堀江貴文氏に聞く(上) 「教員は自己否定せざるをえない」

ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が主宰を務めるサポート校「ゼロ高等学院」。「座学を目指さず行動を目的とする」という同校は、日本の教育にどのような波紋を呼び起こすだろうか。「従来型の教育に興味はない」と語る堀江氏に、単独インタビューした。(聞き手・教育新聞編集部長 小木曽浩介)


■生徒に教えたいこと
――入学式で実際に生徒に会って、どう感じました?

まだ分からないですけど、行動力はありそうでしたよね。行動力しかないですよ、これからの時代は。

――「学校と社会が断絶していた時代は、実はもう終わっている。インターネットを通じて、皆さんはもう社会とつながっている」という入学式での言葉は、とても納得できました。インターネットがなかった頃に比べて、現代は行動するチャンスが格段に多くなっています。

機会の平等というより、いまは情報の平等が担保されています。どこで差が生まれるかというと、行動でしかない。昔は知識の格差が大きくて、例えば東京に住んでいるとか、実家が名家で人脈やコネがあるとか、生まれた家や場所ですごく差がありましたが、いまは理論的には関係なくなった。本質的には情報の差がなくなった。インターネットとオープンソースモデルが平らにした。それがいまの状況です。

真剣な表情で堀江氏の話を聞く生徒ら

情報格差がなくなった世の中において、何が重要になるかというと行動力ですよ。親の保護下にあって、衣食住も満足な暮らしができている。いくつも失敗できるし、いくらでもチャレンジできる。

決断ができるのは、素質があるということ。ゼロ高に入学したということは、行動力という素質があるのかなと思います。

――子供たちに教えたいのも、「行動する」ということですか。

自分が思い描いた道を、形にしていくことができるかどうか。「とにかく行動」です。

それに子供たちと言いますが、身も心も大人ですからね、本当は。思春期を過ぎたら、みんな大人ですよ。背中を押すぐらいしか、われわれにできることはない。

僕らや親ができることは背中を押す、お金を出すくらいしかないじゃないですか。

■「従来型の教育に興味はない」
――著書『すべての教育は「洗脳」である』では、「教育という言葉が嫌いだ」と書かれていますが、ゼロ高を作ったのは何か心境が変わったのですか。

いえ、いまも従来型の教育に興味はありません。これだって、教育ではないです。動くか、動かないかという話だけです。

――以前に、義務教育の通信制が必要だとSNSで書かれていましたね。

「できたらいいよね」とは。

――それは目指さない?

だって、できないじゃないですか。制度改革を働きかけるとか、面倒なことは誰かに任せます。

――ゼロ高の動きが注目されて、改革の流れができるのではありませんか。

そこまでやらなくても、まずは高校生世代が行動できる環境をつくるだけでも大変だと思うので、とりあえずそれをやります。

「これからの時代は行動力しかない」と語る堀江貴文氏

結果として、他校ではできていない。既存の秩序を大切にする秩序寄りの人が、その秩序の中でやっているからです。

考え方的にいうと、僕はそういうのを無視する側。そっちのほうが、生徒は得すると思います。

■教員の自己否定
――ゼロ高に注目している教員も多くいます。学校に閉塞(へいそく)感があり、何をどう教えていいかが分からなくなっている教員ほど、高い関心を持っているようです。

それはそうでしょうね。いままで自分たちがやってきたことが、全く役に立たなくなってきている。自己を全否定するしかない。教員歴20年というような方だと、本当に完全に自己否定するしかないので、相当苦しいと思いますよ。

――「行動する」「自分の頭で考える」というのは、生徒だけでなく、教員にも突きつけられています。

人にも習熟度にもよるのでしょうけど、やり方を変えなくてはいけなくなったりします。大変ですよね。