(学校図書館に寄せる思い)明るい将来展望描く場

国立大学法人上越教育大学長 佐藤芳德

 

私の育ったのは、山間の静かな小さな町だったので、町立図書館はあったものの、図書の整備などはあまり進んでいませんでした。

また、小学校と中学校に小さい図書室はありましたが、書物は少し古いものが多く、雰囲気も明るいものとはいえませんでした。しかし、本の中に広がる未知の世界には、胸が躍る思いがしたのを今も覚えています。小説などの読みもののほかに、図鑑や画集などにも興味を引かれました。

なぜか歌川広重の「東海道五十三次」は今でも心に残っていて、もしかすると大学で地理学を専攻する礎となったのかもしれません。現在の学校図書館は、当時とは劇的に様変わりして、明るく爽やかな雰囲気となりました。蔵書数が増え、書籍の検索技術も進んで、読みたい本を手に取るまでの時間は大幅に短縮されています。

便利になった半面、いろいろな本を行き当たりばったり手にする喜びは少し薄らいだのかもしれません。また、図書館の機能や役割にも変化が見られ、単に本を読むための場としてだけでなく、学習や多様な情報の収集・発信の場としても利用されるようになってきました。

子どもたちが自ら学ぶことのできる環境としての役割も大切だと思います。さらには、昼休みや放課後など、単に居場所としての役割も大切であると指摘されています。また、教師にとっては、授業のための資料作成や生徒指導等の情報収集などの機能を充実させるのも重要です。

本学は、教員養成と現職教員の再教育(研修)のための大学なので、卒業生や修了生は、図書館機能を十分理解するとともに、活用するための技術も身につけていることが必要と考えています。

現在、大学の図書館にはいくつかの大きな課題があります。それは大学図書館だけでなく、学校図書館や公立図書館の共通の課題でもあると思います。まず、経費の問題があります。電子ジャーナル価格の上昇など、1つの大学図書館だけで解決できない問題は、共通の対策が必要でしょう。

また、図書館機能は多様化・複雑化しているので、図書館職員の人材育成や研修等は定期的に実施する必要があります。さらには、老朽化している施設の改善や、学生が自主的能動的に学習するラーニング・コモンズとしての整備も喫緊の課題です。

大学図書館が、学術情報の基盤であり、地域の知の拠点であるためには、学生、教職員、地域の人々のニーズや社会の変化に迅速に対応できる体制づくりも必要でしょう。

昔も今も、子どもの教育にとって学校図書館の果たす役割は、極めて大きいものがあります。書物がうず高く積まれて薄暗い図書館においても、明るい夢と希望に満ちていた時代もありました。

学校図書館が果たすべき最も大きな役割は、子どもたちが夢を育み、明るい将来展望を描ける場所であることです。そのためには、必要な情報を安全かつ確実に提供でき、活用できる場所であってほしいと願っています。

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