共感のミラーニューロン マーモセットで世界初の発見

誰かがおいしそうに食事をしている。それを見て、自分もおいしいものを食べているような気になる。そう思わせる共感の仕組みが脳にある。これは「ミラーニューロン」として知られている活動部位である。

このミラーニューロンが、生きている状態で、コモン・マーモセットで見いだされた。国立精神・神経医療研究センター神経研究所微細構造研究部の一戸紀孝部長らの研究グループ、理研脳科学総合研究センター高次脳機能分析解析チームの共同研究によって、世界で初めての発見となった。

霊長類ではこれまで、ミラーニューロンはヒトと旧世界ザル(マカクザル)でしか見いだされていなかった。およそ4千年前に、ヒトを含む旧世界ザルから分岐した新世界ザルのコモン・マーモセットにミラーニューロンがあるかどうかを調べ、新旧世界ザルの共通祖先にミラーニューロンがあったかを検討した。

2匹のコモン・マーモセットで、一方がバナナを実際につかんだとき、もう一方の、ミラーニューロンと同定できる部位に反応があった。一方がつかむ行動をしても、そこにバナナがない場合には、反応はなかった。

生体内で結合を同定できる蛍光トレーサーを用いて、コモン・マーモセットの前頭葉下部に、ミラーニューロンが存在することが示された。

ミラーニューロンは、集団の中での関係や捕食行動、危険性などを学び取るのに役立っている。新旧世界ザルの共通祖先からヒトに至る過程で、ミラーニューロンはより巧緻に進化したことが読み取れる。

また多くの研究から、他者の意図や感情を読み取るのが苦手な自閉症患者には、ミラーニューロンに障害があると分かっている。

コモン・マーモセットでの発見は、こうした自閉症患者の診断や治療、原因解明への発展的研究に貢献するものと考えられている。