詳報・学校の働き方改革工程表

学校における働き方改革推進本部の初会合(1月29日開催)で、文科省が今後取り組む関連施策の実施スケジュールを示した工程表が示された。現在進行中の施策も含めて、2023年までの多岐にわたる施策が網羅されている。


制度的な検討、環境整備

推進本部は柴山文科相を本部長に定期的に協議を重ね、具体的方策の実施に向けた検討やそのフォローアップをする。工程表では検討課題に、教育課程や教員免許、研修の在り方の見直しや先端技術の活用が挙げられ、中教審の結論を待って、順次制度改正を実施する。

中教審答申と合わせて策定された、教員の勤務時間の上限を定めたガイドラインについては、年度内に運用に関するQ&Aを示す。給特法に文科相がガイドラインを策定する法的根拠を設けるなどして実効性を高め、各教育委員会に対して、勤務時間の上限を定めた規則の策定を求めるなど、勤務時間管理の徹底を指導する。また、PTAなどと協力し、学校が教職員の適切な勤務時間を設定できるよう働き掛ける。

勤務時間制度では、1年単位の変形労働時間制の導入に向けた制度的検討と関連して、部活動の夏季休業中の大会の見直しを主催者に要請したり、夏季休業中に業務を求めてきた通知を見直したりする。中長期的な課題となっていた教職調整額の水準や、公立学校の教員の労働環境に関する法制的な枠組みを検討する。

学校における働き方改革の工程表が示された推進本部の初会合

環境整備では、予算措置を含めて▽英語専科担当教員など、学校指導体制の充実▽スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員、スクールサポートスタッフなどの多様なスタッフの配置促進▽家庭教育の支援、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入や地域学校協働活動の推進▽校務の情報化をはじめとする、学校のICT環境整備の推進――に取り組み、モデル事業や優良事例について周知する。

学校の働き方改革に積極的に取り組む自治体に対し、インセンティブを講じる仕組みを検討した上で、20年度から導入する。

教育委員会・学校に向けた施策

労働安全衛生管理では、全ての学校に対し、ストレスチェックを含む労働安全衛生管理や法令上の義務の順守徹底を指導。20年度以降、実施状況を調査・公表する。特に、ストレスチェックについては市町村ごとの公表を予定している。19年度末までに、労働安全衛生に関する資料の作成や、勤務環境の改善事例を収集し、教育委員会に周知したり、電話による相談窓口の活用を啓発したりする。

業務の役割分担・適正化では、文科省は学校へ新たな業務を付加しようとする場合にはスクラップ・アンド・ビルドを原則とし、財務課と調整することを徹底。業務改善状況調査の見直しにも着手し、市区町村別に公表する。18年度中に学校管理規則と標準職務モデル案を、19年夏ごろまでに「学校単位で作成する計画の効果的な在り方」を提示する。

部活動に関しては、ガイドラインの策定を受けて、地域・保護者向けのメッセージの発出、大会の主催者に大会日程や出場資格、引率に関する規定の見直しを要請。ガイドラインの順守を前提とした部活動指導員の配置を進める。

18年度中をめどに、学校給食費の公会計化のガイドラインを策定するほか、「総合的な学習の時間」で一定の条件で校外学習を可能とすることの明確化、指導要録の様式の簡素化を通知する。

組織運営体制については、19年夏までに業務の効率化に向けた組織や校務分掌の整理・統合モデルを提示するとともに、主幹教諭や事務職員の活用による業務改善の優良事例を収集し、周知を図る。並行して、ホームページやSNS(会員制交流サイト)を通じて、若手教師を支援するために、指導方法に関する情報発信に取り組む。

意識改革、情報発信
柴山文科相は地域・保護者に向けてメッセージを発信した

教職員の意識改革では、19年夏ごろまでに「学校評価での働き方改革への評価項目例」の作成を進め、教育委員会に周知するほか、今後の優秀教職員表彰において、働き方改革の観点を考慮する。

文科省からの情報発信では、大臣メッセージの他に、教育委員会向けに研修で活用できるビデオ教材の作成や政府広報を活用した動画配信をする。また、関係省庁や知事会、市長会、町村会、経済団体に協力を要請するとともに、PTAと連携して保護者や地域に対して、学校の働き方改革への理解と協力を求める。

大臣メッセージ

工程表とともに、柴山文科相が地域・保護者に向けたメッセージを発表。学校の働き方改革を進める上で、保護者や地域の協力が不可欠だとし、登校指導や見回り、部活動、運動会などを例に、社会全体で子供を育てる体制づくりを求めた。

メッセージは次の通り。

『家庭・地域の宝である子供たちの健やかな成長に向けて』

~学校における働き方改革の実現~

≪文部科学大臣メッセージ≫

1月25日、中央教育審議会から、学校における働き方改革の推進に係る提言をいただきました。これを受けて、文部科学省は学校が引き続き、質の高い教育を提供し続けられるよう取り組みを加速化してまいります。

今、学校現場では、教師の長時間勤務の深刻な実態があり、働き方改革は待ったなしの状況です。“子供たちのため”を合言葉に、これまで志ある教師たちがその使命感から、さまざまな社会の要請に応えてきましたが、過労死に至ってしまうような痛ましい事態もあり、ここで教師の働き方を変えなければなりません。働き方改革はこれからも志高く能力のある方々が教師の道を選び、わが国の学校がさらに充実・発展するためにも不可欠になっています。

これはSociety5.0といった変化の激しい時代を生きる子供たちに“たくましく生きる力”を育むためにも重要です。教師は本分である学習指導をはじめとする教育活動にこれまで以上に力を注ぐ必要があります。

こうした中で、朝早くからの登校指導や夜間・休日の見回り、勝つことだけを重視し長時間の練習を行う部活動、運動会等の過剰な準備など、必要な授業の準備時間が削られてまで教師が行うことでしょうか。“子供たちにとって真に必要なものは何か”、優先順位をつけて大胆に業務を減らし、家庭や地域の御協力を得ながら、社会全体で子供たちを育む体制が不可欠です。

皆さんの住む地域の学校で、教師たちが毎日子供たちの前でいきいきと教壇に立てるよう、力を合わせていきましょう。そして、これからも優秀な若者が教師になりたいと思えるよう、教師の仕事をより魅力的なものにしていきましょう。文部科学省としても、積極的な情報発信や関係者への働きかけ、教育制度の在り方の大胆な見直しや条件整備をしっかり行うなど、全力を尽くして取り組んでまいりますので、ぜひ、学校における働き方改革にご理解・ご協力をお願いします。

平成31年(2019年)1月29日
文部科学大臣 柴山昌彦