傾聴し受容し課題踏まえて協働を 神奈川県警少年相談・保護センターが事例

阿部敏子所長が子どもとの関わりを交えて提言した
阿部敏子所長が子どもとの関わりを交えて提言した

講演の冒頭、阿部所長は、「この仕事に就いて本当に良かった」と強調し、同センターの役割や関わった子どもたちとの印象深いエピソードを語った。

同センターは、同県内に8つの事務所を置く。専門スタッフが問題を抱えた子どもの相談や継続的な指導、支援を行っている。

母親に促されていやいや来所したという子どもとの関わりでは、阿部所長に対してふてくされた態度をとる中にも、母親への思いが感じられた点を褒めて肯定。「私自身もたまたまこのセンターに来たのだけれど、その結果、あなたに出会えた」などと偶然の出会いを大切にしたいというメッセージを示し、少しずつ打ち解けながら、子どもの愛情を求める心などを理解していったという。

その後も、センターに訪れたさまざまな子どもたちと関わる中で、▽トラブルに遭っても相談する発想が乏しい▽自分なりのがんばりが評価されない▽寂しさから援助交際などの問題がある付き合いをやめられない――など、子どもたちの抱えている状況を知ったと指摘。その上で、非行や問題行動は、子どもたちにとっての「SOS」だと強調した。

そんな子どもたちのSOSを的確にキャッチし、適切な対応が取れれば、子どもたちは変化し、健やかな成長を遂げていくとの経験も振り返った。一方、インターネットを通じた犯罪が進行する中で、一見して子どもたちの危機を示すサインの把握が困難になり、問題が潜在化している状況に危機感を示した。子どもたちを取り巻く多様な課題を視野に、学校でも、福祉、医療、警察、司法などの学外の多様な専門機関と連携し、対応していく必要があるとした。

教員の理解度を深めるために、子どもの健全育成を担う同センターをはじめ、県内の関係機関とその業務、学校との連携支援の事例についても説明した。

同センターによる立ち直り支援では、学校や児童相談所などを通じた少年相談や、相談員による助言、補導などを行っていると説明。子どもの状況を見取り、適切な関係機関や警察とのつなぎも行うなどとした。

補導や支援では、子どもだけでなく、保護者への定期的な面接、電話や訪問による相談など、カウンセリングやケースワーク、心理療法などを交えて行っている。大学生サポーターなどの手助けや農業体験などを通じた支援も時に織り交ぜていく。

学校と連携した取り組み事例も報告。無視や暴言などのいじめを受け、教師に相談し、一時は治まったものの、再度いじめを受けている小学生の対応では、まず、いじめを受けている子どもの訴えを傾聴した。共感的に受け止めながら、同センターが保護者と学校の連携を取り持ち、共に問題に向かっていくという行動とメッセージを出した。関係者が協働して被害を受けた子どもをしっかりと守る意識を築きながら、学校と被害者、加害者、周囲の子どもたちへの支援や指導についても相談し合い、綿密な連携体制で対処を進めていったなどと振り返る。

連携に際しての注意点では、▽関係機関の法的根拠と役割機能について理解を深める▽顔が見えて相談できる関係づくりを行う――などと助言。案件の引き継ぎでは、▽対象機関が適切かを事前にしっかりと話し合う▽自身の指導内容と相手機関に依頼する内容をしっかり明示▽丸投げはしない――などを提起し、学校が諸機関と良好なつながりを実現するのを励ました。

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