グループワークをさらに進化させた「チーム学習」。学級運営にスポーツマネジメントを応用し、それぞれの児童の個性を生かす“先生が教え過ぎない授業”だ。元神奈川県公立小学校教諭で、現在は佐久穂町イエナプランスクール設立準備財団理事を務める桑原昌之氏に、「チーム学習」を成り立たせるための、居心地のよい学級づくりの秘訣(ひけつ)を聞いた。2回目は、桑原氏の教員人生の変遷をたどる。
■教師とサッカークラブコーチの駆け出し
――「チーム学習」を取り入れる前は、どんな教員でしたか?
自分自身が小・中学校で出会ってきた先生たちが、たまたま個を尊重してくれる方々だったこともあり、高校生の時に教員を目指して大学へ進むことを決めました。しかし大学卒業後すぐは採用されず、非常勤で高校の保健体育講師を勤め、25歳の時に正規採用となり、神奈川県伊勢原市の公立小学校に勤務しました。 最初は、自分の中にあった「教師はこうあるべきなんじゃないか」という理想像に従って、必死になって型通りの一斉授業をしていました。しかし、1人で児童全員の学びの姿を細かく見ていくのが、とても大変でした。どうしても「置いて行ってしまう子」が生まれてしまうのです。その存在に気づいても、スケジュール通りに授業をこなすことに必死だったので、なんだか自分自身が苦しくなってしまうことがありました。 地域のサッカークラブのコーチをしている時も、同じ課題にぶち当たることがありました。……

深掘り 解説委員 鈴木教育新聞特任解説委員 鈴木 崇弘(城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表)

いじめ防止対策推進法は、2011年の滋賀県大津市のいじめによる自殺事件をきっかけに、その防止対策として制定された。  同法の重要な点は、学校内においていじめの防止組織をつくり、情報共有を図り、従来は担任などの個人教員に任せられていた対応が、組織対応をとるように方向転換されたことだ。  同組織には、心理や福祉の専門家、弁護士、教員・警察経験者ら外部専門家の参加・対応が可能だが、重大事態が起き、調査委員会の立ち上げ後に外部専門家が参加することが多いという問題が、同法施行3年後実施のレビューでも指摘されている(注1)。……

文科省が公表した2018年度の全国学力・学習状況調査の結果は、小学校の算数B、中学校の数学Aと理科以外で前回調査よりも平均正答率が下がった。同省では今回から調査結果の公表時期を前倒しし、各学校に対して2学期からの授業改善に活用するよう促している。各教科の問題、質問紙から見えてきた課題とは――。

eye-catch_1024-768_tyumoku-kyoiku_r20180426藤川大祐千葉大学教育学部教授の視点

少数派視点で考えさせる教材を 具体的な実践の蓄積不足を補う
◆いじめ防止に寄与、とは考えにくい◇
今回も紙面の記事を直接取り上げるのでなく、「特別の教科 道徳」(以下、「道徳科」)といじめについて書かせていただく。 道徳の教科化は、2013年、いじめ問題への対応として教育再生実行会議で提言されたものであり、文科省も道徳を教科化し「考え、議論する道徳」へと転換することがいじめの問題に正面から向き合うものであるという立場をとっている。だから、道徳科はいじめ防止に大いに貢献するものとなっていなければならない。 だが、私の著書『道徳教育は「いじめ」をなくせるのか』(NHK出版)で詳しく述べたように、現状は厳しく、道徳科がいじめ防止に寄与しているとは考えにくい。……


主体的な学びに向けた脱一斉授業の取り組みの中で、グループワークをさらに進化させた「チーム学習」というものがある。それは学級運営にスポーツマネジメントを応用し、それぞれの児童の個性を生かす“先生が教え過ぎない授業”。元神奈川県公立小学校教諭で、現在は佐久穂町イエナプランスクール設立準備財団理事を務める桑原昌之氏に、チャレンジとリスペクト、スマイルがあふれる「チーム学習」を成り立たせるための、居心地のよい学級づくりの秘訣(ひけつ)を聞いた。1回目は、「チーム学習」と「学級の居心地の良さ」の関係に迫る。
■「チーム学習」は居心地の良い教室で成り立つ
――桑原流「チーム学習」は、スポーツマネジメント理論を学級運営に応用した非常にユニークな手法だと感じます。「学級チームビルディング」とは、つまり何でしょうか?
異なる能力や思考を持った児童たちのそれぞれの個性を生かしながら、みんなで「居心地の良い教室を作る」という、共通の目標に向かって進んでいける状態を築くことです。例えばサッカーでは、メンバーの能力やプレースタイルはさまざまで、個々が担っている役割も違う。メンバー皆が、それぞれの個性や強みを生かしながら、それぞれのやり方でゴールを目指します。皆が同じ能力を持っている必要はなく、自分の得意なことをチーム全体のために生かしていく。それをそのまま、教室でもやろうと考えつきました。 チームの定義もさまざまあると思いますが、「チーム」を「グループ」との違いで分かりやすく説明すると、「グループ」は共通の好みや思考を持つメンバーが群れている状態。例えば女の子はよく好きなアーティストの共通性で「グループ」を作りますが、「グループ」は同質性を好み、好みや思考が異なる友達を排除しようという動きが起きやすいです。 一方で「チーム」の方は、異なる個性を持つメンバーで構成され、異質性に対して寛容な集団。学級には、それぞれが異なる物語を生きている児童たちが集まっているわけなので、「チーム」としての学級運営が適していると感じます。……

産学官の有志が結集し、より良い教育の実現に向けてチャレンジする「教育・学びの未来を創造する教育長・校長プラットフォーム」。事務局の中心である文科省の佐藤悠樹氏、弓岡美菜氏、堀川拓郎氏へのインタビュー後半は、同プラットフォームの可能性や、それぞれの教育への考えを語ってもらった。  
■実践の具体的な中身まで踏み込んで議論できる
――「教育長・校長プラットフォーム」だからできることは。
佐藤 その地域ごとの「地に足のついたチャレンジ」というのは、具体的な中身や背景にまで踏み込んで議論をしないと意味がない。そこまで踏み込んでやれる場というのは、珍しいと思います。総会でも、皆さんが自分たちの地域に引き寄せてお話ししてくださって、「うちでは……」という声が多発していました。 堀川 校長先生や教育長の方々が集まる場として、オフィシャルに集められた行政がやっている研修などはあります。一方で、このプラットフォームは、参加者全員がプライベートで、自由な意思で参加されています。だからこそ本音の話や、フランクに語り合う雰囲気ができることもあるのではないかと思っています。 佐藤 対外的には言いづらいけれど本質的な課題が誰しもあります。……

eye-catch_1024-768_takashina-challenge教育創造研究センター所長 髙階玲治

過度の働き方への依存はやめたい

〇なぜ学校満足度が低いと考えるのか
今年3月に発表されたベネッセ・朝日新聞の合同調査結果は興味深い。数年おきに実施していて今年は4回目であるが、特に注目されるのは、保護者の学校信頼度である。それによると保護者の学校満足度は小学校86.8%、中学校77.8%であった(『学校教育に対する保護者の意識調査2018』ダイジェスト版)。 学校は何よりも保護者や地域からの信頼に基づいて教育実践を行う場である。子供たちの学習活動が充実し学校生活に満足感をもてることが基本である。その意味で保護者の満足感が高いことは何よりも喜ばしいことである。しかし、この調査が始まった2004年当時から校長の集まりなどで一般的な学校の信頼度を聞くことがあったがその回答は5割以下が多かった。よくても6割程度、悪いと考える場合は3割程度もみられた。このことは最近でもみられる傾向のようである。しかし、04年当時の調査でも保護者の満足度は70%を超えていた。それが調査ごとに増加している。校長などの認識と保護者の満足度では大きなギャップがみられるのである。 なぜ、校長などは学校満足度が低いと考えるのか。

eye-catch_1024-768_takashina-challenge教育創造研究センター所長 髙階玲治

マネジメントとして達成を目指す

〇学級経営の認識は十分か
新学習指導要領は、「学級経営」重視である。「学級経営」の重要性について、これまで指導要領レベルでほとんど提示されることはなかった。それが今回は中教審論議で子供の資質・能力を育成するうえでの学校教育の意義や役割の基本として学級経営重視の姿勢を打ち出している。 言うまでもなくわが国の学校は、学級を単位とする担任制が敷かれ、学級担任を中心とする教育の諸活動が行われている。言わば学校教育の基盤を形成しているのが学級である。さらに中・高校は教科指導と並行して行われているが、小学校はほとんどの教科・領域について学級担任が指導を担う形になっている。小学校の教育の実際は学級担任の指導に負うところが大きい。こうした実態を考えるうえでも、学級を中心とする指導の在り方が子供の成長に限りなく大きな影響をもたらすことは必定である。 新学習指導要領が提唱する学級経営重視は、子供の成長に向けた極めて重要な視点であると考える。……

深掘り・小宮山教育新聞特任解説委員 小宮山 利恵子 (リクルート次世代教育研究院院長)

今年5月29日、「新たな学び」を掲げ、超教育協会の設立記念シンポジウムが慶應義義塾大学三田キャンパスで開催された。会長は元東京大学総長で、三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏。AI、ビッグデータ、ブロックチェーンといった先端技術の教育への導入や、テクノロジーと教育に関する研究、啓発、政策提言などを進め、未就学児からシニアまで、全ての学習者を主体とした新たな学びをデザインする目的で設立された。 背景には、「従来の学校における、あらゆる垣根を越えて、これからの教育は取り組む必要がある」という覚悟がある。 私も上席研究員および教育×AIワーキンググループのリーダーとして、微力ながら同協会において活動させていただくことになった。

より良い教育の実現に向けてチャレンジしようと産学官の有志が結集し、今年3月に設立された「教育・学びの未来を創造する教育長・校長プラットフォーム」。実践者がつながり、試行的に取り組む集まりとして注目されている。立ち上げたのは、文科省の若手職員ら。事務局の運営などを、文科省の仕事ではなく「課外活動」として行っているという。設立のきっかけや展望などを聞いた。
■実践者同士がノウハウを惜しみなく共有する場
――「教育長・校長プラットフォーム」を立ち上げた理由は。
佐藤 私は入省10年目なのですが、教育現場で良い取り組みがあまた起きていることを、身をもって知る機会が増えてきました。一方で、良い取り組みをしている先生同士で、そういった動向が知れ渡っているかというと、意外とそうでもない。 そこで、良い取り組みをしている実践者同士が、ノウハウを惜しみなく共有する場を作り、どんどん広げていきたいと思ったのが、このプラットフォームを作るきっかけです。……

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