2016年は「学校図書館年」 世界に実践広める機会に

IASL東京大会運営委員会委員長・(公社)全国学校図書館協議会理事長 森田盛行

 

世界から学校図書館関係者が大勢集まる/これまでのIASL大会から
世界から学校図書館関係者が大勢集まる/これまでのIASL大会から

1.制定理由・経過・意義

わが国では、学校図書館の重要性が広く認識され、活動も活性化してきた。諸外国の教育界および学校図書館界においても、日本の学校図書館への関心が高まっている状況に鑑み、学校図書館発展促進を図るために、2016年を「学校図書館年」に制定した。

これまで、00年の「子ども読書年」、10年の「国民読書年」が国会決議で制定されたが、この「学校図書館年」は民間で提唱され、政官民が協力して行うものである。より広範囲に学校図書館の意義・目的・活動等に対する理解を深め、さらに学校図書館および学校教育の充実・発展を図るために、学校・団体・機関等との連携を図り、次の活動を積極的に展開する予定でいる。

◇学校図書館の整備・充実を図るための活動、学校図書館の活性化に関する研究
◇研究会・研修会・フォーラム等の開催
◇学校図書館のPR活動
◇災害に見舞われた学校図書館に対する支援活動
◇学校図書館活性化のための他機関との連携

2.国際大会の開催

2016年夏には、学校図書館の国際大会と全国研究大会(神戸大会)が開催されるが、ここでは紙幅の関係で国際大会について紹介する。

日本で初めて開催される「2016国際学校図書館協会東京大会(2016IASL東京大会)」は、今年8月22日から26日までの5日間、東京都千代田区の明治大学駿河台キャンパスで開催される。大会テーマは「デジタル時代の学校図書館」、サブテーマは次の通り。

◇仮想的に存在し、かつ物理的にも存在する場としての学校図書館
◇学習環境としての学校図書館
◇分野横断的な実験場としての学校図書館
◇現実世界、およびウェブ世界に開かれた窓としての学校図書館
◇社会的多様性を支える理解者としての学校図書館
◇生徒にとって生涯学習の主要な第一段階としての学校図書館
◇自分の分身に変わる空間としての学校図書館
◇デジタル時代の学校図書館職員

今大会は、国際的な研究および実践の情報交換の場であり、世界の学校図書館関係者と交流を深める場でもある。研究者だけでなく、学校現場の多くの実践者の参加が見込まれる。(大会公式サイト=http://iasl2016.org/)

3.発展への期待

戦後、再出発する教育を支える学校図書館として発足以来、確固たる理念の基に「学校の心臓」「学校教育の中核」を標榜して実践研究を積み重ね、今日では著しく発展している。一方、学校図書館の意義や活動に対する理解が深まらず、いまだに学校図書館は「本を静かに読む場所」との認識が残っているところもある。この認識が長年の課題である司書教諭・学校司書の専任化、施設・設備の現代化、予算の増加などが解決しない一因ともなっている。

学校図書館の主な機能には、学習センター・読書センター・情報センターがあるが、多くの学校図書館は大会のサブテーマにある「ウェブ世界に開かれた窓」にはまだなってはいない。デジタル時代に対応できる司書教諭・学校司書の養成・研修もまだ不十分である。

この大会の講演、研究発表、実践発表等により今日の学校図書館の課題を明確にし、わが国の関係者の共通認識を図り、これらの課題解決への転機としたい。同時に、わが国の優れた実践を諸外国にも広める機会にしたい。

4.2030年の学校図書館の姿

すでに、児童生徒は日常的にウェブサイトから直接情報を得て利用している。今後、ICTの利用はさらに伸展していくが、情報と児童生徒の間に介在して学校教育を支援する学校図書館の存在は、ますます重要になる。
教育が「人と人の結びつき」によって行われる限り、学校図書館は学校に必須の存在となる。