年頭の所感 文部科学大臣 馳浩

s20160107_01大臣年頭所感文部科学大臣 馳 浩

 

日本の「未来省」として邁進

(馳浩文科相による年頭所感抄)
平成28年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
私は、高校の教員、オリンピックへの出場、さらにはプロレスラーの経験もあり、こうした経験を経て培ってきた想いや現場感覚、人脈も大切にしながら、誠心誠意丁寧に全力で取り組んでまいります。

■一億総活躍社会

一億総活躍社会の実現は、内閣の極めて重要な政策課題となっています。文部科学省では、昨年11月に生産性革命、全ての人が自らの可能性を開花できる社会や、生き活き社会の実現を目指し、「緊急対策プラン」を公表しました。今後さらに政府としての「ニッポン一億総活躍プラン」を取りまとめる予定となっています。

文部科学省としては、特別な支援を要する子供も含めた全ての子供が社会で自立し活躍する力を育むための教育の充実や、生産性革命を支える優れた人材の育成による世界トップレベルの科学技術イノベーションの推進に取り組むとともに、文化GDPやスポーツGDPなどの伸びしろのある分野を開拓します。また出生率の向上に向け、貧困の連鎖を断ち切り、誰もが安心して教育を受けられるよう、教育費負担軽減に取り組むほか、教職員定数の戦略的充実や学校施設の耐震化、老朽化対策等を進めてまいります。

日本の未来を創る「未来省」たる文部科学省として、一億総活躍社会の実現に向けて積極的に貢献をしてまいります。

■東日本大震災からの復旧・復興

東日本大震災からの復旧・復興については、学校の復旧、就学支援、児童生徒の心のケア、学習支援等をはじめ、復興を支える人材育成や大学・研究機関による地域再生への貢献など、被災者の心に寄り添った復興に今後も全力を尽くしてまいります。昨年4月には、福島県双葉郡に、文部科学省が設置を支援し続けてきた「ふたば未来学園高校」が開校しました。また本年4月には、東北薬科大学が東北医科薬科大学と名称変更し、医学部を開学する予定です。被災地の未来への歩みを引き続き支援してまいります。
原子力災害からの復興については、除染や廃炉に関する研究開発や人材育成に係る取り組みを加速させるとともに、原子力損害賠償についても、迅速、公平かつ適正な賠償に万全を期してまいります。

■教育再生

教育再生は、国の最重要政策です。教育再生実行会議の議論等を踏まえ、必要な施策を推進してまいります。現在、中央教育審議会においては、これからの時代に求められる資質・能力の育成のために、「何を知っているか」だけでなく、「それを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」までを視野に入れ、教育が普遍的に目指す根幹を大事にしつつ、社会の変化を柔軟に受け止める「社会に開かれた教育課程」という観点から、学習指導要領等の構造的な見直しを行っています。アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善、カリキュラムマネジメントの充実、小学校からの英語教育の充実、高校における新科目の在り方などの検討が進められております。また、道徳の時間の「特別の教科」化などにより道徳教育の充実を図ります。
幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることから、幼稚園教育要領の見直しも行っています。また、教員研修等の支援の充実など、幼児教育の質の向上に向けた体制の構築を進めます。

障害のある子供たちのため、教職員の専門性向上、通級による指導の充実、拡大教科書等の普及・充実、学校施設のバリアフリー化等の必要な教育条件を整備し、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育を推進します。

昨年もいじめによる痛ましい事件がありました。いじめは絶対に許されません。いじめを積極的に認知し、適切に対応するよう、学校と教育委員会の組織的対応を徹底して強化し、いじめ防止対策推進法を基に、総合的な対策の実施を進めます。

さらに、日本語能力が十分でない外国人の子供たちのため、日本語指導や学校への適応に必要な体制整備を総合的に推進します。また、情報化社会の進展に伴い、授業におけるICT活用の促進やICT環境整備等の教育の情報化により一層取り組みます。

これらの「教育再生」の取り組みを実現するためには教職員定数の充実をはじめとした条件整備が不可欠です。昨年は、地方自治体や教育関係団体から教職員定数の充実等について、多くのご要望をいただき、現場の切実さを改めて痛感しました。そのことを踏まえて、次世代の学校指導体制の強化に向けて、迅速に検討を進めてまいります。

複雑化・困難化する課題に対応
■安心して学べる教育環境を整備

学校を取り巻いている複雑化・困難化した課題を解決するためには、教員一人一人が自らの専門性を発揮するとともに、心理や福祉等の多様な専門スタッフと連携・分担して、チームとして職務を担うことが効果的です。そのため、教員を中心としたチームとしての学校に必要な指導体制の整備を進めてまいります。また教員の指導力の向上を図るには、教員が教職生涯を通じて研鑽する環境づくりが重要であり、その基盤としての養成・採用・研修の一体的改革に取り組むとともに、独立行政法人教員研修センターを教員の資質能力の向上の全国的な支援拠点へと転換してまいります。

不登校などの課題を抱える子供たちのために、安心して学べるような教育環境の整備を図ります。また、総理のご指示も踏まえ、フリースクールなど多様な場で自信を持って学べる環境を整えます。そして、夜間中学の設置促進に向けた取り組みを進めます。
グローバル化に対応した教育環境づくりの観点から、外国語教育の強化、国際バカロレアの推進、ESD(持続可能な開発のための教育)などを進めます。

大学は国の知的基盤です。社会を生き抜く力の養成のための高大接続改革、産業構造の変化や新たなニーズに対応するための実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化の検討、未来の飛躍を実現する人材を養成するためのグローバル化やイノベーションを創出するための研究力強化に取り組みます。

このためにも、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成を安定的に確保するとともに、改革を進める大学を重点的に支援します。

■貧困問題を総合的に推進

子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることや、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、指導体制の充実を通じた学校教育による学力保障の取り組み、財源確保と並行した幼児教育の段階的な無償化の推進、福祉機関との連携強化、地域未来塾による学習支援や家庭教育支援の充実など、子供の貧困対策に関する大綱を踏まえた取り組みを総合的に推進してまいります。

高校生等奨学給付金や大学等奨学金事業における無利子奨学金の拡充および平成29年度進学者からの適用を目指した「所得連動返還型奨学金制度」の導入に向けた取り組み、授業料減免等の充実、経済的に修学困難な専門学校生への支援に取り組み、教育費の負担軽減を図ります。

社会総掛かりでの教育の実現を図るため、コミュニティ・スクールや地域全体で未来を担う子供の成長を支える「地域学校協働本部」など、学校と地域の連携・協働を進めていくための仕組みづくりを積極的に推進するとともに、大学が他の大学や自治体、地域の中小企業等と連携し、地域を担う人材を育成するための取り組みを進めることを支援し、地方創生の実現を目指します。

■教育投資を充実

学校施設は、子供たちの学習・生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所としても重要な役割を果たすものであり、その安全性・機能性の確保は不可欠です。学校施設の耐震化や防災機能の強化・老朽化対策や空調設置、トイレ改修、給食施設整備等、安全・安心な教育環境の整備を推進します。

教育再生実行会議では、これからの時代を見据え、日本の教育の強みは大切にしつつ、多様な個性が長所として肯定され生かされる教育への転換について議論を行うとともに、「提言フォローアップ会合」を開催し、これまでの八次にわたる提言の進捗状況をフォローしつつ提言の着実な実現を図ってまいります。特に、提言の実現のためにも、教育投資の充実につながるよう、国民の皆様との対話をしていきたいと思います。

関連記事