平成28年度 年頭所感 (8)

「母港」としての教科書
公益財団法人教科書研究センター常務理事 辰野裕一

今年は、デジタル教科書について国としての一定の方向付けが示される年になる。
現行のいわゆる「デジタル教科書」は、指導者用、学習者用ともにいわば「教科書準拠教材」であり、これらが「使用が義務付けられる主たる教材」としての教科書に位置付けられるためには、内容と供給の制度的保証に加え、デジタル独自の課題として使用環境の整備や健康問題への影響などクリアすべきいくつかのハードルがある。
このことに関連し、当センターが昭和61年に出した研究報告書の中に注目すべき記述がある。
同報告では、教科書を児童生徒の基本的な「学習材」とするとともに、将来の多様な教材の出現を予測し「教科書は『教材群の母港』といった役どころ」という視点を示しているのである。このような教科書観は、「あれかこれか」を超えて教科書と教材の在り方を考えるうえで、良いヒントになるのではなかろうか。
識者の卓見を期待したい。

新しい指導要領のデビュー
一般社団法人日本図書教材協会会長 菱村幸彦

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
今年は、戦後8回目の学習指導要領の改訂が行われる年です。今回の改訂では、コンテンツ・ベースからコンピテンシー・ベースの指導要領に転換するといわれています。
つまり、これまでの指導要領は、教科・領域の体系的な知識・技能に基づいて作成されてきました。しかし新しい指導要領は、育成すべき資質・能力を軸にして、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」、それによって「何ができるようになるか」を一体として考えるというのです。
長年、コンテンツ・ベースの指導要領になじんだ身には、コンピテンシー・ベースの指導要領が、従来の指導要領と比べて、どこが、どう変わるのか、正直なところ見当がつかないでいますが、新しい指導要領がどんな姿でデビューするのか、期待して待ちたいと思います。

学校教材の着実な整備を推進
一般社団法人日本教材備品協会会長 大久保昇

新年明けましておめでとうございます。
24年度からスタートした「義務教育諸学校における新たな教材整備計画」では、単年度で800億円、10カ年で8千億円の地方財政措置が講じられています。しかし実際に教材を整備するためには、各地方公共団体で予算措置をしていただくことが必要です。
学校現場では、文部科学省の「教材整備指針」に例示されている教材毎の必要数量の目安を基に、必要な教材備品を明らかにして予算要求をしていただきたいと存じます。
教育委員会では、域内の学校の現状を調査・把握の上、「教育総合会議」で協議していただき、教育行政の大綱の中に「教材整備計画」を位置付けるなど、学校教材の着実な整備推進が図られることを期待いたしております。
当協会は学校の教育環境の整備に新たな展開が迎えられますよう、さまざまな情報発信を通じてより活発に活動を展開していく所存です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

情報活用能力の育成を目指す
一般社団法人日本教育情報化振興会会長 赤堀侃司

新年明けましておめでとうございます。
今年は、2020年の東京オリンピックに向けて、全ての活動が世界に向けて展開される年だと思います。教育も重要な役割を果たすことは言うまでもありませんが、特に子どもたちには、情報活用能力を身に付けてほしいと思っています。
今日の教育をめぐる話題は、問題解決能力、アクティブ・ラーニング、高大接続、21世紀学力など、多くのキーワードがありますが、全て情報活用能力に深く関わっています。情報活用能力は、主体的に学ぶ姿勢や、思考力・判断力・表現力とも関連している能力です。
私たちは、教育ICTに関連する企業を中心として、日本教育工学会や日本教育工学協会、ICT CONNECT 21などの団体と連携しながら情報活用能力を高めるための教育の情報化の推進にお役に立ちたいと思っています。今年は、地方自治体との連携を強化して、より一層努力していきたいと思っています。
今年も、どうぞよろしくお願いします。

専門高校生は頑張っています
公益財団法人産業教育振興中央会専務理事 冨岡逸郎

新年明けましておめでとうございます。
昨年11月末に商業高校の生徒の研究発表会がありました。文部科学大臣賞を受賞した青森県立八戸商業高校の生徒の発表は素晴らしい発表でした。理路整然とした発表構成、見る人聞く人にも分かりやすい映像の提示、言語明瞭で落ち着きのある発表態度、全てにおいて圧倒されました。
今日、高校生の全国的な発表会や競技会がたくさんありますが、「全国産業教育フェア」をはじめとして専門高校の発表会や競技会等での生徒たちの素晴らしさには驚きさえ与えてくれます。特に、企業の人事担当の方や大学等の入試担当方には、そのような会にぜひとも一度は足をお運びいただきたいと思います。きっと素晴らしい人材が見つかるはずです。産業教育振興中央会では、そのような専門高校の生徒たちを今年も応援してまいります。皆様方のご理解とご支援をぜひともお願いいたします。

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