詳報 文化部ガイドライン案

12月5日に文化庁の作成検討会議で示された「文化部ガイドライン」は、今年3月に策定されたスポーツ庁の「運動部ガイドライン」と対をなし、全国の中学校、高校の部活動改革を促す。活動時間は運動部ガイドラインと合わせて週当たり平日1日、土日1日の2日以上の休養日を設け、活動時間は平日2時間程度、土日3時間程度とした。運動部以上に活動内容や活動時間が多様な文化部で、今後このガイドラインを学校ごとにどのように運用していくのか、地域や学校規模によっては選択肢の限られる文化部をどのように活性化していくかが課題になる。

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文化部の特色と課題

正式名称は「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(案)」で、①適切な運営のための体制整備②合理的で効率的・効果的な活動の推進のための取り組み③適切な休養日の設定④生徒のニーズを踏まえた環境整備⑤学校単位で参加する大会などの見直し――の五つの項目ごとに方針を示した。

冒頭の部活動の意義では、部活動が、異年齢との交流の中で生徒や教員との好ましい人間関係を構築したり、生徒自身が活動を通じて自己肯定感を高めたりするなど、生徒の多様な学びの場や生徒理解の場として教育的な意義が高いとした上で、生徒が自主的・自発的に活動し、適切な休養日や活動時間を設定することの重要性を強調した。特に文化部の課題として、分野や活動目的、生徒のニーズ、指導者・顧問の関わり方、活動頻度、活動時間などが多様であり、本来の活動に加えて、土日に地域の要請で行事や催しに参加したり、運動部の応援をしたりと、休養が取りにくい状況にあると指摘した。

対象範囲については、主に国公私立全ての中学校(義務教育学校後期課程、中等教育学校前期課程、特別支援学校中学部を含む)の文化部とし、高校の文化部にも原則適用する。さらに、一部の自治体で実施されている小学校の部活動についても、ガイドラインを考慮する必要があるとした。

適切な運営のための体制整備
「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(案)」

都道府県はガイドラインにのっとり、文化部活動の活動時間や休養日などを定めた「文化部活動の在り方に関する方針」を策定。市区町村教育委員会や私立学校の設置者はその方針を参考に、学校ごとに文化部活動の方針を策定する。校長は毎年度、文化部の活動方針を策定し、顧問は年間の活動計画や毎月の活動計画・実績を作成。校長に提出する。校長は活動方針や活動計画を学校のホームページなどに公表することを明記した。

校長は生徒数や教員数、部活動指導員の配置状況を踏まえ、指導内容の充実や生徒の安全確保、教員の長時間勤務の解消などの観点から、円滑に持続可能な文化部活動を実施できるよう、適正な数の文化部を設置する。

教育委員会などは、部活動指導員を積極的に任用し、学校に配置する。部活動指導員は、学校教育について理解し、部活動の教育的な意義や生徒の発達段階に応じた科学的な指導、安全確保や事故発生後の適切な対応、生徒の人格を傷つける言動や体罰はいかなる場合も許されないことなどを順守することを明記。

校長は文化部の顧問を決める際は、適切な校務分掌となるように留意し、法令に沿った勤務時間管理を行い、持続可能な運営体制が整えられているかを適宜、指導・是正するとした。

合理的で効率的・効果的な活動

まず、校長や文化部の指導者は生徒の心身の健康管理、事故防止、体罰、ハラスメントの根絶を徹底することをうたった。指導者は生徒のバランスの取れた健全な成長の確保の観点から、休養を適切に取る必要があること、過度の練習が生徒の身心に負担を与え、部活動以外のさまざまな活動に参加する機会を奪うことなどを理解し、生徒の芸術文化の能力向上や生涯を通じて芸術文化活動に親しむ基礎を培うことができるようにする。

生徒がバーンアウトすることなく、技能向上や大会での好成績などの目標を達成できるよう、合理的で効率的・効果的なトレーニングを積極的に導入。休養を適切に取りながら、短時間で効果が得られる指導をすることも明示。保健体育の教員や養護教諭と連携・協力し、発達の個人差や成長期における心身の状態に関する正しい知識に基づいた指導をすることも盛り込んだ。

文化部活動の関係団体は習熟レベルに応じた1日2時間程度の練習メニューや活動スケジュール、効果的な練習方法、安全面の注意などをまとめた指導手引を作成し、ホームページへの公開や学校への活用を働き掛けるとした。

休養日と活動時間
適切な休養日の設定

休養日に関して、学期中は週当たり2日以上の休養日(平日は少なくとも1日、土日は少なくとも1日)を設けるとした。土日に大会に参加した場合などは休養日を振り替える。長期休業中の休養日の設定は学期中に準じた扱いとする。生徒が十分な休養を取ったり、多様な活動に親しめたりできるよう、長期の休養期間(オフシーズン)を設けることも示した。

1日の活動時間は長くても平日で2時間程度、土日は3時間程度とし、できるだけ短時間に合理的で効率的・効果的な活動をするよう求めた。各都道府県や学校ごとに作成する方針についても、これらの基準を踏まえて休養日や活動時間を設定・明記する。

休養日や活動時間について、地域や学校の実態を踏まえた工夫として、定期試験前後の一定期間や各部共通、学校全体、市区町村共通の部活動休養日を設けることや、週間、月間、年間単位での活動頻度・時間の目安を定めることも考えられるとした。

ニーズを踏まえた環境整備

現在の文化部活動が性別や障害の有無を問わず、生徒の多様な潜在的ニーズに必ずしも応えられていないことを踏まえ、校長は技能向上や大会での好成績以外にも、友人と楽しんだり、適度な頻度で活動したりすることを目的とした、生徒が参加しやすい多様なレベル、多様なニーズに応じた活動ができる文化部を設置することを求めた。

具体例として、季節ごとに異なる活動をする部やレクリエーション志向の部、生徒が楽しく芸術文化活動に親しむ動機付けを目的とした部などを挙げた。

少子化で単一の学校で特定分野の文化部を設けられない場合には、生徒の文化部参加の機会が損なわれることのないよう、複数校の生徒が拠点校の部活に参加するなど、合同部活動の取り組みを推進することをうたった。

持続可能な活動を踏まえ、長期的には従来の学校単位での活動から一定規模の地域単位での活動も視野に入れた体制構築が求められるとし、自治体は地域全体でこれまでの学校単位の文化部に代替し得る生徒の芸術文化活動の機会確保・充実方策を検討するよう提言した。

家庭の経済状況にかかわらず生徒が文化芸術活動に親しむ機会を充実する観点から、学校と地域が協働・融合した地域での文化芸術活動や学校施設の開放を推進することも盛り込んだ。

学校単位で参加する大会の見直し

文化部活動に関わる全国組織や文化部を参加対象とする大会の主催者は、学校単位ではなく、一つの学校からの複数グループの参加や複数校合同グループの参加、学校と連携した地域団体の参加などの多様な参加資格の在り方や、大会規模、特定時期に集中している日程の在り方、部活動指導員や外部指導者の活用などの運営の在り方に関する見直しに速やかに着手するとともに、都道府県レベルの傘下組織にも同様の見直しを促し、必要な協力や支援をすることを求めた。

教育委員会などの学校設置者は文化部が参加する大会や地域行事、催しなどへの参加が生徒や指導者の過度な負担にならないよう、大会や行事、催しの統廃合や簡素化を主催者に対して要請するとともに、各学校の文化部が参加する大会や地域行事、催しの数の上限の目安を定めるとした。校長はその目安を踏まえ、文化部の生徒や指導者が参加する大会、地域行事、催しを精査する。