(学校図書館に寄せる思い)子どもの未来をつくる

鳴門教育大学大学院教授 余郷裕次

 

鳴門教育大学附属図書館児童図書室は、地域に開かれた大学の理念を実現する一環として、地域の子どもや乳幼児のいる保護者、一般市民に広く開放されています。

児童図書室では、水・土・日曜日・祝日の午後1時から4時まで、一般開放しています。スタッフとボランティア学生とが協力し、0歳児から、保護者と安心して楽しく過ごせる読書環境を提供するように努めています。現在、児童図書室周辺で響く小さな子どもたちの歓声は、「キャンパスの四季を彩る風物詩」と称されています。

25年以上にわたって子どもたちは、ボランティアの学生と出会い続けてきました。93平方メートルという小さな空間をこれまで延べ3万人もが利用しています。

子どもたちは、学生たちの絵本の読み聞かせや紙芝居などを通して、絵本をはじめとする児童図書の世界へ誘われてきました。児童図書室は、児童図書を、未来を担う子どもたちに手渡す実践を行ってきたといえます。

このような活動は、平成24年の学校図書館賞奨励賞をはじめ多くの賞を受けてきました。また学生たちが子どもや保護者の方と直に接する活動は、本学の連続「教員就職率全国1位」を縁の下で支えていると自負しています。

児童図書室は、大学附属図書館の先駆的施設として全国の大学のモデルとなり、視察も多く受け入れてきました。その成果は、全国の大学附属図書館での類似施設の充実ぶりに現れています。学校図書館のモデルとしての役割を持っています。子ども向けの図鑑をはじめ、まんが等も収蔵してきました。図書以外にも、積み木・折り紙・組み木・人形等などの玩具を備えています。保護者が選書や読書をしている間、児童文化研究会の学生ボランティアが、子どもたちに読み聞かせをしたり、玩具を使って一緒に遊んだりする活動をしています。

児童図書室は、0歳からの子どもたちの理想的図書空間です。理想的な空間であるためには、単に児童図書が充実しているだけでは不十分なのです。子どもにとって理想的図書空間には、子どもと図書とを橋渡しする媒介者の存在が欠かせません。地元徳島県をはじめ全国どこの学校にも本学の児童図書室のような物的・人的な環境とが整えられるのを願っています。ただ、地域の学校図書館のモデルとして機能するためには、本館と同等の開館を実現する必要性を強く感じています。

本学は、鳴門の渦潮で有名な鳴門海峡に隣接する極めて風光明媚で豊かな自然環境の中にあります。1人の学究の典型を示す「野地潤家文庫」、国語科教育の理想を示す「大村はま学習資料室」「大村はま文庫」等もあわわせてご訪問いただければ幸いです。

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