(学校図書館に寄せる思い)保護者とともにつくる

日本学校俳句研究会代表 小山正見

 

若い教師時代、図書委員会の担当をした。子どもたちと一緒に本の整理をした。やったらやっただけ本棚がきれいになり、気持ちがいい。知らなかった本にも出会った。それが子どもたちに本を薦めるエネルギーになった。

校長になって、しばらくしたときだった。保護者のKさんと出会った。Kさんは、学校のために役立つことをしたいというお気持ちをもっていた。何をしていただこうかと考えたとき、思い出したのが学校図書館の本の整理である。これだったらKさんのペースでしていてただけるし、子どもたちも先生たちも喜ぶ。

学校図書館の本棚は、1週間も手を入れないとぐちゃぐちゃになる。Kさんは、毎日のように通い、本棚は徐々に整頓されていった。壁がかわいらしくデコレーションされ、「今月の本」というコーナーもできた。殺風景だった学校図書館が、温かい空間に変身していった。いつの間にか仲間ができ、本を整理してくださるボランティアの方は3人に増えていた。私も時々は図書の整理を手伝いながら話をしていくうちに、「読み聞かせもしたい」という話になった。

次の年、思い切って「図書ボランティアの募集」を学校便りで呼びかけた。すると、20人を超えるお母さん方の応募があった。朝自習の時間を利用しての読み聞かせが始まった。

最初はぎこちなかったお母さん方の読み聞かせは、ぐんぐん上達した。地域の図書館の「読み聞かせ講座」を受講する方も現れた。月に一度はお菓子を持ち寄り、反省会が行われた。お母さん方は実に楽しそうであった。

私はお母さん方の能力に舌を巻いた。そのうち、保護者会や授業参観のときだけでなく、日常的に校舎の中に保護者がいるのが普通になった。学校図書館を介して、お母さん同士の交流が生まれた。教員と話す機会も増え、学校の苦労も理解してもらえるようになった。

現代は子どもたちを育てるのが難しい時代だ。学校教育に保護者や社会の力を結集する学校づくりができるかどうかが解決への一つのカギである。

学校図書館は、その突破口になりうる。いうまでもなく、学校図書館は子どもたちの言語能力の基礎を培い、学習の素地を育てる場である。にもかかわらず、学校の教育活動そのものではなく、独立したスペースなので、保護者にとっては気軽に入りやすい。しかも、図書の整備など、活動の成果が目に見える形で表れる。読み聞かせで子どもたちと親しくなり、学校教育を直接担うという実感を得ることもできる。

つまり、学校図書館を通して、保護者自身が教育を担う主体者になっていくのである。学校づくりという観点からも、学校図書館の事業を大いに発展させていただきたいと願う。

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