国際バカロレア日本大使が描く 真のグローバルスキル(下)

国際社会で活躍できる「グローバル人材」の育成が叫ばれる中、国際バカロレア日本大使として各国の学校教育を見てきた坪谷ニュウェル郁子氏は、教育目標を経済価値で考えることに警鐘を鳴らす。では真のグローバルスキルとは、どのようなものであるのか。激変する社会の中で、子供たちが身に付けるべき資質の核心に迫った。




■「勝ち残る」から「協力する」の時代へ

――これからの時代において、日本の子供たちが身に付けるべき真のグローバルスキルとは、どんなものでしょう。

従来の「世界の競争で勝ち残れる人材」という考え方はすでに古い。今、世界から求められているのは、世界規模で抱えるさまざまな問題に、多様なバックグラウンドの人々と協調しながら挑んでいける人材です。自分の利益、自国の利益だけを考えていても、中長期的には意味を成しません。「誰かに勝つ」のではなく、「誰かと協力しながら答えのない問題に挑める」ことが重要となるでしょう。

具体的な能力の一つとして、「多様性を受け入れられる社会性」が必要となりますが、この点については現在の公教育を通じ、日本の子供たちはある程度は獲得できているかもしれません。前回もお話したように、日本ではどんな経済的バックグラウンドの人間同士であっても、同じスーパーで買い物をし、誰も違和感を覚えないからです。それは、「多様性を受け入れられる」社会であるからだと思います。
■「好きなこと」を知る

――「誰かと協力しながら答えのない問題に挑める」ようになるには、他にどのような資質が必要ですか。

東京インターナショナルスクールの運営や、国際バカロレア(IB)の日本大使の活動を通じて思い至ったのは、「自分が好きなことは何か」を知っていることが、とても重要だということです。……

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