柴山新文科大臣 手腕と人物像

生真面目で筋を通す人物 新たな規律構築で適材適所

■就任の背景

柴山昌彦氏が文部科学大臣に就任した。初入閣で、第4次安倍改造内閣において最年少大臣となる。

就任の背景から考えてみよう。安倍首相は先の自民党総裁選で、石破茂氏との一騎打ちに勝利し、総裁3選を果たしたが、長期政権で安倍氏への不満も生まれてきていることが顕在化し、党内には「安倍圧勝」の雰囲気はない。

改造内閣は、首相の悲願。大きな困難が予想される憲法改正をにらみ、総裁選で反安倍的な動きをした者を外しながらも、「待機組」から多くの初入閣者(同内閣で最多の12人)を取り込んだ。華やかさやフレッシュさはないが、党内を中心に安定性と信頼性を高められる布陣になっているように感じる。

■非常に筋を通す人物

柴山文科相は世襲議員ではない。元々は政治とは関係のない、一般の会社員であった。7年かけて司法試験に合格し弁護士に転じた。2004年に自民党初の全国公募があり、当時幹事長だった安倍首相に81人の中から見いだされた。当時革新系が強い埼玉・所沢から新人候補として出馬し、初当選。その後も小選挙区では敗れたこともあるが、連続当選を果たして現在6期目。

筆者は、05年前後に自民党のシンクタンクの設立と運営に関わって以来、柴山文科相の知己となったが、政策の重要性をよく理解し、シンクタンクの支援にも前向きに関わってくれた。当時から非常に真面目(むしろ生真面目すぎることもある)で、政策論議などでも、法曹出身であることから非常に筋を通す人であったと記憶している。

現在文科省は、天下り問題、汚職事件、飲食接待などの不祥事が連続し、事務方トップの事務次官が2代続けて引責辞任する不祥事が起きており、その矜持(きょうじ)の回復と組織の立て直しが求められている。そうした中、文科相に就任したことは、文科行政の専門家ではないが、省の立て直しと新たなる規律を構築するという点においてはまさに適材適所なのではないかと思う。

■太くなる文科省と総理・官邸のパイプ

柴山文科相は、首相補佐官や党総裁特別補佐などを歴任した安倍首相の側近である。この点で、筆者が思い出すことがある。それは、首相が体調不良でポストを明け渡し、第1次安倍政権が短命に終わった後、「第1次安倍政権があんなに短く終わってしまったのは本当にもったいなかった」と柴山文科相がよく言っていたことである。

その言葉は、今も筆者の耳に残っている。柴山文科相はその後も、言葉通り安倍首相を支援し続け、現在も側近である。その意味からも、文科省と首相官邸のパイプは太くなり、強化されていくことが予想される。

他方、現在も継続する問題は元々、首相官邸から生み出されていることもあり、柴山文科相は首相とも近いがゆえに、本人の良さである筋を通しながらも、真面目さ一本槍(やり)ではない柔軟さを示していくことも必要になるだろう。その経験は、柴山文科相の政治家としてのさらなる成長の糧にもなろう。

■常に平常心で真摯

このように記してみると、柴山文科相は真面目一辺倒に思われるかもしれないが、著名進学校に在籍した中高校時代は、YMOのカバーバンドを組み、学園祭で熱唱し、一時は歌手になることも夢見ていたそうであり、空手も2段で、単なる真面目な優等生なだけではないようだ。

筆者は、永田町で柴山文科相によく出くわしたが、その際にはいつも腰が低く、明るい笑顔であいさつしてくれた。総務副大臣をしていたときも地下鉄通勤で、常に平常心で真摯(しんし)に活動してきたことを付け加えておきたい。

柴山文科相の今後の文科行政の運営に期待したい。

(教育新聞特任解説委員・鈴木崇弘=城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表=)