【連載】くちから語る健康 第35回 正しい生活習慣こそ大事

日本大学歯学部 医療人間科学教室教授 歯学博士 尾﨑哲則

今年の秋も、「歯口の健康づくり」の出前授業をするために、全国の小学校を回っています。始めてから早10年が経ちました。

全国から寄せられた応募の中から、事務局が抽出した小学校であるため、お邪魔する多くの学校は、歯科保健活動についてかなり努力しているのは、当然といえば当然です。

歯科保健活動の多くが、歯磨きが中心になっています。したがって「歯磨きの指導」についてはかなりの時間と手間をかけているようです。その影響か、「歯磨きだけをしていれば、むし歯にはならない」と思っている人が、いまだに多いように感じます。

う蝕は(むし歯)は、1964年にカイスによって発表されました。う蝕原因菌(代表的なのもがミュータンス菌)と砂糖を主とした糖類、そして歯・口に関する弱点が重なり合うとう蝕になる――という学説(いわゆる3つの輪の理論)です。う蝕予防は、多くの要因に対応していくのが重要です。

このことから考えれば、糖類への対応、歯・口についての対策も行います。糖類への対応としては、シュガーコントロールです。だらだら食いをしない(歯と砂糖が長い時間接触しないようにする)とか、過剰な砂糖をとらないことです。

歯に対しては、一つはフッ化物の応用です。意外に行われていないのが、「よく噛んでたべる」です。よく噛むと、舌や頬の粘膜が歯の表面を擦っていきます。そして、擦られる部分には歯垢がつかないことになります。さらに、唾液が多く分泌されれば、歯の表面を洗い流すことにもなります。

唾液には細菌対応する抗菌物質や再石灰化(溶けかけた歯を戻す)を高進する物質が含まれています。一般に、歯磨きが重要だと考えられてはいますが、ほかの要因への配慮が低いのが気になります。子どもたちの朝をみると、ゆっくりよく噛んで朝ご飯を食べ、そのあとしっかり歯磨きをするためには、早起きが重要になります。そのためには、早寝が当然のこととなります。また、だらだら食いやながら食べをしないといった、正しい食生活をしていく必要があります。

ここから、正しい生活習慣形成が重要であるといえます。歯口の健康づくりは、歯磨きもさることながら、総合的な生活習慣と関わりがあるのです。

今、WHOが提唱している「NCDs(非感染性疾患)」(5月に掲載)として子どもたちに伝えていくことが、今後の課題と考えています。

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