大学入学共通テスト 詳報・プレテスト分析結果

4月4日に大学入試センターが公表した、大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)の結果報告では、各問題の詳細な分析や実施面での課題から、2021年1月の共通テスト本番に向けた問題作成の方向性が見えてきた。同センターはこの結果などを踏まえ、共通テストの問題作成方針と実施方法について検討を進める。


各科目における解答傾向

受検生の平均点と、平均点を満点で割りパーセンテージにした平均得点率、正答数の平均を設問数で割り、パーセンテージにした平均正答率は表1の通り。なお、記述式の問題がある「国語」と「数学Ⅰ・A」については、マーク式問題のみの点数を基に換算した。

プレテスト実施にあたって大学入試センターが目安としていた、平均得点率5割程度以上となったのは19科目のうち14科目。数学2科目、理科3科目では、5割程度を下回った。

表1・科目別のマーク式問題の平均点、平均得点率、平均正答率

また、標準偏差15を下回った科目は▽数学Ⅱ・B▽日本史B▽現代社会▽政治・経済▽生物▽地学。このうち、「数学Ⅱ・B」と「生物」「地学」は、受検者数を考慮に入れる必要があるものの、平均得点率の低さから、問題の難易度が高かったと考えられる。

一方で、平均得点率が5割程度に達している科目では、正答率が比較的高い設問数と低い設問数が多く、得点分布が偏っていた可能性が考えられる。

無解答率では、「数学Ⅰ・A」と「数学Ⅱ・B」を除き、ほぼ9割の設問で無解答率5%未満だった。数学の2科目では、問題文を読み解く量が多く、試験時間が足りなかった可能性が考えられる。

各科目で特定の誤答選択肢を選んだ人数が、正答を選んだ人数を上回った設問は、表2の通りだった。

表2・特定の誤答選択肢を選んだ人数が正答を選んだ人数を上回った設問

また、全体で8問あった、前問の解答と連動する問題の正答率は▽世界史B 第4問A問2(2)(解答番号25) 49.3%▽日本史B 第6問・問7(解答番号35~36) 75.1%▽現代社会 第3問・問3(1)(解答番号18) 56.2%▽同 第3問・問3(2)(解答番号19~20) 82.1%▽倫理 第1問C問7(1)~(4)(解答番号7~10) 57.4%▽同 第1問C問9(1)(2)(解答番号12~13) 58.5%▽物理 第2問A問2(解答番号2) 36.9%▽化学 第1問A問2(解答番号2~4) 19.7%。

なお、プレテストで出題された、当てはまる選択肢を全て選択させる問題に関しては、複数のマークを正答として扱うと、マークシート1行に濃度の濃いマークと薄いマークが混在する可能性があり、薄いマークと消し跡を区別して読み取る基準の設定が困難であると判断。

マークシートを前提とした共通テストでの実施にあたっては、1行に複数をマークする必要のないような、出題形式の工夫を検討するとしている。

5割程度を下回った科目の改善点

平均得点率が5割を下回った数学2科目、理科3科目について、共通テストでは次のように改善を図る。

当てはまる選択肢を全て選択させる問題の、出題形式の工夫例

数学では、全ての問題で数学的な問題発見・解決の全過程を重視して出題した結果、全体の分量と試験時間のバランスに課題が残った。

そこで、共通問題で数学的な問題発見、解決の全過程を問う問題は、大問もしくは中問1題程度とし、他の問題は過程の一部を問うようにする。選択問題で数学的な問題発見・解決の全過程を問う問題は、回答に必要な時間を十分検討した上で、出題を判断する。

過程の一部を問う問題では、共通問題、選択問題のいずれにおいても、事象を数学化し、問題解決のための構想を立てたり、思考過程を振り返って考察したりする資質・能力なども問うように努め、問題全体の中で資質・能力をバランスよく出題。

思考時間を確保できるよう、文章の読解に要する時間を軽減する。

日常生活や社会の事象を題材とする問題では、「数学Ⅰ・A」の共通問題で最低1題、出題することとし、「数学Ⅱ・B」でも1題出題するように努める。

理科3科目のうち、「物理」では、多様な分野・領域の小問からなる第1問の正答率が、予想より伸びなかったことが課題になった。共通テストも問題構成や基本的な考え方はプレテストを踏襲しつつ、試験問題全体の難度は、さまざまな難易度の設問をバランスよく組み合わせるようにする。特に第1問では、知識の理解を明快に問う問題を中心問い、難易度が高くならないように調整する。

「生物」と「地学」では、実験・観察・調査の結果を基に考察する、科学的な探究の過程を重視した問題を中心に出題したが、受験者の学習状況に照らした問い方の工夫に課題が残った。科学的な探究の過程を重視する方向性は維持しながらも、文字数や資料数などの問題の分量は受検者が問題の内容を理解して回答する十分な時間を確保できるよう、文章を精査したり、資料の示し方・レイアウトを工夫したりする。

複数の分野を融合したり、解答に至る過程で複数の思考・判断を要したり、過不足なく含むものを選んだりといった、難易度が比較的高くなる場合には、複数の設問に分けて内容を問うたり、段階的に部分点を設定したりする。授業場面を取り上げたり、分野を横断した内容を取り扱ったりする、新しい傾向の問題の正答率は低いが、高大接続の趣旨を踏まえ、継続的に作成する。

英語

大学入試センター試験では、発音、アクセント、語句整序の問題形式で「話すこと」「書くこと」を間接的に問う問題が出題されてきたが、プレテストの筆記(リーディング)では、これらの問題を出題せず、「読むこと」の力の把握を目的とした構成とした。

出題では、小問ごとにCEFRに応じたレベルを設定。その結果、現行のセンター試験と遜色のない識別力を保持し、より広範囲の学力層を高い精度で測定できることが確認された。これを受け、共通テストではプレテストの問題構成を反映し、「リーディング」として実施する。

リスニングでは、問題のレベルに応じて、問題の読み上げを1回のみとするものと2回繰り返すものを混在させて出題。1回のみの読み上げでB1レベル程度の問題が配点された第4~6問では、一定の識別力を確保できる結果となった。これを受け共通テストでは、受検生に周知を図った上で、読み上げは1回と2回の問題を混在させて実施する。

記述式問題の不一致率

点数ではなく段階で評価する「国語」の記述式問題では、問題ごとに正答例と正答条件を示し、採点を実施した。

共通テストでの大規模な採点を円滑に実施する観点から▽句読点や記号を記述する際には、禁則処理で漢字や仮名と合わせて1マスに記述する場合があるため、句読点が漢字や仮名と合わせて1マスの中に記述されていても、1マスとして数える▽二つの文章であることは、句点以外に空欄をとって判断する▽二重線での取り消しや文字の挿入をした解答は、形式的な条件を満たしていないものと判断する▽誤字・脱字は内容面から判断し、誤字・脱字によって文意や文脈が異なる場合は、条件を満たしていないと判断する――ことなどを留意点として受検生に示す。

「数学Ⅰ・A」で出題した3問の記述式問題は、いずれも正答率が低かったが、問題の難易度そのものはそれほど高くなかったと考えられ、マーク式問題を含めた全体の分量と試験時間のバランスが影響した可能性がある。したがって、共通テストの数学の記述式問題は、プレテストと同程度の難易度を念頭に、全体の難易度や解答に必要な時間を配慮して作問するようにする。また、共通テスト開始当初は数式を記述する問題を3問出題することを視野に検討し、将来的には問題解決のための方略を単文で記述する問題なども出題できるように検討していく。

表3・記述式問題の採点結果と受検生の自己採点の不一致率

解答の中には、結論に加えて計算や思考過程を記述しているものも見受けられた。これは、正答の記述量に対して解答欄が広く、受検生が混乱した可能性がある。そのため、数式を記述する問題では解答欄の大きさを変更し、解答すべき内容が受検者に分かりやすいようにする。

採点結果と受検生の自己採点の不一致率は表3の通り。

これを受け、国語の記述問題の題材や問いを工夫するとともに、解答の内容面の許容範囲などについて、例示を交えて正答の条件の考え方を分かりやすく整理し、高校や受検生に周知するようにする。

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