世界の教室から 教育先進国・フィンランド 第6回 フィンランドの幼児教育②

慶応義塾大学教授 今井むつみ





■学習科学の知見に基づくプログラム

フィンランドの幼稚園訪問で最も印象に残ったのは、教師たちのレベルの高さ、プロフェッショナリズムだ。

出会った教師たちの誰もが高い英語能力を持っていて、保育の指針や実践について、英語でよどみなく語ってくれた。しかも、話す内容は中身が濃く、専門的だった。教師たちが教育学、発達心理学、学習科学について深く理解していることが、よく分かった。

前回でも書いたように、フィンランドの幼稚園では、小学校で学習する内容の先取りはしない。子供たちは、身体を動かして遊んだり、手を動かしてものをつくったりして時間を過ごす。しかし子供たちが楽しんで活動しながら、さまざまなことを学べるように、入念に考えられている。しかも、それが学習科学の研究の大事な知見を見事に組み込んでいるのである。

学習科学の研究では、幼児期に、数や量、形について興味を持ち、日常生活の中で自然とそれらに注意を払う習慣を付けると、後の算数の学力にも大きな影響を及ぼすことが分かっている。……

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