学校管理下で発生した事故 指導や対応の不備、虚偽報告など

学校管理下で起きた事故について、迅速で適切な初動対応などを求める要望書を馳浩文科相に提出した遺族4団体(関連記事:体罰やいじめ死遺族 初動対応などで文科相に要望書)は、ここ最近発生した「学校スポーツ及び学校生活事故被災状況」について、発生状況、死因や受傷内容、事故後の問題点を記した資料を、次のようにまとめている。

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【田中義章/高2】柔道の授業で総当たり戦の試合中、対戦した柔道部員に小外刈りを掛けられて倒れ、さらに袈裟固めを掛けられたとき、相手の脇腹が義章の胸を押し潰した。死因は心臓震塗。速やかに救急車を要請せず学校内でなんとか対応しようしたり、事故後の対応のまずさを正直に認めず、事故原因を第三者の立場で調査しようとしたりしなかった。

【村川康嗣/中1】柔道部入部時に喘息があるのを伝えていたのに、1カ月弱の練習で上級生と50分以上乱取りをさせられ、さらに顧問が大外返しで投げ、絞め技で絞め落とした。急性硬膜下血腫。脳死を告げられ1カ月後に永眠。保護者会で校長は「回復に向かっている」、マスコミには「電柱にでも頭を打ったんだろう」と説明。顧問の日頃からの暴力も調査していない。

【田中康平/高1】顧問の参加していない柔道部部活中、明らかに様子がおかしい康平を置いて他の生徒は帰宅。次の日に部室で遺体となって発見される。急性硬膜下血腫と食道裂傷。顧問が途中で退席し、夜の最終見回りも校舎の見回りのみで、体育館、武道場・グラウンドなどはチェックされなかった。

【倉田総嗣/高1】柔道部の乱取り中に、体重25キロ、身長20センチ差の2年生に大外狩りで投げられ後頭部を強打。初心者で頭部打撲を繰り返していて十分な練習を行えていなかった。死因はセカンドインパクトシンドロームによる急性硬膜下血腫。事故以前の練習中に、複数回頭部を打って頭痛(脳振盗の症状の1つ)を訴え受診していたが、その情報が学校内で共有できていなかった。

【池田歩/高3】柔道の県大会地区予戦で、相手選手は立った状態で歩を逆立ちに持ち上げようとして共に倒れ、相手の体重も含め140キロ以上が歩の首に圧し掛かった。受傷内容は頚椎および頸髄損傷で両全手指機能全廃、両下肢機能全廃、体幹機能障害。事故原因についての検討は事故後3カ月たってようやく行われたが、参加者は埼玉県柔道連盟関係者と県教育委員会と被害生徒の保護者のみ。

【小林泰地/中3】柔道部の部活動中、顧問に休みなく投げ続けられ、その間、二度にわたって袖車絞め(気管を絞める絞め技)で絞め落とされた(窒息で意識を失う)。受傷内容は、急性硬膜下血腫、脳挫傷、頸椎損傷、錐体骨損傷、披裂軟骨損傷(喉の骨)。「柔道部の練習と傷病の間には直接の関係はないと保護者から聞いている」と教委への報告書に虚偽の記載。保護者には「電柱に頭をぶつけたのだろう」と発言。]

【西野花菜/中1】大雨、雷、強風、波浪、洪水注意報が発令されている中で自然体験学習のカッターボート訓練が行われ、漕艇不能になってレスキュー艇で曳航中に転覆。水死。遺族に対する学校からの説明は無し。3カ月後に静岡県教委の報告書、1年7カ月後の国交省の報告で、遺族はやっと事故の事実関係を知ることができた。

【工藤剣太/高2】剣道部の部活で武道場内の気温36度の中、1時間半水分を摂らせず熱中症を発症して倒れた剣太に、「演技をするな!」と顧問は馬乗りになって往復ビンタ。熱射病による多臓器不全でその日に死亡。学校は事故4日後に保護者会を開いたが、被害者家族には事前連絡は無し。報告書は顧問にだけ聞き取りをして作成。同じ剣道部で現場にいた弟が報告書を読んで「事実と違う」と抗議したが、学校は「報告書を書き換える訳にはいかない」と拒否。

【草野恵/高1】バレーボール部の合宿に参加中、2日目に熱中症を発症するが、病院を受診させてもらえず、練習を継続。3日目午前中に意識を失うが放置。午後の練習で再度倒れる。急性硬膜下血腫。親に連絡を入れる前に隠蔽工作を始めて、部員に口止めを指示。学校の教職員たちにさえ、死亡事故の事実を話していなかった。

【栗岡梨沙/高2】テスト休み明け、11日ぶりのテニス部練習で、キャプテンになったばかりの梨沙が、不在の顧問教諭に代わり部活動。熱中症で倒れる。受傷内容は、熱中症と遷延性意識障害(見ることすらできない)。通常より長練習時間で過酷な練習内容(3時間一切休憩時間無し)を顧問が指示していたことを隠蔽。保護者会で「あれは病気で事故ではない」と説明した。

【組み体操被害者/小6】1人不足したまま組んだ四段タワーが崩壊して、最下段の生徒が下敷きになった。教師3人は別の四段タワーに参加していて、周囲に教師はいなかった。受傷内容は左膝脱臼、骨折。担任らが他のタワーの土台に入っていたことには触れず、教員はタワーが立ち上がった所の指導にあちこち行っていたと虚偽の説明。

【田中明子/高3】寮の3階にある自室の網戸にいた虫の死骸を、窓から身を乗り出して掃除していたところ、バランスを崩して転落。転落防止用の手すりなどは何も無かった。内臓破裂。被害者遺族が連絡を入れるまで学校からの説明は無し。学校は寮生全員に聞き取り調査することもなく、早く忘れるようにと生徒たちに言っていた。

【浅田羽菜/小1】69人参加の夏休み水泳指導の自由遊泳時間に溺れる。羽菜の身長は113・5センチで、最も深い箇所は110センチもあったのに、教師3人は監視をせずに他の児童と遊んでいた。水死。学校は事故翌日から参加児童宅を訪問したが、児童の健康状態、精神状態を尋ねたのみ。事故についての聴き取りは行われず、溺水原因は不明なままとなった。

【榛葉天翔(あもう)・保育園4歳】35度を超える炎天下、屋上プールに30人以上の園児を入れ、保育士3人が持ち場を離れているときに溺れた。保育士は他の園児の知らせで事故を把握。水死。すぐに救急車を呼ばず、職員が話し合ってから救急要請した。その第一報は「プールで心肺停止」ではなく、「トイレで吐いて喉を詰まらせた」だった。

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