教育課程・指導計画・全体計画 実効性を高めることが重要(工藤文三)

教育新聞論説委員 工藤 文三

教育課程と指導計画

カリキュラムを計画場面で捉える用語に教育課程、指導計画、全体計画の3つがあり、各学校でもその編成や作成が行われている。

それぞれの性格を整理しながら、特に全体計画の位置付けや生かし方について考えてみたい。

教育課程の用語は学習指導要領の試案の時期から用いられていたが、公式に用いられるようになったのは、1950年の学校教育法施行規則の一部改正以降である。また、教育課程の意味が、現在総則の解説「教育課程の意義」で示される内容として公式に説明されたのは、78年の指導書『教育課程一般編』においてである。

一方、指導計画の用語も、試案の時期から用いられてきたが、教育課程と区別して用いることになった事情について、奥田真丈氏は次のように述べていた。「教育課程と指導計画をどのように使い分けるかは問題のあるところであるが、かつて文部省の部内で話し合って次のようにしたことがある。すなわち、教育課程という場合には、あくまで学校における全体をまとめていう場合に使うこととし」「それ以外の場合たとえば国語や数学等の教科別や学年別等の別々の場合はいずれも指導計画と呼ぶというような約束をしたことがある」(『教育学大全集27 教育課程の経営』奥田真丈、1982年、第一法規出版)

このように教育課程に対して、指導計画は教育課程を構成する部分の計画のことであり、このことは現在の学習指導要領でも引き継がれ、総則の解説や総合的な学習の時間の解説にも記されている。

全体計画

一方、全体計画の用語は、道徳教育が学校の教育活動全体を通じて行うこととされた1958年学習指導要領から用いられている。その他に、総合的な学習の時間の全体計画は2003年の一部改訂から、特別活動については08年改訂以降、全体計画の作成を明記している。同じ全体計画の用語であるが、これらの三つは少し性格が異なっている。

道徳教育の場合は、道徳教育が学校の教育活動の全体を通じて実施されるため、各教科等およびその他の教育活動が、道徳科を要としてどのように道徳性の涵養に寄与するかを計画として示す。これに対して総合的な学習の時間や特別活動は、学校の教育活動全体で実施する位置付けではない。ただ、総合的な学習の時間は、各学校でその目標や内容を定めるという点や指導体制も学校として推進するという性格から、全体計画の作成が求められている。特別活動については、特別活動を構成する各活動、学校行事を全体として捉え、学校として推進するという性格を明確にする狙いがあったと推測される。

学習指導要領に示されている以外でも、全体計画の作成が求められている。例えば、第3次食育推進基本計画(16年3月)においては、「学校の食に関する指導に係る全体計画に作成を推進する」としている。

全体計画の位置付けと働き

「学校の教育計画」としての教育課程の編成とは、各教科等の指導計画と全体計画の総合として捉えることができる。ただ、教科等横断的な課題等さまざまな全体計画が作成されると、指導計画と全体計画の相互関係の在り方が課題になる。各教科等の指導計画が基本とされれば、全体計画は、テーマに関連する内容を整理したものになりかねない。一方、全体計画において、目標、内容の範囲や取り扱いの順序が予め明確にされれば、これを基軸にして各教科等の指導計画に具体化することができる。

各学校では、学習指導要領等で求められている全体計画とともに、現代的な課題に対応した全体計画など、さまざまな全体計画が作成される。教育課程における全体計画の位置付けや働きについて整理が必要と考える。

一方、各教科等の授業は教科等の目標の実現を目指して計画・実施されるが、一方で、全体計画が目指す目標の実現に寄与することが求められる。教科等ごとの「見方・考え方」を働かせることが想定されるが、実際には簡単ではない。

資質・能力の育成を重視した教育課程編成においては、指導計画と全体計画の関連、全体計画の位置付けについて、さらに検討していく必要がある。


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