(学校図書館に寄せる思い)心を癒やし成長できる場

神奈川県南足柄市立岡本中学校長 中野敏治

 

読書嫌いだった小学校時代――。

私は教科書さえ読まない少年だったのです。担任が母親に「漫画本でもいいから読ませてください」と言ったのを、今でも覚えています。

小学校5年生のとき、学校の図書室で百科事典を開き「この本の中には自分が分からないことがなんでも書いてある」と感動した体験が忘れられません。それ以来、図書室で本を開くようになったのです。

本を読み始めると、そこには現実とは別の世界が広がっていました。知らぬ間に本の世界に入り込んでいく自分に気が付きました。開くと、いつでも、どこでもその本の世界に入り込めるのです。そして旅ができるのです。そんな感覚を覚えたのです。当時、学校司書が図書室にいたら、いろいろな本を紹介してもらえたのにと思います。

図書室にいたのは、児童会の図書委員でした。日直のように図書室当番が毎日変わっていました。図書委員は本の管理というより、図書室でふざけている人を注意するという役割でした。図書室に学校司書がいたなら、自分の気持ちを伝え、気持ちを聞いてもらいながら、自分に合う本を紹介してくれたかもしれません。そして、ますます読書が好きになったのではないかと思います。本のソムリエのように、今の自分に合う本を紹介してくれる学校司書は、子どもたちの心の支えでもあると思います。

図書室は、読書の場だけではなく、友達関係に悩み、みんなと離れた場所で一人になりたいという思春期の生徒が行ける場でもあってほしいです。静かな図書室で一人ボーッとする。その生徒にそっと優しく声をかけてくれる学校司書。悩みを聞くのではなく、本を紹介してくれる。生徒は学校司書から薦められた本で自分を見つめ、自分の力で成長をしていけるのではないでしょうか。図書室はそんな心を癒してくれる場でもあってほしいのです。

子どもたちは本と親しむことで、自分を見つめます。そして新たな自分を発見するのです。子どもたちは図書室から人生を学びます。学校司書は図書室で子どもたちの成長を見守り続けていくのです。

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