(学校図書館に寄せる思い)癒やしの場に

東京成徳大学応用心理学部・東京成徳大学大学院
心理学研究科教授・心理・教育相談センター長 田村節子

 

子どもの頃、私は何度か転校した。そんなとき、不安や寂しさを忘れさせてくれたのが図書館だった。どの学校でも図書館の先生は優しく声をかけてくれた。

当時、私はシートン動物記や偉人伝などを夢中で読んでいた。本を読み始めると学校がかわったことなど忘れてしまうのである。放課後の時間はたっぷりあった。図書館という場所は、夢やあこがれを育んでくれる場所だった。

今の時代も多くの子どもたちにとって、図書館はオアシスで夢やあこがれを育て続けている。

私は学校心理学が専門である。学校心理学では主に学習面、心理・社会面、進路面、健康面の4領域に着目して、教師・保護者・コーディネーターなどがチームで子どもを援助していく。

私は密かに学校図書館の司書の方々と図書館に期待していることがある。それは、司書の方々に学校での援助チームメンバーの一員になっていただくことだ。図書館が、教室に居場所がなくなった子どもたちの癒やしの場となってほしい。

教室に居場所を失った子どもの支援が、図書館本来の働きではないのは承知している。でも、私はたくさんの子どもたちが図書館で救われてきたことも知っている。

友達との関係に傷ついた子ども、親との葛藤を抱えている子ども、学校に来られなくなった子どもなど、さまざまなストレスを抱えている子どもたちは、教室では得られないほっとする空間を図書館に求めてきた。

自信や夢を失った子どもたちが、現実の苦しさから一時逃れてエネルギーをチャージする場も図書館は担ってきた。図書館は、全ての子どもたちが手を伸ばして、本を開けば果てしない興味の世界が広がっていく夢の宝庫なのだ。

そして、子どもにとって親や教師、友達は重要な人的環境である。図書館司書の方々もしかりである。図書館司書の方々の優しい笑顔や「おはよう!」の一言が子どもたちを元気づける。

子どもに声をかけるなど直接的な援助はもちろんだが、情報提供もありがたい。図書館にいつもひとりでぽつんとしている子どもの存在や、図書館で見せている表情、突然学校へ来なくなった子どもがよく読んでいた本の題名など。情報提供は予防にも援助にもなる。好きな本の話題で心を閉じた子どもとつながれる可能性もある。

また、学校が大好きな子どもたちにとっても、図書館は自分の能力に新たに気付き、力を最大限に発揮できるきっかけを与えてくれる場所である。

子どもたちにとって、図書館は学習面や進路面はもちろんだが、心理・社会面においても発達や人格形成に深く貢献していることを、本稿を書きながらあらためて実感している。

関連記事