(学校図書館に寄せる思い)全教職員協働で本好き育む

横浜市立黒須田小学校副校長 板橋典子

 

小学生のころ、図書室では週に2冊借りることができた。読書が好きだった私は、小学校の図書室で毎週のように「怪盗ルパン」シリーズや「巌窟王」などを借りていた。本に熱中するあまり、夕食を忘れることもしばしばで、母によくあきれられていたものだ。

ある日、家族で出かけたとき、書店に並ぶ本を眺めていた私に、父が「1冊だけ本を買ってもいいよ」と言ってくれた。私は「すぐに読み終わらないような、なるべく細かい字の厚い本にしよう」と、児童書の中で厚さ5センチほどもある「怪盗ルパン」を選んだ。父のその時の驚きの表情は、本の思い出とともに今も忘れない。

家の近くに図書館がなく、図書室は私と本を結ぶ大切な存在だった。子どものころ読んだ本が、その後の人生に影響を与えるのは多くの人が経験している。読書を通して広い世界に出会い、つながるのは大きな喜びである。

現在の学校図書館は主体的、意欲的な学習活動を支える「学習・情報センター」と豊かな感性や情報、思いやりの心を育む「読書センター」としての機能を有している。横浜市では学校図書館法により学校司書配置事業として平成28年度までの4年間で、全小・中・特別支援学校に学校司書が配置される。本校は来年度配置の予定で、これまでも図書ボランティアを中心に地域やPTAの支援をいただいている。

今年度、PTAの尽力で名探偵シリーズの著者、杉山亮さんによるオーサービジットの機会を設けることができた。普段親しんでいる本の作者が「たくさんの本との出会いがさまざまな登場人物の生き方に触れることになり、人は幸福感や美意識を知る」と話されたのは印象的だった。会場の体育館は、PTAの手作りによる歓迎のタペストリー(著者の名前刺繍入り)や著書の登場人物が等身大で展示され、子どもたちの気持ちを高めるに十分な装いだった。近隣校の保護者の参加もあり、大変な賑わいだった。まさに学校と保護者、地域が一体となって子どもの読書意欲を高める絶好の機会となった。

来年度の学校司書配置にあたり、期待していることがある。学校図書館は全教育活動で活用されるとなっている。そこで学校司書と全職員が協働して児童の多様なニーズに柔軟に対応し、読書好きを増やしたい。

例えば書店に楽譜が置いてあるように、音楽好きな子どもたちのために楽譜を図書館に置いてはどうか。普通の本が活字であるように、楽譜の文字は音符である。文を読んで物語が創造できるように、楽譜を読むと頭の中で音楽が再生される子どもも少なくない。

また本に登場するものについて実物展示を工夫し、本と実物の相互で、より強い関心を生むことが期待できる。

子ども一人ひとりがより興味をもち自ら学習を進めるためには、ユニバーサルデザインの視点が必要だ。全職員の協業で誰でも分かりやすく学べる環境を整え、自らアクティブ・ラーニングができる学校図書館づくりを進め、多くの本好きな子どもを育てたい。

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