詳報 学校の働き方改革答申骨子案

浮かび上がる全体像

11月13日の中教審「学校における働き方改革特別部会」第19回会合では、「学校の働き方改革」に関する答申骨子案が示された。これまでの議論や昨年公表された中間まとめなどを踏まえ、働き方改革の全体像が浮かび上がった。特別部会では次回会合で答申案をとりまとめる考えだが、給特法や変形労働時間制の導入など、骨子案の段階では具体的な方向性がどこまで示されるか不透明な項目もみられる。


■勤務時間管理の徹底

示されたのは、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」の答申骨子案。

①学校における働き方改革の目的②学校における働き方改革の実現に向けた方向性③勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の促進④学校及び教師が担う業務の明確化・適正化⑤学校の組織運営体制の在り方⑥教師の勤務の在り方を踏まえた勤務時間制度⑦学校における働き方改革の実現に向けた環境整備⑧学校における働き方改革の確実な実施とフォローアップ等――の8項目で構成されている。

学校における働き方改革の答申骨子案

冒頭の目的では、日本の学校教育の成果と課題、国の働き方改革推進法、教員勤務実態調査の分析結果などに触れた後、文科省、教育委員会、各学校の管理職の役割と責任として、特に文科省が果たすべき役割の重要性を強調した。

③の教職員の勤務時間管理に関しては、労働安全衛生法改正による勤務時間管理義務の明文化を踏まえた勤務時間管理の徹底や、勤務時間の上限に関するガイドラインの策定を盛り込んだ。特にガイドラインは実効性を確保するための制度上の工夫や、ガイドラインを始点とした対応の徹底を掲げた。また、▽登下校時刻▽勤務時間の適正な割り振り▽学校閉庁日の設定――などを通じて、適正な勤務時間を実現するとした。

体制の不備が指摘されている教員の労働安全衛生管理(メンタルヘルス)については▽法令上の義務の周知徹底▽小規模校も含めたストレスチェックの実施▽教員が適切に相談しやすい環境整備――を盛り込んだ。教職員の意識改革では、働き方改革への取り組みや成果が評価される人事評価・研修の実施、学校評価と連動した業務改善状況の把握・公表を挙げた。

■業務の明確化・適正化

学校・教師以外への業務の担い手の積極的な移行、教師の業務負担軽減、慣習的業務の廃止を基本的な考え方とし、文科省、教委、学校ごとに取り組むべき方策を整理した。

文科省は▽学校や教師の担うべき役割を明確に示し、社会と学校の緩衝となること▽勤務時間管理の状況と公表など、改革の実施に向けた仕組みの確立▽新たに学校に業務を付加しようとする際の調整体制の徹底――などに取り組む。

教委は、中間まとめを踏まえて今年2月9日付の通知で示された13項目(事務職員の校務運営への参画推進、専門スタッフとの役割分担の明確化・支援、学校・家庭・地域の連携促進、統合型校務支援システムをはじめとするICTの活用推進、授業時数設定の配慮など)の取り組みを推進し、業務の仕分けと外部への移行を進める。

各学校では、校長による大胆な業務削減を推進する。具体的には▽夏季休業中の教員によるプール指導▽早朝指導▽研究指定校――などが例示された。

中間報告で▽基本的には学校以外が担うべき業務▽学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務▽教師の業務だが、負担軽減が可能な業務――に分類した、教師の担ってきた代表的な14業務では、安全配慮義務などの学校側の責任についての法的な整理などの視点をさらに加える。

教師が担ってきた14の代表的な業務

その他に、▽児童生徒ごと、学校ごとに作成する計画の統合▽「総合的な学習の時間」における家庭・地域と連携した校外学習の位置付けの明確化▽業務の明確化・適正化を実施した場合の時間の縮減の目安の提示――などを盛り込んだ。

組織運営体制の在り方では、基本的な考え方として、副校長・教頭の負担軽減、ミドルリーダーによる若手支援、事務職員の活躍を掲げた。具体的には▽校内委員会の整理統合、校務分掌のグループ化▽主幹教諭や事務職員の標準職務の明示、若手の支援▽学校事務の適性化・効率化▽管理職のマネジメント能力の向上――などを挙げた。

環境整備では、小学校の専科教員の充実をはじめとする教職員定数の改善を進めるとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員の配置を促進する。

■中・長期的な課題

⑥については、特別部会の中で議論されながらも結論が出ていない給特法の今後の在り方や、1年単位の変形労働時間制などが内容として立てられているが、他項目と比べて具体的に踏み込んだ記述はみられない。

特別部会の資料として示された「意見のまとめ及び今後の方向性」によれば、教師は教育活動の全てを管理職の命令によって実施しているのではなく、子供と直接向き合う中で「教師の専門性」を発揮しながら現場を運営することが期待されるとし、給特法制定時の考え方は現在にも当てはまる一方、勤務時間管理があいまいで長時間勤務となっている実態は看過できないと強調。

給特法が時間外勤務を命じることができると定めている「超勤4項目」(生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合)以外の業務も含め、勤務時間の上限目安を定めたガイドラインを策定し、機能させる必要があるとした。

一方で、超勤4項目の廃止やそれ以外の項目の追加は現実的ではなく、超勤4項目を前提とした上で業務の精選を進めるべきとした。また、給与に4%を上乗せして支給している教職調整額の在り方は中・長期的課題とした。

1年間の変形労働時間制については、教師の特殊な勤務態様として学期中と長期休業期間中の繁閑があることを踏まえ、学期中の業務縮減と学校閉庁日などの長期休業期間中の確実な休日確保を図るため、自治体の判断で導入できる制度改正を検討すべきとした。

(藤井孝良)