【連載】自然体験に行こう 第6回 カエルは水辺と林を利用する

公益財団法人日本野鳥の会・施設支援室
横浜自然観察の森担当レンジャー 尾崎理恵

 

霜が降り続いた1月末、湿地にカエルの卵塊を見つけた。数にして30個以上。「ヤマアカガエル」の卵塊だ。ヤマアカガエルは、その名前の通り、山地や森林とその周辺の田んぼなどを主な生息場所としている。

横浜自然観察の森では、早ければ1月末に湿地や池などの水辺で卵塊が見つかる。

02年からこれまで最も多いときで、500個以上確認された年がある。調査では、卵塊の数が最も多いのは、2月のはじめや3月の初旬だった。その年によって、また地域ごとに様子は異なってくる。気温や水温も関係しているようだ。

観察の森では以前、親子を対象に、このヤマアカガエルを題材にしたイベントを行った。子どもたちの大半は、カエルといえばアマガエルなど緑色のカエルを思い浮かべている。教科書やカエルのキャラクターの多くが、緑色のカエルを取り上げているのと関係があるのかもしれない。

まず、成長したヤマアカガエルの写真を見せる。体の色が茶色や赤褐色であると確認する。次に水辺に連れていき、ゼリー状の卵塊やオタマジャクシの様子を観察する。

オタマジャクシは手ですくってもらい、大きさや色を確認してもらう。少し大きくなったオタマジャクシは、ひっくりかえして、お腹の様子を虫めがねを使って観察する。水辺で何を食べているかなどもよく見てもらう。

卵塊やオタマジャクシを中心に観察し終わった時点で、はじめに見せた成長したヤマアカガエルは水辺にいるかと投げかける。その姿がないのに気付いてもらう。ヤマアカガエルは、成長すると水辺からあがり、林の中で過ごすのだ。

産卵が終わったヤマアカガエルの姿は、オタマジャクシがいる水辺にはない。成体は、森林や草地で生活をし、卵塊や幼体は水田や湿地で成長する。

つまりヤマアカガエルが生きていくためには、両方の環境が備わっていなければならない。ヤマアカガエルを通して、生きものにとっては、林、草地、水辺などさまざまな環境が必要であることに気付いてもらう。

寒い冬、次の命につながる生きものの姿から、学びはたくさんある。ぜひ、子どもたちと観察にでかけてほしい。

参考=「2014年度横浜自然観察の森調査報告20」日本野鳥の会/(公財)日本野鳥の会施設支援室横浜自然観察の森。最新の自然情報はサイトに=http://wbsj-yokohama.blog.jp/

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