迫る大学入学共通テスト 英語民間検定試験の全体像

2021年度入試から実施される大学入学共通テストでは、英語に関して「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を評価するため、民間の資格・検定試験の成績を活用する。共通テストの実施まで2年を切ったが、2019年度中には大学入試センターによる「大学入試英語成績提供システム」が稼働するなど、各高校における対応は「待ったなし」の状況だ。稼働が迫る中、共通テストにおける成績提供システムのポイントを整理した。


■要件を満たす民間の資格・検定試験

大学入試センターが「大学入試英語成績提供システム」の要件を満たすと確認した、資格・検定試験の種類ごとに、CEFRとスコアとの対応、検定料、実施スケジュール、会場などの情報をまとめたのが、「英語4技能試験情報サイト」の18年11月時点での一覧表

要件を満たす試験は9種類あるが、実施回数や会場、検定料に違いがある。また、どの試験もCEFRのレベルに対応してはいるものの、試験の目的を異にすることから、実施方法や解答形式には大きな違いがある。受験生はそうした違いを踏まえながら、どの試験を利用するか、適切に判断することが求められる。

■共通IDを記入して意思確認

受験生が民間の資格・検定試験をどのように受検し、その成績はどう大学側に送られるのか。

「大学入試英語成績提供システム」は、受験生別に資格・検定試験の成績を集約・管理し、大学に提供することで、受験生が成績証明書を取得したり、大学が成績証明書から成績情報を入力したりする手間を省くことを目的としている。高校にとっても、在学者がどの資格・検定試験を受検したのかを把握できるメリットがある。

まず、受験生には大学入試センターから個別に共通IDが発行される。その後、受験生が民間の資格・検定試験の受検を申し込む際、所定の欄に共通IDを記入すれば、受検後の成績が大学入試センターに送付され、大学への提供対象となる。

「大学入試英語成績提供システム」の基本的な仕組み

要請のあった大学に提供される成績は、受験生が大学を受験する年度の4~12月の2回分だ。この2回分については、同じ試験を受けても、異なる試験を受けてもよい。ただし、受検申込時に共通IDを記入しなかった場合、後から成績送付を希望することはできない。また、共通IDを記入した後に、成績送付を取り消すこともできない。

大学入試センターには、各資格・検定試験のスコアの他に、CEFRの段階別表示、合否(判定をしている場合)などの情報が送付される。大学への提供対象となる2回分の資格・検定試験名や試験回などについては、一定期間、受験生本人が確認できる仕組みを設けることも検討されている。

大学によっては、AOなどの総合型や学校推薦型の入試において、民間の資格・検定試験の成績を活用する場合が考えられる。そのため、大学入試センターから大学への成績提供は「9月以降」、「11月以降」、「翌年2月以降」の複数回にわたって、設定することが予定されている。各高校や受験生は、受検する民間の資格・検定試験が大学への成績提供に間に合うのかどうかも、よく確認しておく必要がある。

高校在学者の共通IDについては、2年生の11月頃に2~3週間程度の申込期間を設けて受け付けをし、12月~翌年1月をめどに発行される。申し込み手続きは、現行のセンター試験の出願と同様、在籍する学校で申込書をとりまとめて行うこととなっている。

一方、高校既卒者の場合は、本人が住民票などの本人確認書類を添付して、大学入試センターに個別に申し込む。共通IDの有効期間は、高校在学者・既卒者共に2年間だ。

なお、高校において成績提供システムの対象となるのは19年度の高校2年生、つまり20年度の卒業生からだが、19年度の卒業生も20年度に大学を受験する可能性がある。そのため、19年度に限り、高校3年生についても、在籍校からの共通IDの発行申し込みができるようになる予定だ。

■高2の成績を利用できる場合も

成績提供システムでは、一定の条件を満たせば、高校2年生時に受検した資格・検定試験の成績を利用することもできる。

文科省の「『大学入学希望者学力評価テスト(仮称)』検討・準備グループ」が18年8月に策定した「大学入学共通テスト実施方針(追加分)」によると、高校2年生のときに民間の資格・検定試験を受検し、CEFRのB2以上の成績を取った生徒のうち、①非課税世帯などの経済的に困難な状態を証明できる②離島・へき地に居住・通学している――のいずれかに該当する者は、負担を軽減すべき理由があるとして、高校の学習に支障がないと校長が認めた場合は、その結果を活用できるとされている。

また、病気などのやむを得ない事情で受検できなかった場合についても、特別な配慮をすべきであると認められれば、大学受験の前年度の資格・検定試験の結果を活用できるとされた。

これらの例外措置を受けようとする生徒は、高校3年生の4~12月の2回の試験を受検する前に、必要な手続きを大学入試センターに申し入れる必要がある。

大学入試センターでは、今年夏ごろまでに高校や大学向けの成績提供システムの手引きを作成するほか、共通IDや成績提供の仕組みに関するコールセンターを19年秋ごろまでに開設することも検討している。

なお、一部の国立大学では、21年度入試の段階で、民間の資格・検定試験の受検を必須としなかったり、利用を見送ったりする方針を示している。混乱を最小限に抑えるためにも、各高校や受験生には、関係機関の最新の情報を十分確認することが求められる。

(藤井孝良)