(教育時事刻々)2015年11月中旬~12月中旬ふりかえり

◇11月16日付

主権者教育で公正に判断する力を=文科省は「選挙年齢引き下げに関する連絡協議会」を都内で開催。主権者教育に活用する副教材や、高校生の政治活動を一定の要件で容認した新たな通知について説明した。模擬選挙や選挙の在り方などの主権者教育を小・中・高校に出前授業をしている(公財)明るい選挙推進協会などの団体から事例発表も行われた。

検定や無償配布など課題山積のデジタル教科書=文科省の「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議座長の堀田龍也東北大学大学院情報科学研究科教授は11月9日、DiTTデジタル教科書教材協議会主催のシンポジウムを開催。検定や無償配布など課題山積とした。

◇11月19日付

小学校英語教科化を先行実施など東京都が教育大綱最終案=東京都は11月12日、総合教育会議を開き、平成29年度までの教育指針を示す教育大綱の最終案を示した。「重点事項」としてオリンピック・パラリンピック教育や不登校対策、小学校英語教科化を先行実施するといったグローバル人材の育成など7項目を挙げた。

◇11月26日付

日本の公的財政支出依然低い=OECDは11月24日、「図表でみる教育2015年版」を公表。日本の公財政支出のGDP比は3.7%で、OECD平均4.8%を大きく下回った。今回からは幼児教育就学前の数字は入っていない。日本の教員給与の最高額はOECD内で高水準にあるものの、そこに至るまでが平均より10年長い。また15年勤続教員給与は、05年からの8年間で6%減少していた。

高校の通級指導ニーズは高い=高校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の第1回会合で、高校での通級指導や特別支援学級の制度化を見据えた検討が始まった。現行制度上、高校では、義務教育課程のように通級指導の実施や特別支援学級の設置はできない。しかし、そのニーズは高校にも高く、その解決に向けて論議を進めるのが同会議の目的。関係団体からのヒアリングを含め、年明けまで検討を重ね、来春までには報告書をまとめる予定。

◇11月30日付

大阪府教委が高校入試での全国学力調査の結果利用を断念=文科省は11月25日、全国学力・学習状況調査の結果について高校入試に活用しないよう、禁止事項を実施要項に盛り込む方針を固めた。全国学力調査の学校別結果を来春の高校入試の内申点の中で活用すると決めている大阪府教委は、平成29年度以降の使用を断念せざるを得なくなった。

◇12月3日付

全校をコミュニティ・スクールに=11月26日、中教審の第103回総会で、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」と「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携」の答申案が審議された。後者では、時代の変化に伴う学校と地域の在り方として「全ての公立学校がコミュニティ・スクールを目指すべき」とした。これを実現するために、教委が積極的に設置するよう、国は財政的支援を含めた条件整備を講じるものとした。また新しい体制として「地域学校協働本部」(仮称)を設置する。

けじめや見やすい板書やユーモアがよい授業の因子=さいたま市教委が、「よい授業」とは何かを模索し、全国初となる大規模調査を実施。児童生徒が望むよい授業を成り立たせる4因子を明らかにした。それは、授業マネジメントや授業スキルなど。具体的には、授業中のけじめや見やすい板書、ユーモアなどだった。ごく普通の結論のようだが、調査と分析に協力した市川伸一東京大学大学院教授は、「普遍的な要素が因子として抽出できたのには、大きな意義がある」と語っている。

◇12月7日付

文科相が教職員定数削減に対し決議文作成=馳浩文科相は12月1日、閣議後の定例会見で、教職員定数削減に反対する決議文を作成したとの一部報道について、「『非常ベルが鳴り響いている』との認識で作成した」と語った。11月26日に都内ホテルで開催した文科、文部大臣経験者との会談で、決議文の理解を求めたという。

◇12月10日付

いじめ重大事態93件、幻聴あらわれた生徒も=文科省の第3回いじめ防止対策協議会が12月2日、省内で行われた。いじめ防止対策推進法第28条規定の「重大事態」に関する平成26年度の調査結果が明らかになった。それによると、いじめにより子どもの生命、心身または財産に重大な被害が生じた件数は93件。自殺5件、自殺未遂13件、身体への傷害23件、精神性の疾患の発症21件、金品等の重大な被害8件、その他23件。学校種別では小学校26件、中学校42件、高校25件。このうち警察と連携したのは小学校12件、中学校21件、高校14件と、いずれも約半数だった。「重大事態」の具体は、▽自宅2階から飛び降りて骨折等のけがを負い入院加療。生徒間の携帯電話でのやりとりなどでトラブルがあり、飛び降りの背景にこのいじめが関連していると判断された▽長期間いじめが継続、暴力行為でけがを負ったのをきっかけに不登校。その後、不眠、不安、抑うつ状態となり、医療機関を受診▽いじめが続く中、薬を大量に飲み、病院に搬送された▽金銭を強要されたり暴力行為を受けたりして幻聴等の精神性の疾患症状があらわれたなど。

「抵抗感があるのでは」高校通級指導でヒアリング=高校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の第2回会合が12月3日、文科省で開かれた。協力者からのヒアリングや議論を行った。高校では、義務教育課程のように通級指導を実施する制度はないが、ニーズは高い。通級指導の制度化に向けた検討が必要とされる。ヒアリングで意見を述べた1人、永妻恒雄さいたま市立大宮南中学校長は――。文科省資料では、平成26年度に通級指導を受けていた小学生は7万5364人。中学生は8386人。中学生になると、通級指導を受けている生徒が大幅に減るのが分かる。言語障害は発達に伴う改善が顕著だが、それを差し引いても、小学校の指導でこれほど多くの子どもが通級指導が不要になるほど改善したとは考えにくい。通級指導教室設置学校数は、小学校で3134校、中学校で608校。全国的に、毎年、通級指導教室の設置数は増加しているが、小学校に比べて中学校の設置数が圧倒的に少ない。その要因をいくつか推察すると、他の学校に通級する物理的困難さ、通常授業を抜けることへの抵抗感などを挙げられる。高校でも同様の課題があるのではないかと語った。