って既存の予備校へ通う時間を増やせばいいと思う。

ゼロ高がサポートするのは、「やりたいこと」「目指したいこと」を見つけられる人間になること。卒業後に大学進学するかは生徒次第だと考えている。

すでにやりたいことが明確なら、わざわざゼロ高に通う必要はない。例えば「弁護士になりたい」「会計士になりたい」という目標が決まっているのであれば、そのための道を進めばよいと思う。もちろん、ゼロ高のコミュニティーは多様性を肯定して受け入れて、それを強みにしていく。多様な人との出会いがあるので、そこを活用してもらっても問題はない。

われわれとしては、やりたいことを見つけるための体験や学びについて、大学、企業、団体と連携を図っていきたい。

――生徒の進路相談に当たる中学校教員に伝えたいことは。

内藤 ゼロ高は、既存の学校教育を否定するものではなく、既存校の先生方をサポートする存在。自らの目標が見つからず、従来の進学・就職方法にぴったりとはまらない生徒がいたとしたら、選択肢の一つになれればいいと考えている。

しかし、われわれは教育のスペシャリストではないので、ぜひ既存校の先生方から忌憚(きたん)ないご意見をいただきたい。「ゼロ高はよくない」と思われる方がいれば、どういう理由でそう感じるのかを教えてほしい。そこに、われわれの構想が追いついていない要素があるかもしれない。

ぜひ一緒に、ともすれば制度のはざまにこぼれ落ちてしまうかもしれない悩める生徒に、新しい選択肢を用意したいと思っている。


【プロフィール】

内藤賢司(ないとう・けんじ) 神奈川県茅ヶ崎市出身。「ライブドア」「カヤック」を経て、2014年より教育事業を運営する「ヒトメディア」へ。社内でゼロ高の構想を聞き、自ら手をあげて学院長に起用された。