新しいカタチの部活動を模索 新潟県村上市の希楽々

新潟県村上市の総合型地域スポーツクラブ「NPO法人希楽々(きらら)」は2012年から、市立中学校とNPO、保護者が連携・協働する「新しいカタチの部活動」を模索してきた。生徒数減少などで学校単独の部活動運営が困難になる中、希楽々が練習場所や指導者を提供。現在はそうした活動は一時停止しているが、市ぐるみの新たな部活動を実現するため、18年度からは市内モデル地区の中学校長や地域スポーツクラブ関係者らが集う検討会議を後押ししている。


学校、NPO、家庭が連携した新たな部活動

少子高齢化が進行する同市の市立中学校では、競技数の制限や廃部などをせざるを得ない状況がある。12年当時、市立神納中学校の女子生徒らがバスケットボール部新設を強く訴えたが、管理運営の観点で設置は難しいと学校は判断。

そこで、「地域のスポーツクラブとして生徒の願いを何とかかなえたい」と希楽々の渡邊優子理事長が中心となり、学校(神納と平林の市立中学校2校)、保護者らと協議して、希楽々の運営による「新しいカタチの部活動」をスタートさせた。

NPO法人希楽々の渡邊優子理事長

希楽々は、指定管理者になっている市の体育館を練習場所として提供。週2回の練習の指導者確保や安全管理、生徒が学校から体育館に移動する際のバス輸送を担った。14年には、3校目となる市立荒川中学校も参加。同年から練習は週4日に増え、日本中学校体育連盟(中体連)の大会にも参加できるようになった。保護者は月に一律3千円を負担した。

生徒らも、バスケットボールができる喜びをかみしめて練習に熱中。また一連の活動は生徒が地域のさまざまな大人と触れ合う機会も生んだ。

渡邊理事長は「生徒らは、地域の大人が自分たちのために努力してくれる姿を見て、深く感謝していた。そして地域ボランティアにも積極的に参加し、地域の一員としての自覚を深めていった」と振り返る。

16年には競技にサッカーが加わり、活動はさらに広がりを見せた。

活動不能の状況から課題を整理

しかし、ずっと順調だったわけではない。強い熱意を持ってバスケットボールの練習に取り組んできた生徒らが卒業すると、活動のスタート校である2校では参加希望者が大幅に減り、活動不能の状況に見舞われてしまった。正式な部活動ではなかった点も、参加希望者が減った要因だという。

渡邊理事長は17年、活動の一時停止を決定。「課題を整理した上で、これからの時代に必要な部活動を地域と共につくる決意を固めた」と話す。

地域融合の部活動

その結果、次のような課題が浮かび上がった。

▽正式な部活動でないため、保護者が学校の評価に不安を抱えていた▽中体連の大会への出場制限などがあった▽生徒らが技術や勝負と関係なく、スポーツを楽しむ機会が乏しい▽学校との連携は、校長との話し合いで決めていたため、異動で大きな影響を受ける。

ボランティアに参加した生徒ら

18年、村上市は、渡邊理事長の考えなどを含んだ「部活動改革プラン」をスポーツ庁に提案。同プランには▽学校と総合型地域スポーツクラブの組織的な部活動運営▽両者の組織的な協議▽外部顧問や部活動指導者のライセンス――などの実現が盛り込まれている。

市は同プランを具体化するため、同年からモデル地区での検討会議を実施。会議には、市と神林地区の中学校長、PTA会長、総合型スポーツクラブ関係者などが出席し、市ぐるみで新たな部活動を話し合う体制をつくった。

渡邊理事長は「地方の現状と未来を展望して、部活動の新たな仕組みを作ることが必要。学校と地域が融合した活動体制や指導内容が大事だ」と強調する。

(佐々木信郎)

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